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ガン治療の陽子線治療装置の小型化に成功

2022-12-24 10:35:19 | 健康・医療
日本のガン治療は年々進歩していますが、このブログでも何回か述べたように欧米に比べて圧倒的に外科手術が多くなっています。

手術より患者の負担が少ない放射線治療の専門家が、その壁を乗り越えようとしています。注目されているのが、現在多数を占めるX線放射治療より副反応を大幅に抑えることができる陽子線放射治療ですが、装置の高価さなどから導入に踏み切れない医療機関も少なくないようです。

医療機器のベンチャー企業がこの難題を解決し、近く厚生労働省の承認を得られる見通しになりました。2022年時点で陽子線治療が受けられる医療施設は全国で19施設、重粒子線は7施設しかなく、ひとつの施設で対応できる患者は500〜1000人とされています。

年に約100万人が新たにガン患者となっていますので、陽子線や重粒子線を合わせても2万人程度で、圧倒的に少ないことは明らかです。

私の友人が昨年ガンで亡くなったのですが、彼は膵臓に転移したガンをこの重粒子線で治療しました。オンラインの飲み会で彼は自分のCT画像やPETを見せてくれましたが、膵臓ガンはきれいに無くなっておりこの治療の効果ははっきり示されていました。

陽子線治療はガンの部分にピンポイントで照射することで、他の臓器にダメージを与えないという点で優れているのですが、費用や装置の大きさなどといった課題があります。

この治療装置の費用面を見ると、X線が約10億円、陽子線が約50億円、重粒子線は約100億円となっています。大きさではX線装置はビル1階に相当する約4メートルの高さですが、従来型の陽子線治療装置ではビル3階に相当する約12メートルの高さとなります。

大学病院をはじめ大規模な医療機関が多数存在する東京都ですが、そこに陽子線と重粒子線の治療施設がないのは、費用面に加えスペースという点がネックとなっているようです。

放射線医学総合研究所発のベンチャー企業が開発した超小型陽子線治療装置は、高さがX線とほぼ変わらない1階分程度となり、費用は従来型装置の半分の約25億円という低価格を実現しました。治療成績でも膵臓ガンについての臨床試験で、2年後生存率の成績が良かったようです。

これは超電導磁石を使うことで、構造体を動かさず照射方向を制御する全く新しい仕組みの装置となっています。陽子線治療が保険適用されたのは2016年の小児ガンが最初ですが、今後は2030年までに陽子線治療施設が100を超えると予想されています。

まだ施設数も少なく高価な治療となっているようですが、手術に代わる新たな選択肢にこういった陽子線治療が加わることは患者にとっても良いことと考えています。


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