ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

老化の原因となる「老化細胞」のメカニズムを解明

2022-02-14 10:25:25 | 自然
老化は体に「老化細胞」が蓄積することによって生じるというのが定説となりつつあるようです。最近はこの老化細胞の研究が活発となり、このブログでも老化細胞ワクチンなどを取り上げています。

東京大学の医科学研究所の研究グループは、老化の原因となる老化細胞のメカニズムを解明したと発表しました。

人間の身体は60兆個もの細胞によって作られています。細胞の中には不老不死に近い幹細胞というものもあり、たとえば血液系であれば、赤血球や白血球、血小板やリンパ球などの血液系細胞の大元になる「幹細胞」があります。

しかし大部分の細胞は不老不死ではなく、ヒトであれば50~60回ほど分裂したら、それ以上分裂できず活動を停止してしまいます。

こうしてできた老化細胞は、本来であれば免疫細胞であるマクロファージなどが食べて除去してくれるのですが、生き延びた老化細胞が残ってしまい、体内のあちこちに蓄積されていきます。

それらの老化細胞が炎症性物質を誘発して、臓器や皮膚などにさまざまな炎症を起こしていきます。それが内臓疾患やシワなどいわゆる加齢が原因の、さまざまな疾患や症状として表れてきます。

シワなどの老化現象は、蓄積した老化細胞によって誘発された炎症が原因ですが、老化細胞と関係の低い老化現象もあり、その代表的なものが薄毛です。この説明は省略しますが、遺伝的な男性ホルモンのためと考えられています。

さて老化細胞がなぜ死ぬことなく、生き延びてしまうのかというメカニズムについてです。ヒトの細胞の中には、リソソームという細胞小器官があり、古くなったタンパク質を取り込んで分解するための器官で、その内側は強力な酸性になっています。

細胞が老化してくるとリソソームの膜に傷がついてしまい、そこから内部の酸性物質がしみだしてきて細胞全体が酸性に傾いてしまいます。本来酸性になると死んでしまうはずですが、老化細胞はGLS-1という酵素を活性化し、大量に発現させて生き延びてしまうということが分かってきました。

そこで研究グループは、GLS-1という酵素の阻害剤をマウスに投与したところ、老化を妨げる効果があったようです。このGLS-1阻害剤がどういう化合物かは触れていませんが、老化抑制物質といえるのかもしれません。

ただし老化細胞はガン細胞の増殖を抑えるという研究もあり、なかなか難しい問題もあるようです。近年老化細胞研究は急速に進んでおり、NMNといった老化防止薬も発表されています。

今回新しいメカニズムによる酵素阻害剤が老化細胞除去になるという研究も、まだ動物実験段階ですが興味ある知見といえます。

私はすでに老化細胞が十分蓄積していそうですので手遅れですが、老化予防が現実味を帯びてきたのかもしれません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿