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日本の健康診断は時代遅れ

2022-02-15 09:45:01 | 健康・医療
健康診断は現役のころは会社の定期検診(義務化されていました)を必ず受け、引退してからは市の健康診断を受けていましたので、当然のことと思っていました。

ずいぶん長い間受診していましたが、この間心電図が加わった程度でほとんど同じ内容でほとんど進歩がない気がしています。

この歴史を見ると、初期のころはまん延していた結核や赤痢といった感染症を防ぐことが目的で始まったようです。1972年に労働安全衛生法が制定され、肺結核の早期発見のために一律胸部X線検査が行われるようになりました。

その後感染症以外の病状の把握も重要視されるようになり、貧血や肝機能を見る血液検査と心電図検査が1989年に追加項目となりました。さらにここ10年ほどでいわゆる生活習慣病の広がりを受けて、コレステロールや血糖検査、腹囲などの測定が追加されています。

こういった検査項目の背景となる科学的根拠は十分ではなく、有識者による合意形成で決定されたものと考えられます。健康診断で胸部X線検査が開始された1972年は、肺結核の罹患率が10万人あたり139人と現在の10倍以上が肺結核に罹患する時代でした。

検証されてはいませんが、罹患率の高い時代に検査を行う意味はありますが、低下している現在でも同じ検査が有効かは不明と言えるようです。これは肺ガンの早期発見になるという説は、6つの大規模ランダム化比較試験でその有用性は否定されています。

また心電図検査についても、臨床試験において無症状のリスクの低い健常者に行うことに有用性が確認できず、アメリカや欧州諸国で「推奨できない」とされています。そもそも健康診断の有効性はなかなか検証することが難しいようです。

健康診断でその検査をした人としなかった人を比較しても、死亡率に有意差がなかなか出ません。当然ですが健常者の死亡率は非常に低いため、より多くの人数を長期にわたって観察する必要がありますが、病気の人で行う研究よりもはるかにハードルが高く、そういった試験は実現の可能性が低くなっているのが実情です。

エビデンスが無くても検査をするだけなら害がないという意見もありますが、検査をすることで一定の確率で「異常」と判定される人が生まれます。そういう人は病院に行き追加検査を受けますが、場合によっては体に負担がかかります。

また当然異常と判定されることによる、心理的な負担もあります。これらは検査を過剰に行ってしまうことによる「害」といえ、価値の低い検査なら受けない方が良いといえそうです。

疾病の頻度は時代とともに変遷しますので、検査項目も変わってきたり、年齢によっても変わりますので、検査項目が変わるのが当然といえます。

そういった点からも日本の健康診断は長年同じ項目で、全ての年齢で同じというのは、時代遅れといってもよいのかもしれません。


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