ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

東レPPオープン 大坂準優勝

2018-09-25 10:36:41 | テニス
東京・立川で開催されている東レパンパシフィックオープンの結果は、ニュースやスポーツニュースで報道されるだけでなく、情報番組などでも大々的に取り上げられています。

この大坂の活躍は、テニスファンとしては非常にうれしいものです。前回準々決勝の結果まで書きましたが、準決勝はイタリアのジョルジという37位で26歳の選手と当りました。

今まで女子のテニスはメディアもほとんど取り上げていませんでしたので、あまり試合を見る機会も少なくこの選手も全く知りませんでした。試合が始まると、この選手はビシビシと激しく打ち、よく拾うというタイプで、大坂選手の好きな展開となりました。

ここでは大坂の190キロを超えるサーブが決まり、優位に進めていきました。ジョルジのようなタイプは、決まるとエースとなるのですが、当然ミスも多くなります。このミスにつけ込み1セットは6-2で取ることができました。

2セットに入ってもこの流れは変わらず、大坂は良く動きミスの少ないストロークで対応し、6-3でとりストレート勝を納めました。これで見事決勝進出です。

この後ダブルスの決勝が行われ、日本の二宮真琴、加藤未唯ペアがチェコのペアを破って見事優勝したのです。この大会で日本人ペアの優勝は初めての快挙でしたが、どこのメディアも大坂の決勝進出だけ取り上げ、このダブルス優勝には触れていないというのは何か違和感を感じました。

大坂が全米オープンで優勝していなければ、この日本開催という大会であってもどこも取り上げない可能性が高く、マスコミとはそんなものなのかもしれません。

さて大阪の決勝戦は世界ランキング8位のチェコのプリスコバとの戦いとなりました。大坂のサーブから始まりましたが、どうも大坂はかなり緊張している感じでしたが、鋭いサーブでポイントを重ねあっさりこのゲームをキープしました。

ところがどうも大坂の動きが悪く、今までなかったようなミスが多い展開となってしまいました。プリスコバもサーブもよく、ストローク戦になっても大阪が負けるケースが増えてきました。

ついに大阪が本大会初めてのダブルフォルトとなり、これにつけ込まれてブレークされリードを許してしまいました。結局これに追いつくことができず1セットは4-6で取られてしまいました。

試合後大坂は前の大会からの疲れがたまっていたというコメントをしていますが、その後のイベントなどのストレスもたまっていたようです。それでも2セットは対等の戦いをしていましたが、ところどころに大坂らしくないミスが出ていました。

後半は明らかに元気がなく、決められないケースが増えてきました。結局またダブルフォルトからのスキを突かれリードされてしまいました。最後は大坂の気力もなくなったようで、やはり4-6で取られストレート負けを喫しました。

大坂はすでに始まっている中国での大会を欠場するようですが、こういったメンタル的なところを強化するのが大坂の課題のようです。それでも準優勝というのは素晴らしい成果で、この1週間は本当に楽しむことができました。

亜鉛不足症状のメカニズムを解明

2018-09-24 10:29:46 | 健康・医療
京都大学は、亜鉛不足によって生じる様々な症状のメカニズムの一部を解明したと発表しました。

亜鉛不足が細胞外ATP(アデノシン三リン酸)代謝を遅延させ、細胞外でのATPの蓄積と、ATPの分解産物であるアデノシンの減少を引き起こすことを明らかにしました。

亜鉛欠乏症という言葉はたまに聞くことがありますが、それほど身近なものとは思っていませんでした。亜鉛欠乏症では、味覚障害や貧血、口内炎、皮膚炎、脱毛症、食欲低下、発育障害(小児で体重増加不良、低身長)、不妊症、などのうち一つ以上の症状が現れるとされています。

亜鉛というのは私にとっては時々試薬として触媒などに使う金属ですが、かなり毒性の強いものです。実際に実験に使うときは、手に付いたりしない様かなり注意を払っていましたが、こういった毒性の強いものが微量金属として身体に必須であるというのは面白いものです。

亜鉛は、生体内で様々なタンパク質と結合して機能を発揮します。その1つに、特定の酵素の活性中心に配位して酵素反応を触媒する、触媒因子としての機能があります。こうした酵素は亜鉛要求生酵素と呼ばれ、さまざまな代謝経路に点在しています。

一方生体において細胞外ATP代謝は、炎症などのシグナルに関わる重要な代謝経路として機能しています。細胞外へ放出されたATPは種々の分解酵素によりADP、AMP、アデノシンまで分解されますが、ATPとADPは炎症など、アデノシンは抗炎症などのシグナルを細胞膜に発現した受容体を介して誘発します。

分解酵素や受容体の異状によって細胞外ATP代謝が破綻すると、炎症や創傷治癒遅延などの症状を引き起こします。

研究グループは、亜鉛欠乏症による症状と細胞外ATP代謝の破たんによる症状は共通点が多いこと、細胞外ATP代謝に関わる酵素の多くが亜鉛要求性酵素であることに着目しました。

亜鉛の欠乏がこれら酵素活性を低下させることで細胞外ATP代謝が弱まり、これが亜鉛欠乏症の症状に関連していると仮定しました。研究の結果、培養細胞の膜画分、ラットの血漿において、亜鉛欠乏では各酵素の活性が低下し、細胞外にATPが蓄積しこれに伴ってアデノシンの産生が低下することを示すことができました。

またラットでの実験では各酵素活性の低下は、わずか数日の亜鉛欠乏食を摂取しただけで生じ、亜鉛を充分含む食事を1日摂取しただけで劇的に回復しました。

この成果は、亜鉛の機能について詳細な知見が解明される第一歩になりうるとしていますが、基礎研究としては面白いのかもしれません。


東レPPオープン 大坂活躍

2018-09-23 10:11:06 | テニス
今週から東京・立川で東レパンパシフィックオープンという、女子のテニスの大会が開催されています。

このブログでもかなり詳しく書きましたように、大坂なおみがグランドスラムである全米オープンに優勝し、マスコミでも大きく取り上げられていますが、その日本への帰国凱旋試合となりますので、さらにマスコミの報道はヒートアップしています。

本来この大会は有明で行われていたのですが、現在はオリンピックに向けて改修工事中ですので、立川となっています。私は大坂が全米で優勝する前から注目していましたので、この大会は観戦しようと思っていたのですが、やや遠い立川でしたので断念しました。優勝前にはこの大会などほとんど注目されていませんでしたので、良い席が購入できたはずでかなり残念です。

さて大阪はこの大会は第3シードで出場しており、第4シードまでは1回戦が免除されていますので、初戦が2回戦のチブリコワ戦となりました。

この選手はスロバキアの30位で29歳とベテランの選手です。大坂は日本に来てからもスポンサーとのセレモニーなどでかなり忙しく、万全の体調かやや不安でした。グランドスラムなど大きな大会で優勝した選手が、次の大会では初戦敗退など良くありますのでどんなテニスをするのかかなり不安でした。

しかし試合が始まると、強い大坂がすばらしいテニスを披露しました。全米での安定したショットに加えて、190キロを超すサーブがビシビシと決まり全く相手の付け入る隙を与えず6-2、6-1と完勝しました。

全米での素晴らしいショットがさらに威力を増したような、見ていて全く心配することのない展開でした。

次の準々決勝はチェコの第8シードのストリコバで、こちらも32歳とベテラン選手です。この選手はダブルスも得意で何度も優勝していますので、大坂の苦手なネットプレーを得意としています。

試合前ストリコバは、ストロークでは負けるので色々なショットを組み合わせて面白い試合にしたいと言っていましたので、どんな展開になるか若干不安もありました。

しかし試合が始まると、大坂の早い安定したストロークで、ネットに出る時間を与えませんでした。それらしい動きは見せたものの、ネットに付く前に抜かれてしまいどうも打つ手が無くなったようです。それでもベテランらしい粘りを見せましたが、6-3,6-4で大坂がストレートで勝利しました。

この段階で第1シードと第2シード選手が敗退していますので、大坂の2大会連続優勝もだんだん現実味を帯びてきたようです。

なお全く話題にもなっていませんが、錦織もフランスのモーゼルオープンというATP250の大会に出場しており、準決勝進出を決めています。

ジェネリック医薬品は安全か

2018-09-22 10:39:36 | 
最近は薬局に行って処方薬をもらうとき、薬剤師からジェネリック医薬品を進められることが多いようです。

ところが薬を先発医薬品からジェネリックに医薬品に替えたところ、体調が優れなくなったという患者が増えているという話があります。

ジェネリック医薬品は、新薬の有効成分の特許が切れた後、別の製薬会社が製造販売する同じ有効成分の医薬品のことで、高額な開発費や長い開発期間を必要としないため、薬価は先行した新薬の7割以下となっています。

私はそれほど薬を処方されたりしていませんので、ジェネリックを進められたこともありませんが、絶対に使いたくないと思っています。

ジェネリックが有効成分は完全に同じで、同様の効果が出ることは理解していますが、薬の研究開発をやってきたものとしては、本当に大変な薬を創り探索し、開発するという苦労を全くせず、特許切れを待って同じ薬を販売するという、いわばいいとこどりだけをしているような会社は卑怯?ではないかと思っています。ですからそんな薬は、たとえ安くとも使いたくないというのが本音です。

さて国の財政を圧迫し続ける医療費削減のため、政府は現状約60%の普及率を2020年には80%まで引き上げることを目標に掲げています。ジェネリックの処方割合が高い薬局程診療報酬が高くなる仕組みを作る等して、国は強く誘導していますが、これは患者のための施策ではないと言えます。

今回問題となったのは、「薬の溶け方の差異」という部分のようです。高血圧の患者が、1日1回飲めばいいという新薬を飲んできて、それをジェネリックに替えた途端不調を訴える人がかなりいるようです。

高血圧の薬は溶け方に工夫があり、ゆっくり1日かけて溶けて、成分が体内に取り込まれるようになています。

ところがジェネリックの場合、ゆっくり解ける技術も導入していると言ってはいますが、中には怪しいものもあって薬を飲んだ数時間後に急激に血圧が下がってめまいがしたり、気分が悪くなる患者が出てしまうようです。

このようにジェネリックに義務付けられていることは、薬効成分が同一であるることと、溶出性もあるはずですが、新薬と違ってそれほど厳しい薬剤検査はないのかもしれません。

薬の種類にもよりますが、活性の高い成分の場合は1錠中に1%程度しか薬効成分の入っていない薬もあります。残りの成分は新薬もノウハウとして公表していませんので、全く同じジェネリックは作るのが難しいのが現状です。

薬への出費が抑えられると普及しているジェネリックですが、この「効きかた」には違いが出る可能性もあり、必ずしもいいことずくめというわけにはいかないようです。


孤立している化学物質過敏症

2018-09-21 10:25:58 | 化学
住宅の建材や日用品に使われる化学物質は現在国内で約6万7千種が流通し、なお増え続けているようです。

商品の品質を向上させる利点があるものの、体内に取り込むと頭痛やめまい、吐き気などに苦しむ化学物質過敏症(CS)を発症することもあります。

このCSやシックハウス症候群(SHS)は、建材の接着剤や塗料に含まれる化学物質が原因となります。この病気の難しい点は第1に診断がなかなかつかず、病院を転々としたり、CSと診断されても具体的な治療法がほとんどないところにあります。

汚れ落ちの良い洗剤、建物を傷から守る塗料、防虫剤、香料と化学物質の使途は多く、便利な生活を支ええいます。しかしその陰で苦しむ人がおり、この患者は70万人に及ぶと推計されています。

余談ですが私のように医薬品の開発をしていると最も怖いものが、過敏に反応して出る副作用です。通常の動物実験や臨床試験では全くでなかったものが、市販され何十万人が使用すると1万人に1人ぐらい(これはあくまで例えのようなもので、実際はもっと少なくなります)に副作用が出てしまうことがあります。

別に化学物質過敏症の人に副作用が出るというわけではありませんが、こういった非常に少ない副作用がなぜ出るのかも謎となっています。

さてCSやSHSは1990年代から存在が指摘されるようになり、合板や壁紙用の接着剤に含まれるホルムアルデヒドが代表格です。

厚生労働省はこれを受け、SHS対策としてホルムアルデヒドなど13物質の室内濃度の指針値を設定し、2003年の改正建築基準法では、ホルムアルデヒドを発散する建材の使用を制限し、シロアリ駆除用のクロルピリホスの使用を禁止しました。

化学物質過敏症支援センター(横浜市)によるとCSやSHSと見られる体調不良の相談は年間2千件におよび、こういった指針では改善されていないとしています。

SHSは04年、CSは09年に保険診療の病名リストに登録され、治療に健康保険が適用されるようになり、国が公的に病気として存在を見貯めたことになります。それでも外来や専門医が増えないのは、治療法が確立していないためのようです。

現在の対応は原因化学物質から離れ、換気などで室内濃度を下げる環境面の改善が原則となっています。そのため医療機関に入るのが再診料だけとなり、不採算部門として外来が閉鎖されていくことが多いようです。

発症には個人差があり、家族の理解さえ得られず孤立を深めているのが現状のようです。これを改善する動きは鈍く、まず医師も正しくCSやSHSを認識されるといった程度の対策しかないようです。まずこういった病気の発症メカニズムの研究から始めてほしいものです。