ごっとさんのブログ

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コロナとインフルエンザの同時流行の可能性「極めて高い」

2022-10-16 10:32:52 | 時事
暑くて長い夏がようやく終わったと思っていたら、急激に気温が下がり寒い日となったりしていました。やっと秋らしい陽気に落ち着いてきた気がします。

こういった気温が下がってくると心配するのが季節性インフルエンザですが、ここ2年はほとんど流行がありませんでした。

厚生労働省の新型コロナ対策を助言する専門家組織の「アドバイザリーボード」の会合が開かれ、今冬に新型コロナと季節性インフルエンザが同時流行する可能性が「極めて高い」とする報告書が示されました。

この報告書によると、新型コロナの拡大以後国内では流行が無かった季節性インフルエンザが、人の海外との往来の増加や国内の社会活動の活性化によって流行する可能性が高いと指摘しています。

新型コロナもこれまでの流行パターンから、冬季に感染拡大すると想定することは合理的だとしています。ただし感染者数は新型コロナも含めて「予測することは困難」としています。

私は今季もインフルエンザの流行はないと考えています。確かに現在は海外からの人の流れも回復しつつあり、インフルエンザは海外から入ることが多いといわれています。

この2年間インフルエンザは流行しませんでしたが、日本からウイルスが消えたわけではなく数百人程度は患者が発生していました。つまり流行しなかったのは、ウイルスが存在していてもコロナのための感染対策、つまりマスクの着用や手洗い、手指の消毒などが徹底していたため、感染拡大が起こらなかったと考えています。

今冬海外からウイルスが持ち込まれても、こういった感染対策はすでに日常的な行動になっていますので、多分感染拡大は起こらないでしょう。新型コロナの次の波が来るかどうかは、感染力が強い変異株が出現するかどうかですので、やはり予測することはできない気がします。

特に海外ではほぼコロナ前に戻っており、感染が拡大したかどうかなどの報道が全く入ってきていません。たぶん日本もこの流れに沿って行くと思われますが、感染者の全数把握をやめるという議論はその表れと思っています。

対策として季節性インフルエンザとオミクロン株に対応した両方のワクチンで高い接種率を実現するとしています。私もほとんど意味が無い4回目のワクチンを接種していますが、2回接種すれば十分なはずのワクチンをどこまで多重接種するのか疑問に思っています。

この報告書では全国の医療機関で、両感染症を診断・治療できる体制の整備、重症患者向けの病床確保などの対応が求められると言及しています。

これも新型コロナが通常の感染症として、どこの医療機関でも治療ができるようになれば、自然に解決することのような気がします。

「梅毒」の患者年間1万人を超える恐れ

2022-10-15 10:27:06 | 健康・医療
性感染症の「梅毒」の患者が増加しており、今年は現在の調査方法となった1,999年以降で最多となるようです。

それにしても梅毒という病名はいかにも古臭く、江戸時代ごろに命名されたのではないかという感じですが、確かなことは分かりません。

現在は良い治療薬があり、1回で完治するといわれていますが、抗生物質の発見以前は結核と同じように治り難い病気だったのかもしれません。

梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が原因で発症するとされていますが、昔は梅毒というとスピロヘータが原因となっていましたが、現在はより詳しく分類されているのかもしれません。主に性的な接触により、性器や口、肛門の粘膜や皮膚の傷口から体内に菌が収入します。

コンドームで予防できるようですが、口に症状があるとキスでも感染する場合があるようです。国立感染症研究所によると、9月4日までに報告された梅毒患者数は8155人で、年1万人を超えるペースで増えています。

戦後間もない時期には20万人以上の患者がいましたが、抗菌薬の普及で大幅に減っています。2010年代以降に再び増加に転じ、SNSを通じた不特定多数との性交渉の増加が背景にあるという指摘もありますが、詳しい理由は分かっていません。

性別では男性は20代後半〜50歳代前半、女性は20代の患者が多い傾向にあります。半年以内に性風俗サービスを利用した男性、従事した女性がそれぞれ3〜4割を占めています。

症状は性器や口内の潰瘍、太ももの付け根のリンパの腫れのほか、身体の一部や全身に広がる赤い発疹などで、何年もたってから心臓や血管、脳に障害が起きることもあります。

梅毒は発疹が出る他の病気と似た症状のため「偽装の達人」ともいわれ、痛みやかゆみがない人も多く、放置して感染を広げる恐れがあるとしています。主な治療法はペニシリン系の抗菌薬で、1日3回、4週間ほど服用します。

今年1月発売の新薬「ステルイズ」は、同じくペニシリン系の抗菌薬で、尻の上部にある筋肉に注射し、感染から3か月以内ならば1回の処置で済むようです。ただし発熱や頭痛、注射した部位の筋肉痛などの副作用が出る場合もあります。

この様にもはや梅毒は恐ろしい病気ではないのですが、若い女性の感染で懸念されるのが母子感染です。母親の胎盤を通じて胎児に感染する「先天梅毒」は、死産や赤ちゃんが障害をもって生まれることに繋がります。

梅毒というと前述のように古臭いイメージがありますが、性感染症である限りこれからも続いていく病気のような気がします。

認知症の臨床試験で悪化抑制を確認

2022-10-14 10:34:25 | 
最近テレビの情報番組を見ていたところ、日本の製薬会社のエーザイがアルツハイマー病の臨床試験において、症状の悪化を抑制する効果を確認したというニュースを報じていました。

ここでは患者の家族会などが希望が持てるというコメントを出していましたが、私は若干疑問を持っています。ここ20年ほどで欧米各国で100を超える治療薬の臨床試験が行われ、全てが失敗しています。

この治験薬の大部分がアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβを除去するというメカニズムの薬剤でした。こういった臨床試験がうまくいかなかった理由は色々挙げられていますが、そのひとつが発症のメカニズムにあります。

アルツハイマー病は発症する20年も前からアミロイドβの蓄積が始まり、これによって脳細胞が破壊されることによって発症します。この段階で治験薬を投与してアミロイドβが除去できたとしても、それまでに死滅した脳細胞は復活しませんので、症状の改善が見られないのです。

もうひとつが認知症の診断方法です。例えば血圧が160で高血圧とか、酸素飽和度が94%で低いといったような数値化、あるいは客観的な指標というものがありません。もちろん認知症テストなどといった判定法はありますが、どの程度なのかを測ることはできません。

そこでどうしても医師の属人的な判断が必要となってしまうのです。治験に参加している患者が、治験薬を投与されてから半年後に認知症が良くなったのかあるいは進行したかを判断するのが非常に難しいようです。

また認知症自体がいわゆるまだらボケとなり、ある時は非常にしっかりしたり、逆にボケたりするということを繰り返すという難しさもあります。この辺りの課題をエーザイがどうやって克服したのかよく分かりませんでした。

ここでは日本や欧米、中国のアルツハイマー病の早期患者1795人を対象に、治験薬である「レカネマブ」を投与したグループと偽薬のグループを比較しています。

投与から1年半後、レカネマブのグループでは、記憶や判断力などの症状の悪化が27%抑制されたとしています。問題はこの抑制率の27%という微妙な数字もありますが、このレカネマブが抗体医薬であることから来る薬価の問題です。

抗体医薬であまりにも高い薬価で問題となったオプジーボは、当初1カ月の薬価が300万円で、年間3800万円となっていました。これが数年後には年間1090万円まで下がりましたが、これでも途方もない金額です。

レカネマブの薬価はまだ決まっていないようですが、抗体医薬である以上安価にするといっても限界があるでしょう。認知症患者400万人に投与できる価格になるとはとても思えません。

たとえ承認されたとしても、一部の特殊な患者に投与するだけであるのなら、治療薬の開発とはとても言えないような気がします。

働く人の2割超が「夜間勤務」体内時計をどう修正

2022-10-13 10:42:47 | その他
私は研究職でしたので、基本的に夜間勤務の経験はありません。

有機化学では「終夜反応」という便利な手法があり、時間がかかりそうな場合はそのまま次の日の朝まで反応を続けることが一般的ですので、徹夜になることはありませんでした。

私が徹夜というと麻雀を続けて明るくなってやめるという程度ですが、次の日など2日くらい調子が悪かった記憶があります。

厚生労働省の調査によると、現在では勤労者の20%超が何らかの夜勤(交代勤務)に従事しています。人間の活動の24時間化や国際化が進んだ現代では、昼夜を問わず社会機能を維持する必要があります。

電力やガス、医療、運輸、通信などの社会インフラの維持に携わる業種は24時間休みなく、夜勤(交代勤務)に従事する人に支えられています。

夜勤では普段は眠っている時間帯に起きて仕事をしなくてはならないので、眠気もあるし日勤時よりも疲労感が強く、好んで夜勤に従事する人は少数派でしょう。夜勤者の睡眠の質が低下し、体内不良が生じる主な原因は「内的脱同調」と呼ばれる現象が体内で生じているためです。

簡単にいえば内的脱同調とは「睡眠時間帯と体内時計のミスマッチ」のことです。夜中になると交感神経が静まって副交感神経が活発になり、脳も含めた体の深部の温度が低下し、睡眠作用のあるホルモンが分泌されるなど質の良い睡眠をとるための体内環境が整います。

つまり睡眠とそれを支える生体機能のリズム位相が調和しているのです。ところが夜勤では、睡眠時間帯を人為的に動かすためその調和が乱れるのです。

こういった生体機能リズムの時刻合わせをしているのが体内時計で、これは強力かつ安定していてたまに夜勤があるからといって急に生体機能リズムを合わせることはできません。

この夜勤を何日ぐら連続して行えば、夜勤向けの体内環境が整うかという研究によれば、夜勤を2〜3週間続けてようやく可能になるそうです。ただこのような長期間の夜勤は少なく、例えば3交代制のシフト勤務をする看護師の場合、夜勤は月平均7.5回つまり週に2回程度となります。

この様な交代勤務では生体機能リズムは基本的に日勤に合っており、夜勤ごとに内的脱同調が生じてしまいます。このような長年にわたる夜勤は、生活習慣病や乳ガン、前立腺ガンなどの発症リスクを高めることが明らかになっています。

どうもこういった問題の解決策はないようですが、私は夜勤に向いているのかもしれません。私の体内時計はしっかりしていないようで、海外に出かけても時差ボケになったことがありません。

こういった個人差はあるものの、夜勤をする人によって社会がうまく回っていますので、その苦労に感謝すべきことのようです。

ガンは手術せず日帰り入院で治療する時代に

2022-10-12 09:34:15 | 健康・医療
ガンの治療法は、海外に比べて日本は異様に手術偏重の傾向があることをこのブログでも書いています。

内視鏡手術なども行われていますが、内臓のガンの場合は全身麻酔をはじめとして、患者の負担は想像以上に大きいような気がしています。

最近は肺ガンなどには、30分程度の治療時間で済み、超低侵襲すなわち患者の身体へのダメージが非常に少ない画期的な治療法が開発されています。

それが「光線力学的治療(PDT)」と呼ばれるレーザーを用いる治療法のひとつで、美容の分野では「フォトダイナミックセラピー」の呼び名で知られています。レーザーといっても、レーザーメスのように熱で病巣を焼き切るものではありません。

光に反応する薬剤(光感受性物質)を体内に投与し、手をかざしてもほとんど熱さを感じない程度の低出力レーザーを照射します。その際に生じる化学反応を利用して、ガン細胞を壊死させたり縮小させたりする治療法です。

この治療法は1994年に承認され、1996年に早期の中心型肺ガンに対して保険適用されています。当初は早期の中心型肺ガン、食道ガン、胃ガン、子宮頸ガンの4種類のみが保険適用されていましたが、現在は肺ガン(進行ガンの緩和目的)、悪性脳腫瘍、再発性食道ガンにも適用が拡大されています。

当時は「光過敏反応」(顔や手などの露出した部分に日光などレーザー以外の光が当たると赤くなったり、発疹や水ぶくれが出来たりする)という副反応を防ぐために1週間ほど光を避ける生活を送る必要がありましたが、現在は改善されほとんど不便はないようです。

しかし現実にはPDTがあまり普及しているとはいえず、私も全く知りませんでした。現状PDTは年間100〜200件しか行われていません。2018年に肺ガンと診断された人数は12万2825人で、その中で中心型肺ガンに分類される患者は10〜30%となっています。

こういった人を早期に発見できたなら、1万人以上がPDTを受けてもおかしくないのですが、この治療法の恩恵を受けている人はあまりにも少なくなっています。

この理由は肺ガン検診の受診者が少なく、早期発見が難しい事、またPDTの存在を知っている人が少ないからといわれています。

認知が広がらないのは、肺ガンで最も多い腺ガンを治療できないことから話題になりにくく、中心型肺ガンの最大の要因とされる喫煙人口が減少し患者自体が減っていることとしています。

しかし私はPDTを患者が知る必要はなく、むしろ医師が患者に選択肢として示していない(たぶんですが)ことが問題ではないかと思っています。このPDTがどの程度の治療設備が必要なのかよくわかりませんが、それほど大規模なものではないようですので、現場の医師がしっかり把握していればもっと実施されるのではないでしょうか。

患者が治療法を出すのではなく、医師が選択肢として出すのが本来の進め方と考えています。