内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

私には「枕頭の書」がありません、というか、ありえないのです

2024-04-15 00:00:00 | 雑感

 「枕頭の書」とは、『新明解国語辞典』(第八版、2020年)によると、「毎日欠かさず寝る前に日課として読む本」である。しかし、「枕頭」というからには、すでにベッドあるいは布団の中に入った状態で眠りにつく前に読む本であろう。就寝前、パジャマあるいは寝間着に着替える前に枕頭に端座して読む本は「枕頭の書」には該当しないのではないだろうか。少なくとも私にとってはそうである。
 それはともかく、私には「枕頭の書」と呼べる本がない。というか、それは私にとってほとんど不可能なのである。なぜなら、どんな本であれ、布団に入った状態で頁を開くと、まあ五分もたないで寝落ちするからである。まるで睡眠導入剤である。
 ところが先月、仕事部屋にはもう本の置き場所がなくなり、廊下に置く小型の本棚を二台購入したのであるが、それでも足りず、とうとう寝室にまで本が侵入することになり、それまではランプ台代わりだった枕頭の二段の小棚にも約五十冊の仏英和の本が並ぶことになってしまった。
 これら「枕頭の書」候補の選定にはかなり厳正な審査が行われた。その結果として並んだ本の背表紙を眺めるのは楽しく、これならば「これが私の枕頭の書です」と紹介できる本が今後誕生するかも知れないとちょっとワクワクしたのである。が、残念ながら、今のところ就寝前の状況に以前と変化はない。やはり五分もたない。それどころか、並んだ背表紙を眺めて今日はどの本を手に取ろうかと逡巡しているうちに眠りに落ちることもしばしばあるという体たらくである。
 これではそれらの本に対してまことに申し訳ない。そこでそれらの中から、これまでこのブログで取り上げていない本をときどき紹介していくことにする。
 と言ったものの、今月末までは辞書項目の原稿執筆で毎日朝から晩まで机に向かわざるを得ないので、それらのために「オリジナルな」書評のようなものを書く余裕は当面ない。で、昨日までと同様、しばらくはただ引用のみで御免蒙らせていただく(でも、そのほうがどうも喜ばれているような気配もあり、チョット複雑ナ気持チデス)。