
今日も、これといった荷物も持たず、カメラと七つ道具だけを持って、ぶらぶらぐるり、島を一周する。




帰り道。
いつもの公園に住まうネコさんたちに、と逢いに行く。
布バッグにひそませたカリカリを上げて、集まる5人に目配せをしていた。
すると、ツエを突いた優しそうなおばあちゃん、そのご近所のEさんに声を掛けられる。
そこから、ネコ談義が、桜の下で始まった。
そうしているうちに、毎日エサを東あずまから電車に乗って来られる、というネコたちのお母さん=Aさんに会ってあいさつをすることに。
***
実は、2人交代で365日、この公園にエサを持って来ている、ということを、もう1人の方から聞いていた。
いつか、この公園にカリカリを上げに行った際の先客が、もう1人のBさんだった。
そこから話しが始まって、それ以来、島めぐりをしながらシャッターを切るなか、Bさんには何度も出会っていた。
3月に、島のある場所で写真を撮っているとき、Bさんとばったり何度目かの偶然があり、この日は、その後、Bさんと話しながら、しばし同行したのだ。
歩くたびに、Bさんの通る時間を知っているネコたちは、カドっこ・カドっこで現れる。
Bさんが「チィちゃん、元気だった?」などと声を掛ける。
「この子はねえ。。。」と、それぞれの子の素性を話してくれた。
そのときの写真は、実はすでに掲載してある。
***
陽が沈んでいき、夜桜と三日月が輝いていく公園で、おばあちゃん・Eさん・Aさんと4人で話す。
Eさんは、家に4人ネコがいるが、外ネコがさらに4人居て、つかまえられない4人の去勢・避妊に困っている。
そこで、相談役として、Aさんがいろんなことを教えてくれる。
Aさんは(悲しいかな)マンション周囲でネコが増えてクレームをつけて来るもめごとを解決すべく、墨田区に申請をして、一定の補助金をもらって、自費で活動している。
「去勢・避妊の手立てをするので、今居る子を許してください」とカラダを張って、この墨田区の地域を歩いている。
ひどい無慈悲のマンション住民の場合は、そのマンションの近くでネコが殺されていることにも出会ったという。
いくつかのグループが、それぞれの地域で活動していることを、AさんからEさんは聞き、連絡先や、動物病院などを教授してもらっていた。

【ケンちゃんは、数百メートル先に住んでいたが、そこを追いやられてこの公園にたどり着いた、という】
こうして、だんだんとネコを媒介にしながら、知り合いが増え、ネットワークが枝葉を伸ばしていく。
今日は、約1時間程度の談義で散会した。
向かいやとなりの平成馬鹿家族には、あいさつ以外しないのに。
この場所に移って、良かったと思うことが多い。
暮らして6年程度の新参者だが、きれいな手入れされた花を撮影しても、このような怪しい男にさえ「撮ってくれてありがとう」と言われ、花をめぐってお話しが始まった経験といい、こういったことに遭遇する。
メディアが「プレゼン命」で捏造した「エセ下町」にはない、無理のない言い回しをさらりと言ってのけることに、昔から住まう市井の人々のふところの深さを感じる。
さすがは、関東大震災、B-29の投下する爆撃・東京大空襲をのがれて生き残ったラビリンス。
それは、スカイツリーや2020オリンピックなる、政府&利権集団主導侵攻による第三の東京破壊計画を前にした風前のともしびだが、今この時空で共に生きるには、十二分な展開である。

【キジトラちゃん2号は、幼い頃から片目が悪かったという】
■高橋幸宏 「Good Time」1983■
アルバム「Tomorrow’s Just Another Day/薔薇色の明日」より
作詞:高橋幸宏&ピーター・バラカン
作曲:高橋幸宏


