二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡が鳴るということ。その2

2010-07-31 12:55:04 | ■工房便り 総合 
居紫檀黒檀は、油分が多いので、木の全体に音が伝わりやすい。

響く、大きく鳴るという点ではどうなんでしょう。

今までの実験では、一番大きい音がするという木は、

どうも、花梨の二胡が、一番大きいようです。

殆ど同じぐらいなって、響くのは、バリサンダーですね。

ジョージガオさんと、お会いして、彼の希望の一番は、大きい音。

次に遠くに響く事。

いわゆる遠鳴り。

花梨の二胡は、確かに大きい音がします。

お持ちの方は、他のと比べてみてください。

しかし、遠くに、人ごみの中等、

あるいは演奏会場の後ろまで、音が抜けて行くというのは、あまりないようです。

遠なりがする条件とは?

どんな厚い壁をも抜けて行く音というのがあります。

周波数の低い音です。

昔、府中の大太鼓は、荻窪まで聞こえたと、言われます。

15、6キロありますかね。

ドイツでは、1、とか2とか言うヘルツの、振動兵器が研究されたとも言います。

要するに低い音は、周波数の低い、長い波は、かなり遠くへまで聞こえます。

以前、東京の、1500人ぐらい入る、ミューズというクラブを設計しました。

この時の問題が、やはり、スピーカーのウーハーの低音を如何に外に出さないかということでした。

結局踊り場全体に、鉛の壁面でかこってしまうという方法をとったのですが、

低音は止めきれず、時々、周りの住人とのトラブル持ち上がりました。

クラブは、爆音ですからねーー。

二胡は、低音ではありませんね。

劉天華師が、規定したといわれる、今の二胡のD Aという音の設定、

私なんかには、むしろ高い音のように感じます。

楽器の中でも比較的高いほうなのではないでしょうか。

多分、これは、中国語という言語のせいではないかと、私は密かに考えています。

日本語に比べると、口頭音が多く、比較的高いように感じるのは、私だけでしょうか?

話がそれました。

遠鳴りの件つづけます。

二胡は倍音の多い楽器です。

ですから、その全体の音は、遠くには飛びにくいのでしょう。

音は、シンプルで、クリアーなほど、遠くに飛びやすいといわれます。

そうすると二胡は、もっとも倍音が多い分、遠くに飛びにくいのでしょう。

どちらかと言うと、身の回りの人にきかせるような楽器だったのかもしれません。

又話は飛びますが、

大道芸で生活していた、アービンにはこれは、ハンディーだったでしょう。

遠くまで聞こえないので、客の足を止めにくいかと思います。

以前新宿をあるっていた時、ふっと、耳に入ったのが、馬頭琴の音でした。

西口の雑踏の中抜けて来るのは凄いですね、

当然、近寄っていきます。

すると、一緒に、二胡も弾いていたのです。

多分人垣としては、5重くらい。

その外では二胡はかすかにきり聞こえず、まるで馬頭琴のソロのように聞こえたことがあります。

それで、アービンは二泉映月なのではないでしょうか?

5度は低いのですから、多少は、遠くに飛んだのでしょう。

遠くに届く音にするには、もうひとつ、楽器全体が鳴る。

弾いている人の体が鳴るくらいの、楽器ならば、胴の出しているボリュームを超えて、

棹まで鳴ったいたとしたら、それは、遠くにまで少しは、響くのではないでしょうか。

続く

西野和宏。



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2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
特に重低音 (nishino)
2010-08-01 21:07:18
ホントに手を焼きましたよ。

排気管から出る音の為に、サイレンサーつけたり、でも、ウーハーは止まりませんでした。
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Unknown (Jimmy)
2010-08-01 00:42:13
昔は二胡でも1km先くらいまで聞こえたくらいの大音量で鳴らせた人が居たそうです。大御所もマイクを使わない派で、マイクを付けて演奏する風潮を嘆いてました。とか言いながら使ってましたけどね(ww

でも確かにワタクシの3倍くらい大きな音で演奏してるし、よく怒られます(ww


それと低音の遮音で苦労されたのは良く分かります。低音は難しいです。いくら重さをかけても低音領域の遮音特性は悪いです。構造物全体が動いちゃうのでダメなんですよね。
壁の共鳴透過とかコインシデンス効果なんかあると最悪です(ww
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