二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

6月14日(日)金属糸軸、ギアからボルトへチェンジ!! 11:00~17:00

2015-06-16 08:44:41 | ○営業日の報告日記
二胡を愛する皆様こんばんは、鞄持ち ほぉです。
土曜日、
ワタクシが店主の作業台があまりにも酷い状態に痺れを切らし片付けていると、
外で、「わーっ!」 っと叫ぶ声。
しかし片付けモードに入ったら夢中になるワタクシは無視。 
すると暫くして「釘、足の裏に刺しちゃったよ」と言いながら店主が戻って来ました。
「ああ、それで叫んでたんですね」
「聞こえてたなら来てよ、冷たいなぁ、1センチは刺さったんだから」
108城では普通に釘が落ちていますから足に刺すのはさほど珍しい事では無く、
ワタクシも過去4、5回は刺しています。
大抵厚底に守られ大事に至らないのですが、店主の場合、裸足に釣り用サンダル。
「駒之丞は飛んで来てくれて、消毒してくれたよ、奴は優しい」
「ハイハイ、わたしゃ冷たいですよ」
ムカデに刺され救急車呼ぶ大騒ぎから1年経っていないのに
懲りずにまだ裸足にサンダルでウロウロするのですから、同情の余地無し。
恐るべき治癒能力を持っているので翌日には治ってるはずですし。


しかし日曜日、
店へ向かうハンドル握りながら「指は治んないなぁ」と言う店主。
足よりも先に、金曜日にも左手の人差し指を深く切る怪我をしたのですが、
縫うか、縫わないかの際どいところだったので病院に行かず。
そのせいなのか、そちらの完治は遅れている模様です。
足の治癒なんかにムダに特殊パワーを使ったからじゃないかと思いますが、
過去の大けがで親指が普段から動かないのに加え、人差し指も負傷中となると、
この日の調整作業は大変そうでした。
そういう時って余計に体力を消耗するみたいで、
傍からは簡単そうに見える調整もかなり消耗するので、夕方はグッタリしてました。



それでも、二胡医の需要はまだまだありそうですね!
特に今週は金属軸のギア式の修理ご依頼が3連続でしたし、電話でのお問合せも入りました。
また、メールで入ったご予約もどうやらギア式部品の交換。
そして、まさしくその日、
修理入院していたTさんの二胡は『ギア→ボルトの改造修理』を終え、退院を迎えていました。
以前は、ギア式の金属軸の二胡は壊れても直せないのでお受け出来なかったのですが、
修理の視点を変え、ボルト式に改造する事でギア式を救う方法を見出したのです!
そうしたら、この修理ご依頼の連続っぷり。
あちこちでギア式の不調に悩んでいる方が出始めているようです。

Tさんは、本来6角形より音が大きい特色を持つ8角形の二胡を使っていながら
修理するまで感じたことが無かったようで、
「あら!音が大きくなってる!!」 とビックリ!
恐らく部品の不具合が音を小さくしてしまっていたみたいですね。
「これでやっと沢山弾けるわ♪」 と、嬉しそうでした。



修理や調整が済んだお客様達が、
「嬉しい!これからはもっと練習したくなりました!」 
とおっしゃって下さるのが本当に嬉しい瞬間です。
と言うのも、光舜堂では楽器を整えたり直したりこそしますが、
本当に良い音色を作り上げていくのは、その後の皆さんの弾き込み次第だからです。
また、福音弓も高額駒も、もちろんウチダ駒も、その後弾き込んで育てる必要があります。
買いたての替えたてホヤホヤでは、真の良い音色ではありません。

話が飛びますが、
先日、CDMを張ったばかり中国製の楽器と、
同じ工房製の、全く同じ型、同じ樹種の木の蛇皮の新品二胡を弾き比べる機会がありました。
最初から育った理想的な二胡の音色を表現するCDM。(それでもまだ育ちますが)
その場に居た方々は「この音色好きー!」 と、ご自分のイメージする二胡の音色と
CDMの音色は近いようです。
対して蛇皮の新品は、新品だけに音は若くて硬く、育ち行きつく先がCDMの音色だとしたら
相当弾き込まなければならないだろう、という印象。
これが、蛇皮を育てる、と言う意味なのでしょう。

買ったばかり手に入れたばかりで理想の音色を求めても駄目なのです。
千斤を変えようが、高い駒に替えようが、高級品と言われる弦に張替えようが、
楽器を手にした直後に結果を求めても無理です。
また、もし調整をする事がどうしても出来ないのであれば、
駒や千斤をいろいろ取り替えるより、むしろ只たくさん弾いた方が有効です。
( あ、でも二胡姫さんで売ってるウチの駒は効果有ります!)
楽器が良い音色になるには、貴方の弾き込み無しには語れません!
どうか、しっかり沢山弾いて、楽器をしっかり鳴らして育てて下さい。

理想の音色がしないからと楽器を買い替えるのは、それからです。
店主が言うには、
これまで診てきた楽器のほとんどは、弾き込みがまだまだ足りないそう。
次の二胡を買い急ぐ必要はありません。
( あ、またウチのが売れない原因を作ってしまった!)


また、取れる、折れる、砕ける、の、二胡の頭部のアクシデント、
直せます!
「折れたらもうダメだから新しいのを買いなさい」と先生に言われた方もいますが、
とんでもない!買い急がないでください!!

この日は頭部が3分割になった二胡が修理を終えて退院して行きましたが、
修理の跡形もありません。
内緒で直しにいらっしゃいましたが発覚することは無いでしょう(笑)

また新たな修理入院の二胡も、ボッキリと乱れた折れ方をしていました。
普通、スパッと綺麗にカットしたように折れることが多い箇所ですが、
この二胡は違い、しかも、破片は別の場所に在るという事で
後日工房に別送してもらうことに。
それでも、
破片の現物を見ていなくても確信を持って言えます、直ります!
頭部が完全に紛失していた二胡でも、
そこだけ新たに製作して再生させたこともありますので大丈夫です。


それから、値段で判断して良し悪しを決めてしまわないで下さい。
この日修理退院したYさんの楽器は、古いお土産二胡の中古品で3800円でした。
さすがに台は安手のプラスチックでしたが、他は非常に良い品でして、
今回全てを修理して整えて、20万円代のレベルの二胡に生まれ変わりました。
「Yさん、いらなくなったらその二胡5千円で売ってね、ウチで20万で売るから(笑)」
と店主。

どうか、楽器に不具合が出ても、先生から駄目だと言われても、
新しいのが買いたいのでなければ(買いたい方は止めません、お買物は楽しいですから)
ご相談ください。
酷い楽器だと貶されてトラウマになった方が何人もご来店していますが、
その方々の楽器を診てみると、
なぜこんな良い楽器を貶すのか、というような良品ばかりです。
こんな高級品そうそう無いよ、というような楽器でも貶されています。


でも救いは、一方では生徒想いの先生もいるという事です。
或る先生は、年配の生徒さんには新しい楽器にお金を使わせたくないから、
自分で調整をして今の楽器を良い音色にしてあげたい、と店主から学ぶ事に熱心です。
楽器を買い換えるに値する福音弓を紹介して喜ばれながらも更に向上させようと、
遠方にお住まいなのに、上京してでも調整を学ぼうという熱意は本当に尊敬します。
そういう善良な先生についた生徒さんは幸せですね。

またこの日いらしたW先生は、
ご自分の生徒さんが弦のまき直しも出来ない事の無いようにと、
「1本でもいいからやってみなさい」とやらせるそうです。
過保護にケアした為、生徒を弦替えはおろか、弓も外せない人にしてしまう先生が多い中、
こういう先生は本当に生徒さんの事を考えていると思います。


ところで、このW先生、
とても聡明な方なのですが、頭が柔軟で驚きました。

現在、弓の持ち方や弾き方というのは幾つもパターンがありまして、
先生によって教え方が違います。
其々のフォームは其々に特色があり、諸々意味有ってそのフォームが確立されたようですが、
店主は一度見ると覚える特技によって、そのあらゆる弾き方を知識として持っています。

しかし、自分の弾き方以外は受け入れられない人も多い中、
ところがこの日W先生は、店主の弾き方の違いの説明をもの凄く素直に受け入れていて、
そのあまりの素直さに、側で会話を聞いていたワタクシは本当に驚きました。
既にものすごい腕前を持っていながら、自分の奏法に固執しない姿勢。
スバラシイ!
店主は常々、「伸びるのは、素直な人間だけ」と、
ものつくりにしても、演奏家にしても、二胡の先生も生徒も、共通して、
『素直さ』を上達の第一条件と挙げます。(ワタクシのような頑固が最悪なんだ、とも)
何にせよ、
こういう探究心が有って頭の柔らかい先生についた生徒さんは幸せですね。


そして今週もまた往来の方々が二胡を初体験!
お一人、すごく熱心な方がいらして、かなり長い間熱中されていました。
閉店間際にいらしたカップルさんは、
店主のスタミナが切れていたのでいつものような閉店時間延長出来ず、
あまり沢山弾かせてあげられなかったのが残念でしたが、
それでも初体験にご満足いただけたようです。

今週もご来店ありがとうございました!



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