二胡の救急箱（自分でできる二胡のメンテナンス及び調整方）その５

７）湿度の高い時、皮のそばにシリカゲルを近づけないこと

皮が、バリバリに乾いてしまいます。

シリカゲルをケースに入れるときは、

直接楽器に触れないように気をつけて、離れたところに入れましょう。

基本的に、ハードケースであっても、

内部に湿気が侵入するのを妨げることはできません。

皮が湿気ると、演奏した時音がぼてぼてします、

それを防ごうと、シリカゲルを、皮のそばに入れる方も居ますが、

皮にシリカゲルが触ると、その部分だけが湿気を失い、

そこだけ、乾いて、皮全体に、平均した力で、張力が働いているのをゆがめてしまい、

雑音の原因になります。


8)弦を張りっぱなしにしないこと


演奏や練習の後必ず弦は半回転だけでも緩めてください。

特に長期（２週間以上）二胡演奏しないとき、

また湿度の高い時は、必ず緩めてください。

湿度があると皮が軟らかくなります。

もしそのまま置いておくと皮に駒の跡がつきます。

その部分だけ円く跡が残り、沈んでしまいます。

これも良い音が出るのを妨げ、雑音の原因になります。

皮は、均一に張られ、均一な張力を持っていてこそ、

初めて良い音もし、雑音も出なくなります。

もし、長期に、置いておくときは、駒を、

外すか、または、胴の一番上の硬い所へ、移動して下さい。

以上の８項目は、

光舜堂を始めて以来、ご来店いただいた方々の二胡のかなりダメージを受けた症状です。

もちろん、皆さんご自分の二胡を大切にされていると思います。

しかし、他の木製の楽器などと違い、

二胡の場合、その制作の状態や、条件が解りにくかったこともあり、

かなり不確かな、情報が様々に流れていたりもします。

自分で作って来て、自分で実験を繰り返し確認したことを、今このような形で、

皆さまにも、知識を共有していただきたいと思って、

この、「二胡の救急箱」書きました。

二胡は、自然素材で出来上がっています、

特に、生の皮を使うというかなり、気温や湿度などに影響されやすい楽器です。

その点、人間の身体と何ら変わりはないと言っても良いと思います。

病気や、怪我をする前に、皆さんも、身体には気をつけていることでしょう。

病気になる前に、

先ず、予防という考えが、二胡にも必要なのではないでしょうか。



また木でできている、楽器は、必ずメンテナンスが必要であると、

皆さまにも認識していただきたいと思います。

健康診断ですね。

次から、楽器の調整を含み、メンテナンスの細かいことを、

またご自分でも出来ることを、書いて行こうと思います。

光舜堂

西野和宏