光舜松脂を作っていて、今更ながら松脂は弦に対してどのように働くのかを考えてみました。
熟成された松脂は、大変細かい粒子で、このように弓毛に同じような大きさの粒子として並びます。(上の絵)
現状市販されている松脂達は、この絵のように(下の絵)回りをオイルに包まれた状態で弓毛の上に並びます。
したがって、松脂が直接直ぐに弦を振動させるのではないようです。
また、オイルの質によっては、粘りがあり、松脂の粒子が一塊になり引っ掛かりを実現するのだと考えます。
もともとの松脂樹脂の中には採取したばかりですと約80%以上のテレピン油が含まれています。
其れを、蒸留してテレピンと松脂粒子に分けるのですが、相当何段階も経ても最終的には20%くらいはテレピン油が残った状態になっています。
ただ通常の蒸留などではこれ以上にテレピン油を抜くことはできないようです。
ですから地面の中で数十年も時間をかけることで、天然の松脂粒子だけの松脂が取れることになります。
それらのテレピン油を全く0ゼロになったものが、天然熟成の松脂です。
通常販売されているものには、さらに、ひまし油や他の不乾性油を混ぜて粘りを出して、それがいわゆる弓毛の引っ掛かりになっています。
金属を外側に巻くようになってから、擦弦楽器の弦はそれまで手に入っていた天然に熟成された松脂では引っ掛かりというのが弱くなったようなのです。
光舜松脂の0ゼロはそれではどうして、ヴァイオリンを鳴らせるのかと言いますと、更に粒子を細かくなるようにして、弦への密着力を高めたのです。
それと松脂粒子はテレピン分が無くとも多少の粘着力を持った粒子です。
またこれは電子顕微鏡などで見て見ないと完全にはわかりませんが、どうやら松脂の粒子は結晶化して、雪の結晶のように様々な形態があるようです。
その極端なのが、Kです。
Kは硬くなおかつ鋭角部分をかなり持った結晶のようです。
ですのでとても鋭敏に弦を振動させ尚且つ音色もかなり硬い感じがするのです。
0ゼロを割ってみると粉々の比較的丸さを手に感じます。
しかしKは割るとかなり鋭角な細かい粒子に分かれます。
たぶんそれらが、聞こえてくる音に影響するようです。
0ゼロは松脂自体の持つ粘着力だけですので、ガット弦でしたら多分チェロくらいまでは十分鳴らせます。金属を巻いたものですとどうやらヴァイオリンぐらいの太さの弦が適正なようです。
そこで、今回さらに太い弦に適応するように研究してきたのが0ゼロseriesです。
そしてこのゼロシリーズは、(0を除く)1.ON。2そしてBも、他社の作った松脂の上にも十分乗り、光舜松脂の特性を皆さんに味合わせてくれます。
20種類を超える他社の松脂に試したところ、とても素晴らしい音色になるのは確かめることが出来ました。
一番安い、260円の中国製の松脂から、1万円を超える松脂の上に乗せてもも、それ以上の、音色で響き渡ります(出来たら光舜松脂だけで、とは思うのですが)
是非試してみてください。
松脂工房光舜堂&ほぉ・ネオ