二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

良い楽器について考える、いわゆる良い木だからといって,良い楽器になるわけではない。

2020-11-19 10:05:07 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
5年くらい前に、ある楽器屋さんへ行きまして、いろいろ二胡を見せてもらいました。

老紅木や紫檀など、何台か弾かせてもらって、やっぱり高額なものはそれなりに良いのだな、などと考え、そんな話をしていたところ、

お店の助手の方が、棚から15万円の老紅木を持ってこられて、「弾いてみてください」

弾いたところ、驚きましたね!

楽器全体が振動している、二胡を置いてある腿と腰にずっしりとした振動が伝わってきます。

体全体が振動するような感じです。

これは良い楽器だと、「なぜ、これだけ良い楽器が、こんなに安いのですか、その紫檀の50万円のよりよほど良く鳴るし、音もよく出るし」

と私が言うと、そのお店の方が「それは老紅木でそれほど良い木ではないから、皮も特急品というわけでもないし」

「え!でも今日弾かせてもらった中で一番良く鳴ってるし、感動的なくらい響きますよね}

どうやら私の考えとは少し違うようでした。

確かに高級な紫檀ではないですし、確かに弾いた感じまあ、当然ながら新しい楽器ですから若い感じはありました、しかし、鳴るんです。

その鳴りも楽器全体が響いている感じ。低音から高音までしっかり響きます。

これ買った人はお買い得でしょう。

確かに高額な木というのはあります。一㎥でベンツが3台くらい買えます。

確かに美しいですし、楽器にした時の鳴りというのも音色も特別感はあります。

しかし、同じ木だとしても、部分部分で随分、というか、相当音が違います。



これは、マホガニーです。よく見ると右の方と左の方では、木目の感じが違いますね。

色も違いますが、右の方は導管と導管の間も狭く、木目も狭く、ぎゅっと詰まっている感じがします。

これらを別々に製材して重さをはかると、木目の詰まっている方が、約8%くらい重いのです。

以前弦堂さんが、「私はどの木が何の名前なのかは、すべてを知っているわけではないですが、楽器の材として良い質の木というのはわかるつもりです」とおっしゃっていました。

同じ木でも楽器としての質の良さを感じさせる部分というのがあります。

それは密度が高い木です。

では、密度が高い木と低い木では何が楽器として違うかといいますと、

音の重量感が違います。特にその楽器の低音部の音がとても複雑な鳴りをします。

そして高音部も密度の低い木に比べるとある程度の幅があります。

そして体に感じる振動が大きいのです。

また、良く乾いた木は全体に収縮しています。ですから密度は上がります。

木全体が酸化して細胞が固くなってきます。

柔らかいものより硬いものの方が強く振動します。

ですから、古い木の方が、楽器にしたら鳴るという事だと思うのです。(古い楽器を大切にしようという私の意見はこのようなことも関係しています。

ある楽器屋さんで見せてもらった老紅木、とても密度の高いところなのです。

とても良く鳴っているのに、老紅木だというだけでかなりお安くなっている感じです。

確かに木にはそれぞれの種類で金額が違いはするのですが、それは楽器としての金額という感じでは、今の二胡業界には無いようです。

とかく高級な紫檀、例えば、小葉紫檀、本紫檀(日本で言う)にしても、確かに音色としては、紫檀の音色なのですが、

鳴らない楽器もあります。まあ、鳴らないというと語弊がありますね。もちろん高級な皮を張ってあり、音としてもかなり出ているし音色もよい、

いかし、訴えてこないのです。

このことは木だけの問題ではなく皮の質そして張り方などにもよります、そして棹の種類構造組み立て具合など、様々なことを含みますが、
木だけで絞ってみた時に、木の密度の違いというのは、音の質に相当大きく影響していると考えられます

これ感覚的な言葉でしかないのですが、魂に訴えてくる、心に響いてくる、そういう楽器があります。

私はそういう楽器が良い楽器だと思っています。

そういう楽器をよく見てみると木の密度の高いというのは、条件の一つになると思います。

それはあなたが沢山いろいろな楽器を弾いてきたことがあるから言えるのでは?という意見もあるとは思います。

しかし、本当に良く鳴る楽器は、まったくの初心者ではない限り、弾いた瞬間分かる、感じるものではないでしょうか。

金額は一つの目安です、木の種類も一つの目安です、むしろ気にすべきは木の密度ですし、素直に感じる、楽器の振動を良く感じるという皆さんの感覚が良い楽器というのを決めていくはずです。













































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