二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡は唄う木の筒である。

2015-07-04 11:39:52 | ■工房便り 総合 

これは二胡の筒の中です。



これはヴァイオリンの中の構造です。

東洋のヴァイオリンと言われる、二胡ですが随分違うものでしょう。



これは、丸太の船です。



これは竜骨を持った構造船です。

なんだか二胡と丸太の船、そして、ヴァイオリンと竜骨の構造船似ていませんか?

二胡にはいまだに、一木から削りだした楽器もあります。

ラヴァナストロンと言われるインドの昔の二胡のご先祖様の中にも、一木から削りだしたものが多いようです。

今の二胡は、6枚なり8枚の板をはぎ合わせて筒にしていますが、基本的には、

単なる木の筒なのです。

勿論楽器として成り立つように様々なところは薄く削られていたりもしますが、意匠幾何学的には、動物と丸い穴の空いたドーナッツが同じであるように、

今の二胡もラヴァナストロンも変わりはありません。

要するに、木の筒なのです。

先日二胡のことがわからない素人が作ったと言われたりもしましたが、(まあ、私にそのようにいいたがる人はたくさん居ます)
二胡は十分素人でも作れるものではあります。

何しろ木の筒ですから。

この画像のヴァイオリンのように、細い木と板とで骨組をこしらえその上に3ミリくらいの板を削り込んで振動板にして行くほどの技術というのは、ある意味必要ないのです。

これは良いの悪いのという話ではなく、

木の筒そのものの質が二胡の音色を決定するという事なのです。

如何にも二胡は難しいという話をする、その道の専門家もいますが、

今の二胡は手作りではなく、工場で普通の職人とも言えない人たちが機械加工しているのです。

勿論昔の二胡は一台一台職人さんが手彫りしていたでしょうが、今使われているような紫檀黒檀などという硬い木ではなくもう少し柔らかい花梨であったり、カエデであったりしたのです。

私もこの年になってはじめて木工で素人と言われたのには驚きましたが、(60年も木工やっていますから)

その道の専門家はついつい自分の物はとんでもなく難しく素人にはできないと言いたいのでしょうね。自分の権威づけでしょう。

これは私なんかも気を付けなければいけないことで、ついつい思い上がってしまったり、あるいは自分の権威を守ろうとして人を批判したりもします。、いけないいけない。気をつけます。

勿論二胡は蛇皮という振動部分がありこれはこれで大変難しい物です。

何しろ、生の皮をある一定の張り具合に貼っていかなければいけないことですから、

ただいまの二胡はその削りの形だけが規定されて、(各社独自な型があるという人もいますが)問題はむしろそこにこそあるのでしょう。

木は一枚一枚持っている音が違います、振動が違います。

それを6枚なり組み合わせるのですから本来は同じ厚みであって良いわけではありません。

むしろ良くなるように手で削りだすべきなのです。

直径10ミリ前後の駒でも同じことが言えます。

ヴァイオリン駒などもある程度はきちっとした形の左右対称な型の物が市販されています。

また、最初は左右対称に造りもします。

ところが、弦の太さはそれぞれ違いますし、振動板も微妙には左右が違います。

ですからそれがそれぞれの弦の振動をしっかりとらえるように削り込んで調整していくと、

必ず左右が崩れ、駒の穴の位置なども真ん中ではなくなっていくのす。

とにかく駒の木を削ってそれから真ん中に穴が来るように穴をあけたとしても、今度は調整が狂ってしまいます。

二胡の弦、内外強さも太さも違います、ましてや、木も左右の重さというのは違うのです。

皆さんも、今このような梅雨の時期、だまされたと思って二胡の駒削ってみてはいかがですか?

もし、コマの真ん中の穴に細い針を通して、左右どちらかに傾く時には、左右の重さが違いますから、

その時には重い方、下がっている方を少し削ってみてください。

駒はそれだけではなく、上下もありますからそれも気にしながら削ってみてください。

相当鳴りが良くなるはずです。

駒は楽器に一台一台合わせて削り込んでいくのが正しいと思いませんか?

そして駒の鳴りを考えながら試してみながら削っていくのが正しくはないでしょうか。


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