同じメーカーで、同じ紫檀(小葉紫檀)で形も全く同じでどうしてこれほど鳴りが違うのか、なんで私のはこんなに雑音があって、音は大きいのに音が裏返るし、と感じてきた方も多いと思います。
ニ胡は、基本的に弦が振動して、駒を通じて胴が鳴りますね。
その胴の形によって、音の出方が変わります。
胴は、木の筒に蛇皮を張ってあり、蛇皮が振動することで、木の筒がニ胡の音色を作り出します。
その木の筒の形状が、ニ胡の鳴りや響き、音の大きさ、そして内弦外弦の鳴りの良し悪しを決めてしまいます。
又、雑音、特に音の裏返り等もその形状によって決まってしまいます。
所で、ニ胡の胴の製作は全て機械の刃によって削られています。
メーカーによっては、多少の形状の違いはありますが、蘇州系、上海系、北京系、各々に、同じ形に機械で削られるのです。
当然、どのメーカーも形は同じです、いくらこれは名人作のと言っても、手彫りで胴に装飾的に彫り物でもしていなければ、胴の基本的な形は同じなのです。
寸法も変わりません。
ですから、花窓などは既製品の物が多少の削りを入れれば入るようになっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/be/d156eaf6e2d1a35e54892d8e5c92d1e4.jpg)
これは蘇州系のあるメーカーの物を分けてもらっているのですが、この20年くらいの間に作られた蘇州系そして上海系の物には問題なく使えました。
そのように二胡の胴の形とサイズは殆ど同じはずなのに、鳴りや響きには相当違いがありました。
今でもかなり苦労して調整する楽器があります。
一つには内弦がどうしても不安定なもの、当然内弦のハイポジションは鳴りません。
また、内弦のFの音がしっかり出てこないもの。
外弦と内弦の音の響きに違いのあるもの。
2オクターブまではかなりよく鳴っているのに3オクターブ目からいきなり弾きにくく鳴らなくなるもの。
本来なら一番良い音色で鳴るはずの2オクターブ目が良い音色にならないもの。
弓を変えても松脂を変えても駒を変えても、さらには先生に弾いてもらってもどうしても音の裏返りが2オクターブ目に出てきてしまうもの。
などなど、これは皮の張り方の問題なのかと、念のために人工皮を張って試してもこれらの問題が出てきてしまう楽器というのがあるのが、二胡なのです。
中には、最初は雑音ぽく音の裏返りが酷かったのだけれど、直ってしまったという楽器もあります。
皆さんが楽器を楽しむうえでこれらの事があると、どうしても弾きたく無くなくなります。
そこで、もう一台購入などということもあったのではないでしょうか。
それでもどうしても二胡は最初は雑音ぽく響きます。すっかり良い音に鳴るのには数年かかったりもします。
そこで楽器を修理し良い音に鳴らすにはと、自分でも楽器を作り試してきたのです。
雑音や鳴らない事や弾きにくいことなど、楽器本体の胴を触らずそれ以外の木軸の調整、台の調整、棹の曲がり直し、皮の歪みの調整などはやってきました。
しかし根本的な胴の形状による振動の歪みに対することは、皮の張替えの時以外はできません。それは胴の一部を削ったり足りないところ(事項で説明します)に木を張ったり木の粉をボンドで張りつけたりしなければいけないからです。
多分この4,5年で二胡の金額はさらに上がるでしょう。蛇皮も木も上がっていますし、何よりも中国国内でも人件費はあがって更には十分乾かした良い木も枯渇してきているからです。
最近の二胡の木はよほど高額なものでないと、昔のような良い木は使ってないですね。
そのためにも、今皆さんが弾いている二胡、あるいは良い楽器のはずが弾きにくくて、仕舞ってあるような楽器を、皮を張り替えると同時に、内部の補修をして、みなさんが楽しく弾けるような楽器に仕立てていくというのはいかがですか?。
今持っている良い木の楽器大切にしましょう。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ