二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡の修理百科。内弦の高音部に現れる擦れ音。

2013-05-22 09:04:00 | ■工房便り 総合 
二胡は、どうしても高音の出が良くありません。

今の二胡は、胴が大き過ぎるからかも知れません。

昔の円い二胡は胴の大きさが今よりだいぶ小さく、直径で85ミリくらいの物が多いのです。

これらの50年ぐらい前の楽器は、高音もよく出ます。

それは胴の直径が小さく、高音の小さな振動をよく拾い出すからでしょう。

現在の二胡は、音の重厚感を求める為に皮も厚くなり、胴の直径も大きくなりましたから、高音を拾いにくくはなっています。

バイオリンは、F字孔が、真ん中あたりにあります。

そのF字孔の役割は、振動板として木の鳴りの斑を取り去る為、という役割と、もう一つは2つのF字孔を開けることによりその間を面積を狭くして、高音の小さな振動でも拾いやすくした役割も有ります。

ですから、バイオリンは高音もよくなります。

二胡の場合、振動板が柔らかい皮で出来ていますから、まさかF字孔のような穴をあけるわけにはいきません。

今皆さんのお持ちの、二胡は、1950年代に入って、中国政府が、国を上げて作り上げた二胡の統一基準が元になっているものです。

それ以前の二胡より随分改良され、より、バイオリンなどの、ヨーロッパの楽器に近い完成度を得られたものです。

重厚感というのも大切にされたからかも知れませんが、その分、よほどうまく皮が張れていないと、高音が出にくいのです。

特に内弦は弦も太くなり、ハイポジションでは、音が擦れてしまうことも多いです。

音になりきれないのですね。

この擦れ音を直すのには千斤の調整だけでもある程度は直ります。

千斤を巻くのに、従来の沢山巻く巻き方ではなく。2段に分けます。

上の方は3ミリぐらいの幅に現に巻き付けて、それから、棹だけにやはり3ミリぐらい巻きつけます、再度弦に3ミリぐらいを巻きつけると、千斤が音を吸収してしまうのを防いで、多少内弦の高音も出るようになります。

詳しくは、ほぉさんの日本全国二胡瓦板の次の号を見て下さい、その方が判りやすいと思います。

本格的に鳴らすためには、胴の皮の張ってある部分を薄く削ります。

そうすると、振動しやすくなりますから、高音でも出て来るようになります。

但し皮の張り替えが必要になって来ます。

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