二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

春は鳴る、その3

2013-04-04 09:35:25 | ■工房便り 総合 
ストラデバリウスという偉大なるブランドが出来てしまったためででしょうか、バイオリンの世界ではもう誰も、材料を変えようとはしません。

裏板とネックは、メープル、表板はスプルス。

せいぜい、表板のスプルスは、スロバキアの、とかどこどこの物が良いとかそのくらいの差でしょう。

まあ、それでも音には大変な変化はあるのですが。

楽器の場合、使われる材料で音色のほとんどは決定されてしまいます。

鳴り、というのもその材料によっては相当違います。

アフリカンブラックウッドと、バリサンダー、そして花梨と言うのが鳴りとしては二胡の場合最強でしょう。

音の大きさとしては、一番大きいのは、胡桃です。

それも日本産の胡桃の音の大きさは、他の材を寄せ付けません。

しかし、音色としては軽い感じがするのは否めません。

今までの二胡と言うのは、使う材料は棹も胴も同じものを使います。

二胡の構造からいって違う種類の木を組み合わせると、雑音がひどくなるからだと思われます。

私もいろいろ試してみて、胴がバリサンダーや花梨で作ってある場合、棹を他の木で作っても比較的雑音は出にくいのです。

ココポロやブラジリアンローズも、なんとか弾きこめば雑音は消えてくれるようです。

この「春」のように、4種類もの木を組み合わせたのは初めてのことです。

雑音だらけかな、と思いつつも、商品になるという考えより面白いからやってみよう、駄目なら変えればよいくらいな考えで、この4種類を組みあげました。

弦を張り、鳴らして、最初はこんなものかなと言うぐらいの雑音と言うのは、どの楽器にもあります。

それが、最初に10分くらい弾いていると、通常殆ど雑味と言うのは消えてしまいます。

この「春」の場合、最初の雑味は消えました。

暫くすると、なんだか知れないガサっとした鳴りが出始めました。

更に惹きこむと、その鳴りが、重厚感のある、まるでパイプオルガンような、倍音を響かせ始めたのです。

これは良いな!と、想いつつも例のごとく明日の営業日の準備に追われ、早々にケースに入れようとしたら、短過ぎて入りません。

エアキャップでぐるぐる巻きにして、車にいれ明日どんな顔で、弾いてくれるかななどと、のんきにその日は終了です。

営業日になって、こんなの出来たんだよ、子供用、或いは手の小さい人用、とぷーろんさんに渡して、弾いてもらったのです。

私は、他の用事でその場を離れたのですが、後から聴いたところ相当良い鳴りだったということです。

あれ!雑音は?と思いつつも、ライヴ準備などに取り紛れて、しまいました。

次に、Kさんにお会いした時に、「春」は凄いですよ、5倍くらいな鳴りをします」とのお話でした。

5倍は?と思いつつも、私が信頼する二胡の弾き手のKさんの判断ですから、これはとにかく弾きこんだ後のを聴いてみたいということになってきています。

ほぉさんにも周りの「春」を聴いた人からの話ではなんだか相当な事になっているみたいです。

コメントにわざわざ、ぷーろんさんが書いてくれているということは、、、、

育った「春」を弾いてみたいです。

そこから、二胡作りが新たな展開を見せるかもしれません。

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