二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡業界の諸問題。楽器の成長。

2016-05-14 11:25:02 | ■工房便り 総合 
二胡業界の諸問題と言っても、誰がどのような事をした彼が、

などという事を書くつもりではありません。

まあ、簡単に言ってしまうと、二胡と言う楽器が日本に入ってきてから、まだ時間がそれほど経っていない、

要するにそれだけ様々な状況に、答えられる人が少ないという事かもしれません。

まず皆さんに聞きたいのは、一台の二胡を20年以上弾き続けたことがありますか。

あるいは一つの楽器を、新規で購入して、もう音が鳴らないというところまで弾き込んだ人がどれくらいいるでしょうか?

二胡は皮はいずれは張替えなければならないものです、

二胡の皮がもう音を出せなくなるくらいまで弾き込んでいった経過を見てきた人がどのくらいいるか、

ということです。

そして、二胡がどのように成長してどのような状態の時に音が出なくなるかという事を理解していかない限り、

二胡を真に理解することにはなりにくいという事です。

たまたま、二胡屋をやってきたせいでそれも修理や調整という事をメインでやってきたおかげでしょう。

2500台を超える二胡を触らせてもらってきています。

その中にはいろいろな状態の二胡があります。

中国人の先生が15年ぐらい弾いて、良い楽器だからという事で購入し、
それから1年目ぐらいで皮を張替えざるを得なくなったもの、

また、25年ぐらい前に購入して弾いてきた何台かの内、

あるいは1940年に、中国で作られた、けれど弾いたのは2,3年、その後は、ケースの中に、

あるいはまた、ネットオークションで、5000円で購入したけれど、などと言う楽器、

名人作という保証書が付いているが、とてもそうは思えない程度の鳴りしか無い楽器、

反対に人からもらったのだけれど、真っ黒に塗られた、材料が何かも分からない楽器。

ところが直してみると今では手に入らない黄花梨だったというような楽器。

150年ぐらい前の、日本の明清音楽の興隆期にはいってきた二胡

2年ぐらい前に購入した名人作といわれる楽器がもうならなくなって、皮を張替えざるを得なくなったもの

中国の楽器屋さんに保証機関というのが有るのかどうか、

中には誰誰先生認定書、あるいは名人の自筆の製作者名のついた楽器

これらがほんとかどうかは全く分かりません。

これは、二胡だけに限りません。

ヴァイオリン業界などは、さらに凄い事になっています。

よほど、代々、演奏家からまた次の演奏家に引き渡されてきたもの以外は、ほぼ偽物と言っても過言ではないくらいです。

まあ、楽器は鳴ればよいということがありますから、ヴァイオリンの世界では、ほんとに良くなるものでありさえすれば問題は無さそうです。

ところが、二胡の場合は、本当に良く鳴るというところまで一人の演奏家によって育てられてきた楽器と言うのが、

とても少ないです。

これをお読みの方でもほとんどの人がそれもかなり演奏活動をしている人でも、

紫檀の音色もイイネ黒檀も良い、この楽器なんだか状態が悪いから、次の楽器を買ってという人も多いと思うのです。

楽器を弾き始めると、そこそこ良い演奏ができはじめると誰しも、

もっと良い楽器は無いかと、探すのが人情です。

ヴァイオリンなんかのように、数百万が常識の世界ではよほどのことが無い限り、5台も6台も持っている人は少ないでしょうし、

ヴァイオリンは鳴るということで使い分けていくと、結局は一台になってしまうことが多いようです。

二胡はまだそこまで行っていないのでしょうね、

比較的数十万円単位で購入できますから、かなりの数をお持ちの方もいます。

それでもこれは良いこの楽器一台が好きという方になかなかお目にかかれません。

反対にいうとそれほどまでの楽器が、ほとんど無いというのが二胡の世界でもあります。

と言いますのは、日本には本当に名人がこれは演奏家にと言って作った楽器が、果たして入ってきているかという事もあります。

有る演奏家の持っていた、王国光さんという方の作った、演奏家用の楽器と言うのはこれはとんでもなく良くなる楽器でした。

音が大きいというのではないのです。

良く鳴るのです。

これは間違えやすいのですが、大きな音の出る楽器と言うのはかなりあります

でも良く鳴ると言う楽器は少ないです。

これの違いは、

弾いてもらっても、あるいは自分で弾いてみるおとわかります。

弾いた瞬間体中に響き渡ります。

ただこういう楽器になかなかお目にかかれません。

それは楽器を購入するシステムの問題でもあります。


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