「これはどうしても、日本の二胡弾きさんに使ってもらいたい」とほぉさんが、病に倒れる寸前にまで作業していたのが、天然の松脂の精製です。
この天然の松脂使ったことがある方が本当に少ないと思います。弦堂さんからお預かりした原料で出来上がったのが、10ヶでしたから。
勿論中国でこの松脂に接した方は、おられるとは思いますが。多分、阿炳も、時代的に見て、この松脂を使っていたのではないでしょうか??
だからかもしれません、あの阿炳の古い録音が、その辺のお店でちょいと買ってきた新しい楽器で、あれほど良く響かせていたのは、もしかしたら、松脂の違いか??と、今松脂作りにはまっている私としては思いたいです。
この松脂、現状販売されている松脂とは全く質が違います。引っ掛かりが良いのに、べたつかないし、何より小さく弾いてもしっかりと音が出て、低音弦もよく鳴らすし、輝くような、高音が出るとおっしゃってくれる方もいらっしゃいました。何より松脂自体がとても柔らかいです。
今回の試作品、天然の松脂の欠点である、製品の不安定さという事が無くなり、ある意味天然の松脂を超えたとも考えられます。
十数名のヴァイオリン弾きさんと数名のヴァイオリンや弓つくりさん、数名の二胡弾きさん達に試してもらいまして、私には珍しく自信をもって皆さんにお勧めできるものが出来上がったと考えています。
通常販売されている松脂は、演奏者個人の楽器と弓と、そして感性との相性でえらばれます。
それこそ10人いれば、10個の製品がそれぞれにお勧めになります。中には松脂だけで10数個お持ちで、曲によって変える方もいらっしゃるくらいです。そんな松脂の世界で20数名の方がすべて、これは欲しいと言っていただいたのがこの、black amber rosinです。
まだ、3名様くらいからお返事を頂けていないので、もしかしたらこれは嫌いとおっしゃるかもしれませんが!、そしたら嬉しいですね。どこかにこの松脂のお好みに合わないところを見つけてくれたら、さらに改良できるかもしれません。
それこそ楽器は、みなさんそれぞれの好みです、西野二胡は嫌いとおっしゃる方がいらっしゃっても、それは致し方ないことだと思っています。感性の問題ですし。
しかし、松脂は、今までは感性で選ぶものだったのかもしれませんが、今後はその機能と効果で選ぶものになるのではないかと考えます。その点では、松脂は道具です。何しろ擦弦楽器の最初の響きを引き出すのは松脂ですから。(松脂のついていない弓毛は音を引き出せません)
なんだかんだと、この1年8カ月作りに作って、200個近くの松脂のテストをしてきまして、今回の松脂は、弦堂さんに「ここまでできるとは思わなかった」と感想をいただきました。
松脂のテストにお付き合いいただいた皆様方に、感謝申し上げます。
何より、この、black amber rosin を作る原動力になったのは、ほぉさんの残した松脂たちでした。
多分この名前なら、名付けにこだわる、ほぉさんにも気に入ってもらえると思います。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ
尚、今お試しいただいている方からのお返事待ちで、販売始めようと思っています。ただし作るのに1ヶ月近くかかります。