二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡物語、その9。

2012-04-02 15:23:58 | ■工房便り 総合 
50年以上前の二胡の主流は、円筒形でした。8枚なり、12枚の木を合わせて、全体として円筒形に削り上げています。

山東省などには、或いは、他の地方にも6角形の物もあったようです。

それが文化大革命の頃に、今までの二胡の作りを研究して、6角形の今の蘇州型が出来上がります。

それまでばらばらだった大きさも決まり弾きやすく、ボリュームもある楽器を目指したのだそうです。

今から35年ほど前に、北京で8角形が作られました。

より音の大きな二胡は出来ないかということです。

多分かなりの無駄を出しながら、昔の二胡が、その全体としての大きさが小さいにもかかわらず、大きな音が出ると言うことから、8角形ができたのだと思います。

昔の二胡は、紅木(コウボク)や、花梨、また黄花梨等、比較的、導管の多い樹種が使われていました。

導管の多い木は、ボリュームが大きいのですが、北京式の8角形には、これらの、導管の多い花梨などは使われることが少ないようです。

理由は、昔のと違って、全体を大きく作った8角形は、振動が大きく音割れが生じる為だと思われます。なんだかただ、ブッワッという感じに大きくなります。

そこで、導管の少ない、黒檀等を使うことも多くなりました。

比較的6角形に比べて、黒檀で作ることが多いようです。

このように、求めるものが違うと素材自体も変わってきます。

老紅木などは、やはり6角形に多く、8角形には少ないのはこの導管の多さの為ではないでしょうか。

私も今は基本的には6角形です。

12角形というのは、皮の張ってあるところを、6角の角をおとして、12にしてあるのです。

これは、皮の張りを均一にしやすくするためです。

6角の角があると、どうしてもそこは皮が張りにくく、破れやすいのです。

多分私の皮の張り方が、元々から、12本の金もので引っ張る為と思われます。

まあ簡単に言うと、私が皮張というのをまだまだ研究が足りないからかも知れませんが。

12個の金もので引っ張ると、全体が非常に良く引っ張れますが、角の所が非常に弱く、

それを補うために角を大きく削ったと言うだけなのですが、このおかげで、皮の張力は相当に均一に貼れるようになりました。

二胡は皮が命とも言われます。

その皮が、均一に張れるようになったためでしょうか、皮の振動が非常に大きくなりました。

勿論今までの二胡も、この角の所は少しは削ってあったのですが、楽に貼れるくらいまでに削ると、6ミリきり厚みの無い角の所が無くなってしまいます。

ですから、私はその部分を12ミリにまで厚くし、それを削り込んで角でも6mm取れるようにしてあります。

皮を良く張る為に考えていた事が、木の方まで変化させなくてはいけませんでした。

今の中国での二胡の生産というのは、ごく一部の人を除いて、木の方は家具屋さんが作り、皮を張る人が二胡師という形になっているようです。

ですから、幾ら皮の方を変化させようと考えても、木の方まで変化させるには相当の時間がかかるのでしょう。

勿論、木の方までやっている方がおられるのは、知ってはいますが、そのあたりが複合的にシステムとして出来上がっているのかどうか。

このあたりが、二胡のこれからの進化にとって問題が出なければ良いですね。

また、二胡を作る木というのは、硬いです。

ですから削るにしても、刃物が特殊です。

今中国では刃物の形通り作ります。
ですから、ラインによる流れ生産というのが可能なのですが、これを一台一台、試しながら形を変えると言うのは、その分刃物を作らなければいけません。

これはとても採算に合わなくなります。

私も二胡を作る為に、電気の鉋の刃(プレーナーとむら取り盤)を超硬という金属用の刃物に取り換えました。

ご存知の方は大体金額が想像つくと思います。

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