皮のわきに白いプラスティックの線がはいっています。
これはどんな、二胡にも入っています。
これはプラスティックの1ミリ前後の細い板を埋め込んでいます。
これにはいくつかの役割があります。
一番は、皮の端の保護。
ここを保護しておかないと、皮が何かに引っかかってめくれてきてしまうこともあるからでしょう。
ですからほとんどの二胡にはこのプラスティックが入っています。
これはもう60年以上前の二胡です、このころにはもうプラステックの板が埋め込まれていました。
溝は普通2ミリの深さがあります。
中には3ミリ近いものもあります。
皮を張る前には、この溝はありません。
これに皮を張って、二胡師といわれる人が皮を切り落とすと同時に、
ここに溝を入れます。
これは二胡氏の技術の内で良く鳴る二胡、
あるいは、ウルフトーンが出やすいなどこの深さで決まってしまいます。
断面図で見るとこんな感じです(朝から力仕事をしていて手が震えています下手な絵ですみません)
このパフリングの部分、木の厚みは通常6mmあります。
溝を入れると、その三分の一から二分の一の厚みになります。
当然薄くなって振動しやすくなりますね。
皮が振動してこの部分が良く振動すると、胴全体をよく鳴らすことができるのです。
ですから、基本的に、この部分にプラスティックの板を入れたとしても、
普通は、ボンドを入れません。
入れていないはずなのですが、なかなか弾きにくく鳴りの悪い楽器を見ると、
時々この部分にボンドが入って固まってしまっていることがあります。
するとこの部分は元の木の厚み6mmになってしまうのと変わらなく、
なりにくい楽器が出来上がります。
これはメーカーによっても、溝の深さも厚みもちがいます。、
二胡師の腕の見せ所の一つではあります。
それぞれの木の硬さを感じながら、鋸を弾いていくという感の世界なのです。
慣れた人ならその時に二胡の振動が聞こえてくるのでしょう。
ところがプラスティックの板は、日光で劣化します、
10年ぐらいすると部分的に取れてきたり、割れたりすることも多いのです。
きっちり取れてしまえば、まあ見たは悪くとも、音的には問題ないのです。
部分的に血相するとその後、ほかのところまで取れてきたりして、
引っかかってしまう事もありますが、デンペンの部分は取れにくいのでまあ、問題ないかと思います。
すこし欠損したとしたら、取れるところはみな取ってしまったほうが良いでしょう、
ただそうすると、皮の保護という事からは外れてしまいますね。
しかし10年ぐらいたっているとしたら、あとは川の進化次第ですが、
あと2,3年、長くても10年も持たないでしょうから、
皮張り替えるとき、
あるいは、10年もたつとデンペンも相当減ってきているでしょうから、
デンペンを張り替えるときにもう一度やり直すという事も可能なのではないでしょうか。
あるいはそれを機会に皮張り替えたり、デンペン張り替えたりしてもよいのではないかと思います。