二胡工房 光舜堂

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二胡への疑問。その8(樹種の名前のまとめ)

2012-08-02 09:31:19 | ■工房便り 総合 
中国の二胡の材料の名前を、日本人の知識と照らし合わせて、まとめるというのは不可能であるということです。

例えば、小葉紫檀というのを例にして、私が見せてもらった小葉紫檀の二胡の材料を、私が知っている、日本での販売名に直して、書いてみますと。

紅木(コウキ)レッドサンダー

パーロッソ(パオロソ)

ボアデロッソ

パーローズ

これだけ違う材料がありました。

これ全て、小葉紫檀として販売されていた二胡の材料名です。

問題は、このコウキというのはすでに伐採禁止になっていて、もう新しい材料は中国にも日本にも入ってこないことです。

ですから、中国でも、このコウキというのは相当高額な物として扱われています。

グラムに付き何百円という値段で既に銀より高額な値段が付いています。

それに近い音がするためなのか、或いはそれに近い見た目の為か、以上あげた材料が小葉紫檀の二胡として、本物と同じような値段で、販売されています。

これを見分ける方法は、本物の小葉紫檀は、もう新しい材は有りませんから、相当古くなって酸化して表面の色が、あずき色に近い紫色をしています。

赤みが見えたらそれは、密輸された、新しい材料の本物か、或いは、その他のパーロッソなどの可能性が高いのです。

これと同じことが、黒檀にも、老紅木にも言えます。

本物の、古いものは、殆ど黒か或いは黒に限りなく近い茶色になっています。

ただ、今から十年以上前に日本で購入されたものは、比較的本物が多いというのは有ります。

考え方として、二胡の木の樹種の名前は、各製造会社、或いは、販売会社がイメージとして付けている名前である、ぐらいに簡単に考えるべきではないでしょうか。

この事は何も中国だけに限らず、日本でも、アフリカのホワイトシカモアを、シルバーハートという名前を付けて販売したりもしています。

綺麗なネーミングですが、これは世界には通用しませんね。

ですから、金額と名前に惑わされず、ご自分の気に入った音で探すのが一番良い方法です。

バイオリンなども、表板のスプルスの木目が細かければ細かいほど良いという迷信も有ります。

何故迷信かというと、ガルネリの作ったバイオリンは、名器であると言われながら、相当荒い木目の木を使っていたりもするからです。

楽器の基本的な音色は樹種に左右されますが、楽器としての鳴りや響き、弾きやすさ、ボリュームなどは、その作りに依ります。

何も材料がすべてではありません。

二胡の場合も同じように、木の組み合わせや、削り形、また皮の質や、張り具合によって楽器としての良さが変わります。

そしてどんな楽器もそうですが弾きこむことによって、名器に育つのです。



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5 Comments

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仰る通り (じみ)
2012-08-02 20:01:27
楽器の評価は基本的に音ですべきだと思います。二胡の場合、紫檀が最高級品、次に黒檀、その次が、紅木のように売られているし、値段もそのような値付けをされていますね。
そろそろそういう価値観から脱客する時期に来ているように思います。確かに紫檀、黒檀は高価な材料ではありますが。日本における二胡に関してはどうしても格付けしたがる中国文化から離れるべきかもなと思っております。ま、中国伝統楽器ではありますが。
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中国伝統楽器 (nishino)
2012-08-02 22:31:42
三味線も、三線も、胡弓も中国伝統楽器でした。
バイオリンも、元を正せば、じプし達が運んできた楽器と言われていますね。
これだけ日本に定着した二胡はどうなるのでしょうか。
殆ど三味線を習う人と同じくらいの人達が、二胡演奏していますね。
日本に入って来たのですから、日本人に合っているからこれだけ定着しているのではないでしょうか、そしたら日本の価値観というのが反映される方が良くは無いですか。

日本人は黒檀の二胡を好みますね、中国ではそれほどでもないようです、阻止ただどうでしょう黒檀とシャム柿という黒い楽器そしてアフリカンブラックウッドというのも日本人に好まれると思うのです。

黒い二胡ですね。音としても少し沈んだ音が好まれるとしたらこのあたりを評価しても良いのかなと私は思います。
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音色のイデア (platinum_erhu)
2012-08-02 22:54:08
原料にモノを云わせる(素朴な信仰!)帰納的アプローチよっても最良の音色は必ずしも約束されないのでしたら
作り手が持つ“(ベストな)音色のイデア”からの演繹という方向こそ肝心であるようにおもいます。

"刀匠の鍛える二胡"なるものが本邦に創始されるとしたら
きっとすばらしい演繹ですね

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platinum_erhuさん (nishino)
2012-08-03 20:23:49
またまた、とても哲学的なお言葉。
一般意味論者のワタクシとしましては、一台一台の木の違いがそれぞれに活きるべく作り上げていく事のみが良い楽器作りと考えており、楽器作りに確定の要素は非常に少なく、木の中皮の中に入り込んで如何に木を知り如何に皮を知り、そしてなおかつ音を知り音楽を知る事のみが良い楽器作りになる方法でしょう。まだまだ駆けだし、これからの二胡作りバイオリン作りに自分自身が楽しめる事のみが良い結果を招き寄せるのかもしれません。
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樹の聲 辰の聲… (platinum_erhu)
2012-08-04 14:17:23
"RT"ありがとうございます
行き着くところピュアでありながら
そのプロセスにおいてあらんかぎりフェティッシュである氏の言説は
(二胡の)音色という見えはしない情緒を
言葉..日本語に定着させており魅力的です。

赤楽(紫檀) 黒楽(黒檀) 黄瀬戸か大樋(老紅木)...
釉薬の成分はいざ知らず
素材の聲を聞き分け
土器ならぬ茶陶
家倶ならぬ楽器の成就を期すことこそ
もとより大切なのですね

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