二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

弓の毛は、

2017-12-01 11:22:16 | ■工房便り 総合 
もちろん二胡の弓に使う毛は馬のしっぽの毛です。

一頭の馬から、約350gとれます。

その中で、二胡の弓に使える毛というのは、10%くらいです。

理由は、一頭の馬の尻尾(シリオ)の毛というのは、全部同じ長さではないからです。

一番多いのは、約50㎝位のもの、80センチを超えると大体20%くらいで、

これらは、ヴァイオリンの弓(64センチ)に使われますが、

弓全体の長さが80㎝を超える、二胡の弓毛をとるには、90㎝以上の長いものが必要です。

ですので、一頭の馬毛からとれる二胡の弓は、5本くらいです。

そしてさらに、洗浄や脱色などの工程を経た馬毛から、傷んでいるところを捨てますと、

一頭から3本くらいの弓毛きり、とれないのです。

現在馬のシリオの毛は、その大部分が、ブラシとして使われています。

それと、書道の筆です。

これらは、トン単位で取引されるくらいに日本に入ってきています。

流石に、弓毛のように長いものは、選別されて、洗浄されて、

更に用途によって、脱色されます。

この脱色のやり方次第で弓毛の寿命が決まってしまいます。

脱色は基本的には塩素系ですから、毛がずいぶん痛みます。

この馬毛にもさまざまな迷信がありまして、中でも強いのは、

『牡馬と雌馬の毛では質が違い、牡馬のほうが、傷んでいないので良い』というものです。

さてこれはどうなのかと、様々に調べてみて、もちろん馬毛の販売元などからも聞きまして、

どうやら馬毛に関しては、雌雄で違いは無いという事です。

更に筆屋さんなどに聞くと、はっきり雌雄で毛の質が違うという物もあります。

イタチの毛は見るからに雌雄で太さも長さも違うようです。

なんだか知れば知るほど最近、二胡には迷信というか、弓の持ち方、弦の抑え方、

確定したものがなく、ほとんどが、教える先生の知識や経験、

あるいは単にその人の感であったり癖であったり、

それらが光舜堂には、たくさん持ち込まれます。

もちろん私には答えの出せないものもあります。

とくに演奏上のことになると、まったくです。

せめて、私が自分で確認できて、なおかつ多くの方から支持を得られることを

一つずつ実現していこうと思います。

まず一番は弓でしょうね。

これはあまりにもひどい物が出回り過ぎていて、軽く曲げたら元に戻らない物まで、、、

福音弓はまだまだ進化はするかもしれませんが、

安定した良い弓つくりを勧めようと思います。

また今ひそかに、弓毛の張替えが出来そうなところといろいろ話していて、

いずれは私がいなくなっても、福音弓の弓がの張替えが可能なようにしていっています。

それにしても福音弓良く持ちますね、、、、、

この分では、長い人なら、7,8年は弓毛を交換しなくて済むのではないでしょうか。





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2 Comments

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感謝 (北九パンダ)
2017-12-01 17:49:29
先生  いつも 拝読してます。素人にも丁寧に垣根を越えて 惜しげもなく楽器、関係するもの、 、根本 物を大事に愛して 責任もって使ってあげようと 先生の想いと思います。 最後の3行くらいに ご自分がいなくても後々の事までお考えには、、楽器のことよりは 先生のお体のほうが 心配になります。   どうかどうか 一番 ご自身の事を 大事になさって下さい。   悲しくなってしまいました。      来年 上京できればと思います。
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北九パンダさん (nisino)
2017-12-07 10:39:41
お気遣いありがとうございます。
肉体的には何時かは限りがあるものですが、こうやって、書いて残しておくとそれがいつかは人の役に立つと思うのです、私も、良いこと悪いこと、むしろさんざん人様に迷惑かけて生きてきています。ましてや木が好きだからといって、たくさんの木々を切り倒してきています、木工というのは、そういう子おtだと最近になって分かってきたような気がします。でもこうやって最後に自分の持てる力を、たくさんの人たちに役立てるならば、せめても、という感じですかね。今本も書いていますし、何が皆さん二胡愛好家の役に立つのか何が本当の知識なのか、書き続けて残せれば、、、
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