二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

もし皆さんが良い二胡を欲しいと考えたら。

2019-10-26 10:43:08 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
何となくたくさんの記事を書いてきましたが、

少しまとめろという指示がありまして、今書いているシリーズは、「二胡の救急箱に書かなかったこと」

というカテゴリーでまとめさせていただきます。

整理は苦手で。

さて、楽器を弾いている以上、どなたもよい楽器が欲しいというのは同じ気持ちだと思います。

極端に言うともっと良い楽器を!と、次々と購入される方も多くいらっしゃいます。

しかし、、これ!という楽器に出会う方はとても少ないです。

多少不愉快になる方もいらっしゃる方もいるかとは思いますが。

まず中国で作られた楽器で、本当に良い楽器が日本に入ってくるとは思えません。

量産品の話ではないです。

木を選び、よく乾燥させ、それに合わせて皮を選び、時間をかけて張り込む。

二胡の場合前の項でも書きましたように、木部は、機械製作です。

ただ皮だけは機械張りというわけにいかず、量産にしろ2台を一緒に張るくらいなもので、

基本的には、手加工です。

工房と言われるところの手加工の一品物は、

良いものは2,3カ月時間をかけるといいます。(ちなみに量産品は4,5日)

それは、皮を均一に伸ばすために、一回荒張りして、そのまま乾燥させます。

2回目に、再度水に浸して、伸ばし、さらに乾燥させます。

この時に、2日ぐらいかけて、少しづつ締めあげていくと、皮のゆがみが取れてきます。

更にそのまま乾かし、最終の張り込みまで、大体1,2ヶ月かかるといわれますし、

実際自分で張っていても、時間をかけることの大切さをつくづく感じます。

そうやって作られたものは、まずは中国国内の、友人知人を通して演奏家に、

そして、お金持ちたちに、

続いては、華僑同士の知り合いのところへ、

日本へは、有力な演奏家の知り合いがいれば、その方を通してということになります。

あるいは日本に在住でも、ある一定の数を購入する方に少しづつ良いものを混ぜるというくらいでしょう。

おかげで日本に入ってくる小葉紫檀の二胡などはもうすでに100万円をこえてしまっています。

ところが今から10年以上前くらいには、今ほどワシントン条約も厳しくなく、

また、木の原産地の管理もそれほどではなかったか、

意外と光舜堂に来られる方は本物の、小葉紫檀の二胡を持っている方が多いです。

小葉紫檀は三味線に作っても紅木(こうき)と呼ばれて、最高に良い楽器とされています。

確かに、シャム柿と、桑の木を除くと、良い音色の楽器だなと思うとそのほとんどは、小葉紫檀でしすしね。

名品と言われるのが分かりはします。

日本での、二胡の歴史がまだ浅いせいか、あるいは、皮を張り替えてまで同じ楽器を使い続けるというシステムが育っていないせいか、

もう、これは、一回皮張り替えて30年も使っていますという楽器にお目にかかっていません。

また、いくら有名な工房の楽器でも、意外と日本に来るのは量産品が多いことです。

また、10年以上前には、小葉紫檀と言えども、量産品の扱いでもあったのです。

ですから、今まで見せていただいた小葉紫檀の二胡でも、皮の張りがいまいち均一にできていないものも多くありました。

またそんな、銘木と言われる木ではなかったとしても、黒檀は黒檀、老紅木は老紅木の音色というのを楽しめます。

それにはたくさん弾いてきた二胡の皮を張り替えることが一番の名品を手に入れる方法だと、私は考えています。

これから少し、皮の張替えに力を入れていこうと思います。

皮を張り空けて皆さんの楽器もぜひ名品にしてください。

先日工房を整理し始めたら、出てくるは出てくるは、50台近くの半完成品の胴が出てきました。

新しく作るより、良く乾いたこれらの胴に皮を張っていこうと思っています。







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