二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

あつらえる。誂える。弓の特注

2014-10-04 14:02:50 | ■工房便り 総合 
これは繰り小刀、またの名を刺牙、です。

この刃物を作ってくれた鍛冶屋さんが亡くなりましたのでもう作れないでしょうね。

刃物を知っている人から見ると垂涎の代物です。

何しろ玉鋼で作ってあります。

玉鋼(タマハガネ)と言うのは日本刀を作る、砂鉄から取り出した鋼です。

たぶん安い二胡が一台買えるでしょう。(これに近いものは販売もされていますが、金額は10分の1くらいでしょう)

道具屋のおやじとも話しているのですが、どうやってこの細い鋼に焼き入れをしたのか、解らないのです。

細い刃物は、すぐに熱が冷めてしまい、これだけ手元と先端に太さの差がある物は、大変焼き入れが難しいのです。

これは、色々私が使い勝手を考えて、昔の道具をモデルに、ここはこうして!厚みは!地金の種類は!地金と鋼の厚みの差は等、

かなり無理を言って誂えたものです。

最近、通販にしろ、普通の小売りにしろ、物を誂えて購入するというのが少なくなってきました。

それは購入する方が商品としての安定度と言うのを望んでいるからかもしれませんね。

或は生産者側が、コストパフォーマンス、を重要視するからかもしれません。

楽器一つにしろ、ヴァイオリンでも二胡でも、誂えるという感覚は無くなりましたね。

中国製の二胡にしろ、楽器店や、通販などで写真と寸分違わないようなものと言うことで購入します。

最近思ったのは皆さん誂えるという事がどういうことなのか解らなくなってきているのだなという事です。

ウチの本業(MAio-108)は、すべて誂えです。

一切商品が置いてありませんから、すべてお客様と相談して作るのです。

最近私は二胡の弓を作っています。

考えてみてください。ついこの間まで二胡の弓は皆さん、楽器店から買うか、通販で買うか、先生から買うかしていたのです。

それが当たりまえで、購入して、松脂を付けてみて弾いてみるまでどんな物かわからなかったのです。

今ごく一部の人にしても日本で二胡の弓作れることが解ってきたのです。

皆さん、光舜堂や、徳絃社、あるいは心響さんでお試しして、日本で作った物など、なんぼの物じゃいと、

弾いたとたん、これは良い凄い、腰抜かしそうと相当驚かれるのです。

そのくらいの違いがあります、

一度弾いたら元の弓に戻れないという方も多いです。

まあ、それは良いのです。

ところがです、凄く良いですねこの弓と言ったそばから、

「この手元のチューブの長さもっと短く出来ますか、」
「この手元のつーぶもっと長い方が良いです」
「この竹はもっと太い方が良いですよ。」
「この竹はもっと反っていた方が良いのでは」
「このチューブぶもっと薄いのありませんか」
「このチューブはもっと固く出来ませんか」

もっとすごい人になるとこの竹の節は、全部削った方が良いのでは」
あるいは全部塗装した方が良くはないですか。

と。皆さんまちまちの意見を普通に言います。
或は希望を言います。

これは誂えるという事と同じなのです。

ある意味如何に今まで皆さんが弓に対して不満だったかというのもよく解りますが。

それ(このような意見)中国製に言いましたか?

毛が抜けやすくとも、松脂がまったく塗れなくとも、竹が弱すぎて使えなくともネジが外れても。

弓魚が壊れても、半年も使えなくとも、このような意見を、聴かないですね。

Oさんの作った弓のチューブはとか、Tさんの竹の細さは、とか、

言っても仕方がないからですかね、あるいは私なら何を言っても良いと思っているのですかね。

これらの意見は、すべて誂え、個人の好みに合わせて物を作る時に言う言葉でしょう。

あるいは個人個人の演奏の仕方弓の持ち方の違いをより良く生かしたいという時に、もし弓を誂えで作ってくれるならと言う時の言葉ですね。
それを個人の好みとして言うのは良く分かりますが、しかし如何にも、これはこうでなければならないという方も中にはいます。

それ中国製の弓作っている人に言ってください。

でも道具と言うのは本来そうあるべきなのだと思います。
金額ではないのです。

ひたすら目的に合った使いやすさなのです。

ですから日本で弓をつくっているのだし、言葉も通じるし顔も見れるし、ここは一つ自分の好みをかなえてもらいたいという思いが、

このような言葉を、、ですかね。

でもそれってすごく手間暇かかって、通常の商品の何倍もするのです。高がチューブ一つにしてもです。

皆さんは驚かれるかもしれませんが、私なりに、なるべく安く作れるように頑張って考え出したのが今回の福音弓です。

中国と10倍は違う金利差の中で、考えてみてください、出来たらやってみてください、ほぼ同じレベルの金額に抑えたのです。

これ凄い事なのです。

ましてや弓の性能としては比べるべくもないと思う物つくり上げたつもりです。
(大した事が無いという人がいらしたら是非、光舜堂やお試しの弓の置いてあるところで弾いてみて、それから批判して下さい。二胡はいろいろ言われるところもまだるのは分かります、でも、この弓はです。)

そこで感じたのは今までみなさん個人個人、相当不満を弓には抱えていたのだなという事です。
えっ!とビックリするほどのものに出会ってそれならさらに、これも出来るのではないかという気分がこのように言わせるのでしょうね。

でもそれもできます。

別誂えで、ヴァイオリンの毛替えにしても3万円以上するような特別のけと言うのもありますし。

100本の竹の中からご自分に合う太さで尚かつ、弾力そして強さのある物、良い物を選んで、お好きな手元の作りをして、

更に一度は試してさらにやり直して、ご満足のいただける物を作ったとしたら、たぶん、中級ぐらいの二胡の金額にはなります。

何で弓がそんなにするの、??でもヴァイオリンの弓でそこそこ鳴るのは、50万くらいはしてしまいます、これ普通です。

でもこういうことのわかる方もいらしたのです。

ウチのお客さんのヨーガンレールさんです。(先日亡くなったのです、もうこれだけのデザイナーに合えないと思うととても残念です)

この方の物事のこだわりの注文の仕方と言うのはすごいですよ。

だからこそあれだけの良い物が出来たのだと思います。

しか一凄いのは、作り上げる見本一つ一つにちゃんとお支払いを立ててくれるのです。全ての見本にです。

そうで無ければ良い物つくりは育たないというお考えでしたし物つくりを尊敬してもいてくれました。

単なる一職人と言う扱いは受けた事が無いですね。

ご自身物つくりが大好きだという事もありましたが。

誂えるという事を解っていた大切なお客様でした。










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