11 矯導学校について
「矯導学校」とは、重大な非行をした少年に対して矯正プログラムと一般の学業とを両立的に課す寄宿制の特殊な学校である。従って、「矯導学校編入」は「犯則→処遇」体系の下における少年に対する処分としては、重いものとなる。
「矯導学校」で矯正に従事するのは、矯正員ではなく、教員養成校を通じて養成された教員である。ただ、この職は矯正に関する専門的な知見を必要とするため、一般の教員とは別枠で「矯導学校教員」の免許制度を創設する必要がある。
「矯導学校」は対象者の特性に応じて、非行傾向は強いが病理性は弱い者を対象とする「一般矯導学校」と病理性が強い者を対象とする「特修矯導学校」の二種に分かれる。
いずれであっても、「矯導学校」における教育は、各生徒の状況に応じて徹底した個別教育メソッドで行われる。とりわけ後者の「特修矯導学校」は成人の場合における「第三種矯正処遇」に相当するもので、そこでは臨床心理士や医師も加わった治療的な対応もなされる。
こうした「矯導学校」は「学校」ではあるが、個別教育の趣旨を徹底させるため、学年制は採らず、おおまかに「初等」「中等」「高等」の3コースに分ける。「高等コース」の後には「続高等コース」を設け、場合によっては20歳を超えて継続教育ができるようにする。
そこで、司法機関が対象者を「矯導学校編入」に付するときは、対象者の学習能力や知的水準も考慮したうえで、学校種別とコースとを決定する必要がある。
「矯導学校編入」の期間に関しては、成人矯正の場合以上に少年の発達に応じた短期集中処遇が必要であるから、「一般矯導学校」では6か月以上3年以下、矯正に時間を要する「特修矯導学校」でも2年以上5年以下とする。
こうした処遇期間は司法機関による処遇決定の段階では定めず、矯導学校側が上述の年限内で、対象者の改善の度合いや帰住先の家庭環境などを勘案して修了の時期を判断する。
さらに「矯導学校」を修了した後、原則として2年間、「特修教導学校」の場合は4年間を「修了後観察期間」とし、担任教員が修了者に対する家庭訪問や面接を通じたアフターサポートを行う。また、帰住先の家庭環境が良好でない場合は、「未成年者福祉センター」への委託保護も行う。
「矯導学校編入」が可能な下限年齢については例外的な非行の早発化という現象も考慮に入れ、10代の最少齢である10歳からとしておいてよいであろう。
ただし、13歳未満の年少少年の「矯導学校編入」は病理性が強く、「特修矯導学校編入」が相当な場合に限る。従って、「矯導学校」の初等コースは「特修矯導学校」のみに設置されることになる。
なお、「矯導学校」に在籍可能な上限年齢は特に設けないが、満24歳頃までを一応の目安とする。