以前、ぐんまのアユ事情:ストレスだらけのアユたち(1)で濁水がアユ減少の一因だと言いながら、「濁り水が魚を育てる」なんてことを書くと一見矛盾してしまうのですが、濁りの原因の一つである森林の腐葉土が重要な働きをしているということが「四日市大学環境情報学部の松永勝彦教授」の研究などで明らかにされ、「牡蠣の森を慕う会代表の畠山重篤氏」の活動などで大分広まってきたようです。
「森は海の恋人」をキャッチフレーズに全国の多くの人を巻き込んだ森を育てる活動の根底には、腐葉土に含まれる腐植物質(フルボ酸やフミン酸)が鉄イオンと結びつき、水に溶けた状態で海まで運ばれて豊かな海を育んでいるという自然の仕組みが存在しているのです。
私たちの体の中を流れる血液・・・酸素を運ぶ重要な働きを持っているヘモグロビンの成分は大部分が鉄です・・・それと同じように植物にとっても鉄が必須元素で、これが無いとチッ素・リン酸・カリの肥料分がどんなにたくさんあっても栄養を体内に取り込むことが出来ないのだそうです。
日本には豊かな森林があります。その森林で作られた森林褐色土や黒ボク土の腐葉土は雨が降って川に流入します。大雨が降ると川が濁りますが、濁りと一緒に栄養塩やフルボ酸鉄が海まで運ばれているのです。これらが植物プランクトンや藻類を育て、さらに動物性プランクトンや魚介類を育てて豊かな海を育んでいるのです。そして海と川を行き来する魚たちも増えてくる、つまり天然遡上のアユも増えるということになるのでしょう。
腐葉土の原料は森林の植物などの生き物です。これを分解して栄養素とフルボ酸などを作るのは昨日・一昨日と記事にした分解者であるきのこなど菌類なのです。このように全ての生き物が何らかの形で繋がっている森-川-海、つまり自然界には無駄な生き物も無駄な仕組みも無いはずなのです。
ただ、人間が自分たちに直接に役立たないから「無駄だ!」と決めつけて破壊しているだけ・・・人間の「事業仕分け」なんてその程度かも・・・。
何時、何処で読んだか忘れてしまったけれど『自然はいささかも冗談を理解しない、常に真実でまじめできびしい。自然はいつも正しく、過失や誤りがあるとすればそれは人間の側にある。』というような言葉がありました。確かゲーテだったかな?
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