群馬県内の渓流釣り解禁は3月1日でしたが、解禁に先立ち渓流魚の放射性物質の安全確認検査が主要11河川で行われ、その結果が2月27日に発表されました。結果としては5河川で放射性セシウム(以下Cs)が100bqを超えたため「釣っても持ち帰って食べないこと」となったのはご存知のとおりです。
上州漁協管内では烏川(倉渕町)で166bq(Cs134が67bq、Cs137が99bq)が検出されてしまいましたが、碓氷川は19bq(Cs134が6bq、Cs137が13bq)と神流川のヤマメ(小)の「検出せず」を除くと11河川中で一番低い値でした。
一方で環境省が1月に発表した県内各河川の底質や河川敷のモニタリング結果を見ると、烏川の支流・長井川(倉渕町権田)で底質のCs濃度はCs134が78bq、Cs137が95bqで合計173bqあり、碓氷川(中瀬橋)では、それぞれ46bqと60bqで合計106bqでした。そして河川敷の数値はというと、碓氷の左岸は2000bq(長井川は800bq)と倍以上あり、右岸は似たり寄ったりの1090bq(長井川は950bq)でした。
この数字を見ると碓氷も100bq近く検出されても仕方ないかなと思っていたのですが、この低い数値が計測されたことは奇跡としか言いようがありません。
・・・あくまでも推論ですが、この原因というか低い数値要因を考えてみると、「ベントナイト」にあるのではないかと思ってしまいます。ご存知のとおりベントナイトのようなケイ素を含んだ粘土にはCsを吸着する機能が非常に強いと言われ、一度吸着すると他に移行しないと言われています。
碓氷川流域は全国の9割以上のベントナイトを産出している地域で、川底や川岸には採掘場から流されてきたベントナイトが大量に堆積しているのです。これがCsを吸着してしまい、底質や河川敷の濃度がある程度高くなっても、渓流魚に生物濃縮(下図は食物連鎖のイメージ)で移行するCs量が低かったのではないでしょうか。
この考えはあくまでも推論なので、碓氷川のベントナイトの賦存量やCs吸着量を調べたり、水生昆虫のCs濃度を調べたり、上・支流のベントナイトが含まれない河川の渓流魚との比較をしてみたりする必要がありますが、もし、この推論が裏付けられれば赤城大沼のワカサギにも応用できるのではないかと夢は広がるのですが・・・
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