七夕

2006-07-07 09:01:48 | Weblog

      七夕竹惜命の文字隠れなし    石田波郷

 今日の読売新聞「編集手帳」から
 国語辞典を幾つかひらいても惜命はのってない
 命をいとおしむ。熟語にして名づけるまでもない、
 誰もが備えもつ感情だろう。
 病気などの厄災に命が脅かされとき、平生は意識しないでいた
 感情を見つめ、言葉が生まれる。

 結核を患う俳人石田波郷は1950年(昭和25年)病床詠を句集に
 編んだ。「七夕竹惜命の文字隠れなし」療養所の笹飾りに、その
 言葉を見たのだろう。今宵軒端に笹は飾らずとも、病める肉親の、
 あるいは自身の「惜命」を胸の内にしたためる方もあるに違いない。

            病院がわが家のごとし瓜刻み

     清瀬よりはたた神連れ帰りけり   石田あき子

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