河原なでしこ(赤塚植物園)
河原撫子僧に忘却問はるるも 伊丹さち子
登四郎先生の句に 濡れて来し少女が匂う巴里祭
というのがある。あくまでも私の感だがフランス映画
「巴里祭」をご覧になってそれに触発されたものではないかと
私の巴里祭といえばやはり銀座デビューの中学2年に遡る
五つ上の姉に連れられてシャンソン喫茶「銀巴里」へ行く。
下町両国に生まれ育った私にとってはまさに外国である。
前座が今をときめく料理研究家の平野レミ、とりは
工藤勉、仲代圭吾、丸山明宏などそうそうたる顔ぶれ。
100人も入れないほど小さな地下のステージ。
シャンソニアの汗や吐息が伝わるほどその距離は近い。
恋には晩生だった私だが同級生より少し大人になった
錯覚すらあった。当時の銀座のシャンソンバーには
金子ゆかり、戸川昌子等、ほかにもう一店有ったが
なにせ中学生・・シャンソン喫茶でも大手を振っては
入れない年齢なのだから・・・・
「回転木馬」「三文ピアニスト」うろ覚えだが印象的だった。
後で知ったことだが、フランス革命記念日をめぐる恋物語
の映画の邦題を「巴里祭」としたことがはじまりだという。
少し濃き鉛筆を買う巴里祭 ころころ