12月 21日

2021-12-21 06:13:14 | Weblog
                       忘年・年忘れ・忘年会


     原稿の未完のままや年忘れ         栗田やすし


     年忘れフォルクローレに腰揺すり      河原地英武


     教へ子に医師市議女優年忘         櫻井幹朗


     持寄りの酒利き分くる年忘         佐藤とみお


     一升瓶抱へ飯場の年忘           森垣一成


     年忘れ蟹雑炊を吹きて食ぶ         関根近子


     年忘調子はづれの歌も出て         牧田 章


     忘年会烏賊刺しの足動き出す        八尋樹炎


     年忘れ笑ひ上戸の友ばかり         廣中美知子


     釜飯のお焦げ分け合ふ年忘         日野圭子


     忘年の一句を記す箸袋           鈴木みや子


     忘年の酒にとろりと来る睡魔        ころころ




          



     さそはれて浄瑠璃聞くも年わすれ      水原秋櫻子


     「美濃吉」の黒き柱や年忘れ        桂 信子


     パチンコヘ損をしに行き年忘        阿波野青畝


     酔はさんと忘年会のはかりごと       鈴木洋々子


     尼寺の忘年句会チューリップ        星野立子


     伊豆の湯はうつくしかりし年忘       山口青邨


     へべれけのお手を拝借年忘れ        高澤良一



          

          ☆  すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
             マスクの着用を。
 
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12月 20日

2021-12-20 05:50:18 | Weblog
                  初氷・氷・氷張る・氷田・氷点・氷塊・結氷・氷上・氷面鏡


     闘牛の丘へ氷塊曳きゆけり         沢木欣一


     氷割って漬菜取り出すその暮らし      細見綾子


     神の鹿跳んで踏み割る初氷         栗田やすし


     池の端に風の筋目の初氷          国枝洋子


     東京へ子の帰る朝初氷           渡辺慢房


     地下足袋の跡や棚田の初氷         夏目隆夫


     御手洗の杓とぢ込めし厚氷         牧野一古


     亀裂音氷河の谷を駆けのぼる        山口登代子


     水底の鯉の透けゐる初氷          小原米子


     金魚沈む鉢の氷の厚きかな         安藤幸子


     老残の吾を映せり氷面鏡          下山幸重


     滝壺の渕に氷塊ただよへり         立川まさ子



          



     遅刻教師に八方まぶし初氷         福永耕二


     初氷割りて登校下校かな          稲畑廣太郎


     紙の村紙の薄さの氷張り          滝 佳杖


     氷塊となりつゝ滝の響きつゝ        夏井いつき


     氷上のまつしぐらなる轍かな        辻 桃子


     吹き上ぐる月光ばかり結氷湖        今瀬剛一


     カナリヤの声がよすぎて氷張る       秋元不死男



          

          ☆  すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
             マスクの着用を。
 
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12月 19日

2021-12-19 05:54:07 | Weblog
                       臘梅・唐梅・らふばい・素心蠟梅


        ☆ 蠟梅とは違いますが、今日12月19日(日)は今年最後の満月で、13時36分頃に満月の瞬間を迎えます
           2021年の中で、地球から最も遠い満月という事です  ☆



     臘梅を挿して床屋の大鏡          中村修一郎


     思惟佛に逢ふ臘梅の香を抜けて       金田義子


     磨かれし東司に香る臘梅花         坪野洋子


     臘梅の日差し明るき紙干場         武田稜子


     らう梅や陽の金色を吸ひつくす       谷口千賀子


     臘梅の透けて明かるき古窯跡        長谷川しげ子


     武家門の脇に臘梅錆び尽す         中根多子


     臘梅や枝にあふるる金の鈴         磐田啓子


     臘梅の咲き満つ空の青さかな        加藤元通


     らふ梅の花びら透ける空の色        吉岡やす子 


     臘梅を離れてよりの匂ひ濃し        森田志げを


     接写する臘梅強く香りけり         石原進子



          

            素心蠟梅



     臘梅やいつか色ます昼の月         有馬朗人


     素心臘梅女人になぞへ齢いくつ       森 澄雄


     臘梅の匂ふや金地曼陀羅絵         矢野宗律


     臘梅やかがやきいでし山の雲        瀧 春一


     酒蔵に天窓ひとつ素心臘梅         伊藤敬子


     唐梅や粗雑嫌ひを一家言          秋元不死男


     臘梅や時計にとほき炬燵の間        室生とみ子



          

          ☆  すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
             マスクの着用を。
 
   
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12月 18日

2021-12-18 06:03:43 | Weblog
                       冬木・冬木立・冬木宿・冬木道


     武蔵野の雀と親し冬柏            沢木欣一


     乳牛をつなげば高し桐冬木          細見綾子


     巣箱一つ子規の小庭の冬木立         栗田やすし


     いつまでも見ゆる葬列冬木立         矢野孝子


     板壁に冬木の影や版画館           奥山ひろ子


     落日に犬の遠吠え冬木立           中山敏彦


     冬木立透かして青き尾張富士         橋元信子


     下校の子石蹴つてゆく冬木道         小原米子


     和紙めける月をかざせり冬木立        井沢陽子


     発掘の礎石転がる冬木立           河合義和


     サックスの音色抜け来る冬木立        藤本いく子


     冬木立野仏の顔粗削り            加藤ノブ子




          



     歳月の獄忘れめや冬木の瘤          秋元不死男


     砂町は冬木だになし死に得んや        石田波郷


     わが凭れる冬木ぞ空の真中指す        八木絵馬


     堕ろし来て妻が小さし冬木立         吉田鴻司


     何描く画家冬木根に腰かけて         星野立子


     まつすぐに来て月に逢ふ冬木坂        廣瀬直人


     触れし手のゆき処なし冬木立         谷口桂子



          

           ☆  すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
             マスクの着用を。 




         
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12月 17日

2021-12-17 05:50:09 | Weblog
                       浅草寺羽子板市


          東京では、毎年12月18日が浅草寺のご縁日にあたり、この日をはさんだ三日間、
          境内で開かれる。はじまりは、今から約350年ほども昔の江戸時代初期(万治年間・1658年)
          頃だという。コロナ禍で様々な行事が中止の中伝統行事が行われること喜ばしい事です



     観音へ羽子板市を抜けて来し           下里美恵子


     羽子板市富樫弁慶睨み合ふ            伊藤範子


     羽子板市手締めの声のよく透る          中山敏彦


     抽斗に色褪せぬ羽子見つけたり          千葉ゆう




          



     羽子板市三日の栄華つくしけり          水原秋櫻子


     うつくしき羽子板市や買はで過ぐ         高浜虚子


     羽子板市切られの与三は横を向き         石原八束


     羽子板市片割れ月も明治ぶり           林  翔


     灯の増えて羽子板市の艶めけり          阿部美恵子


     羽子板市の播磨屋と書く箱火鉢          遠藤 はつ


     いくさあれど羽子板市につれだてる        森 光子



          


     声かけぬ羽子板市の清水屋に           石田波郷


          この清水屋さんは雷門をくぐって仲見世の右手、一軒目のお土産屋さん「清水屋」
          唯一俳誌を扱ってました「雲母」「沖」「河」あと数誌有ったと思います
          そこの主が「河」の同人伊藤黄雀さんでここを通る俳人は俳誌が並ぶのを見て
          ほとんど黄雀さんに声をかけて行ったそうです
          私も26~7才の頃、ここまで俳誌を買いに来ては黄雀さんとしゃべりして
          帰ったのを思い出します。もう代替わりをしてお土産専門になって屋号も変えて
          現在でも商っています
          もともとは江戸時代末期、絵草子屋より始まった、仲見世でも古い店舗のうちの一軒で
          昭和になり、絵草子屋より本屋に変わって、現在は「味の店」として、手焼せんべい、
          人形焼が人気商品のお土産のお店です


     荷風忌の踊り子がガムを噛む楽屋         伊藤黄雀


          

          ☆  すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
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12月 16日

2021-12-16 05:45:21 | Weblog
                         湯豆腐


     湯豆腐の踊り疲れて崩れけり        丹羽康碩


     湯豆腐や父に酌する里帰り         谷口悦子


     湯豆腐の崩れを掬ふ陶(すえ)の匙     清水弓月


     湯どうふの半丁で足る一人の夜       松島のり子


     湯豆腐のぐずりと動く手酌かな       中山敏彦


     日溜りに湯豆腐の旗南禅寺         花田紀美子


     湯豆腐や昔競ひし恋仇           渡辺慢房


     湯豆腐の微かな揺らぎ父待てり       武田明子


     湯豆腐や壁に志功の天女の絵        伊藤旅遊


     湯豆腐や湯気の向かうの愚痴を聴き     上田博子


     湯豆腐に禿と白髪頭寄せ          下山幸重




          



     湯豆腐やいのちのはてのうすあかり     久保田万太郎


     湯豆腐の崩れぬはなく深酔す        福永耕二


     湯豆腐やつやつや光る女の手        村山古郷


     湯豆腐の崩れ易しや遠きデモ        鍵和田釉子


     二年や獄出て湯豆腐肩ゆする        秋元不死男


     湯豆腐や若狭へ抜ける京の雨        角川春樹


     湯豆腐に五人男の胡座哉          大野洒竹



          

          ☆  すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
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12月 15日

2021-12-15 06:49:25 | Weblog
                       寒天造る・寒天小屋・寒天干す・寒天焚く


     寒天夫頬刺す風をよろこべり        坪野洋子


     寒天干す峡の陽差しへ簀を傾げ       伊藤範子


     屋敷神前に広がる寒天田          山本悦子


     寒天干しろがね色に乾き初む        兼松 秀


     百日を雑魚寝で通す寒天夫         上田博子


     陽に少し傾げて干せり糸寒天        松原和代


     干し終へて肩で息継ぐ寒天夫        野島秀子


     潮の香の湯気立ち昇る寒天場        豊田紀久子


     晒すほど白絹の艶糸寒天          石崎宗敏


     寒天小屋ひねもす水の音響く        日野圭子


     父母の墓下り来て広き寒天田        青木しげ子


     手に痛き日暮の風や寒天田         山本光江



          



     もうもうと寒天小屋の居沈めり       阿波野青畝


     冬の峡寒天干しも顔を干す         加藤楸邨


     寒天晒す野にうつくしき水流れ       鍵和田釉子


     寒天の重さ失ふまでは干す         木村滄雨


     寒天小屋土間のくぼみを炉としたり     村上冬燕


     寒天小屋隙間だらけの戸が重し       大橋敦子


     寒天を干して住みつく丹波人        森田 峠



          

          ☆  すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
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12月 14日

2021-12-14 05:56:19 | Weblog
                       河豚・てっちり・河豚提灯・河豚全般


     河豚食へば海峡の星またたけり       栗田やすし


     島の宿河豚雑炊で宴果つ          谷口悦子


     延縄の針に鯵刺す河豚漁師         金田義子


     奉納の生き河豚の口動きをり        平井正臣


     虎河豚の前歯折らるるとき鳴けり      森 靖子


     高山の辛き地酒やふぐと汁         二村美伽


     座敷より海峡望み河豚尽し         宇田鈴江


     灯の映る川きらめけりふぐ料理       石原進子


     鰭酒に淡き火ともす誕生日         中山敏彦


     安乗河豚箱に泳ぎて糶られけり       長江克江


     箱の河豚みな膨らみて糶られけり      山本悦子


     ふぐさしの透けし伊万里の海の色      金原峰子



          

          



     あら何ともなや昨日は過ぎて河豚汁     松尾芭蕉


     一卓がインテリけなす河豚の鍋       秋元不死男


     中りたる河豚の話に尾鰭なく        稲畑汀子


     供養河豚ふてぶてしくてかなしくて     鈴木真砂女


     河豚刺身何しんみりとさすものぞ      中村汀女


     国貞の描ける女河豚の宿          田中冬二


     河豚食うて佛陀の巨体見にゆかん      飯田龍太



          

           ☆  すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
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12月 13日

2021-12-13 05:57:59 | Weblog
                   霜・初霜・霜の花・はだれ霜・強霜・霜だたみ・霜どけ


     日の出待つ霜の藁塚地に充てり       沢木欣一


     初霜や紫の玉みやげとし          細見綾子


     師は遠し白鳥句碑に霜の花         栗田やすし   


     職引いてぽつぺん鳴らす霜夜かな      国枝隆生


     産声待つ霜夜の廊下行き来して       矢野孝子


     薄墨の筆ペン握る霜夜かな         伊藤範子


     霜柱しやりしやりと踏む今朝の庭      中山敏彦


     終電の窓の灯や霜降る夜          武藤光晴


     一と筋の轍残れり霜の橋          新川晴美


     風木舎跡に短かき霜柱           国枝洋子


     手で払ふテントの霜や深山晴        中野一灯


     休み田の霜のまぶしき朝かな        ころころ




          



     霜柱俳句は切字響きけり          石田波郷


     百花園初霜の門ひらきけり         鈴木真砂女


     初霜や斧を打ちこむ樹の根つこ       秋元不死男


     ひつそりと甲斐国分寺霜の中        福田甲子雄


     一霜の降りたる竹の箒かな         長谷川 櫂 


     子の喋る聖書のことば霜の朝        石 寒太 


     切株のはなればなれに霜を待つ       福永 耕二



          

                      
          
          

          霜柱という植物です
          シソ科の多年草であり、枯れた茎に霜柱(霜華)が出来ることで知られる。宿根性
          花は9-10月頃に咲き茎の先端側半分くらいの葉腋から総状花序を出す。
          花序の軸は真上に伸び、花はその軸に茎の先端側に偏ってつきます



          ☆  すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
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12月 12日

2021-12-12 07:05:00 | Weblog
                        枯菊・冬菊・寒菊 


     菊枯るる一本づつが立ちてゐる        細見綾子


     くくられて冬菊の香の衰ふる         栗田やすし


     枯菊を焚いて父の忌過ごしをり        下里美恵子


     枯菊焚く煙の青し東慶寺           矢野孝子


     冬菊の日を溜めゐたる白さかな        梅田 葵


     枯菊のつよき香放ち折られけり        近藤文子


     寒菊に淡き日差しや子規の庭         鈴木真理子


     傾城の墓へ冬菊あふれさす          角田勝代


     枯菊を焚きて匂ひの深かりし         菊山静枝


     冬菊や納屋に鵜籠と薪積まる         坂本操子


     一張羅の着物着て逝く冬の菊         山 たけし


     枯菊を焚く無住寺に人集ひ          森 靖子



          



     冬菊のまとふはおのがひかりのみ       水原秋櫻子


     ぼろぼろの身を枯菊の見ゆる辺に       福永耕二


     モナリザはいつもの如し菊枯るる       山口青邨


     枯菊を焚き来しにほひ母の髪         古賀まり子


     波先のすぐそこにあり冬の菊         鈴木真砂女


     枯菊の終の香りは火の中に          桂 信子 


     君病めば机上の菊に冬の影          林 翔



          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
         マスクの着用を。
 
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