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踊る小児科医のblog

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江戸川区裁判で画期的な判決

2004年07月13日 | 禁煙・防煙
#画期的というか、本来これが当たり前なのですが、青森県内を含めて地方自治体や民間も含めた各種施設への大きな影響が期待されます。長くなりますが、全部引用しちゃいます。(字数制限にひっかからないか心配)

受動喫煙で初の賠償命令 地裁、江戸川区に5万円 職場の安全配慮義務違反 健康被害は判断せず

 職場での分煙を要求したのに改善されず、受動喫煙で健康被害を受けたとして、東京都江戸川区職員の河村昌弘(かわむら・まさひろ)さん(36)が区に約30万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は12日、区の安全配慮が不十分だったとして5万円の支払いを命じた。
 たばこ被害をめぐる訴訟で賠償を命じた判決は初めて。昨年5月に健康増進法が施行されて以降の禁煙・分煙の流れをさらに加速させそうだ。
 判決理由で土肥章大(どい・あきお)裁判長は「職場の施設を管理する区は、受動喫煙から原告の生命、健康を保護するよう配慮する義務を負う」と指摘。
 河村さんが「受動喫煙による急性障害が疑われる」との診断書を提出した1996年1月から、分煙されている別の職場に異動するまでの約3カ月間について「健康被害との法的因果関係はともかく、放置したのは安全配慮義務に違反する」と認定し、慰謝料の支払いを命じた。
 判決によると、河村さんは95年4月、江戸川区に採用された。職場では喫煙が許されており、河村さんは受動喫煙による呼吸器障害や首、肩の痛みなどを訴え、上司や議会を通じ分煙対策を要求した。
 区は職場に換気扇を増設したが、河村さんの席周辺では喫煙が続いた。河村さんは分煙の徹底を求めたが「喫煙場所を区画するなどあまり厳しくやると人間関係が悪くなる。予算も不足し、急激な改革はできない」と認められなかった。
 たばこの被害をめぐる訴訟は、嫌煙家が旧国鉄に禁煙車両拡大などを求めた「嫌煙権訴訟」のほか、喫煙歴のあるがん患者らがたばこ会社に損害賠償を請求した訴訟などあるが、いずれも因果関係などが認められず、原告敗訴で終わっていた。

民間の分煙対策にも影響 嫌煙家ら「画期的判決だ」

 職場の受動喫煙対策が不十分だったとして、東京都江戸川区に慰謝料支払いを命じた12日の東京地裁判決は、1980年代から相次いだ?煙害訴訟?で初の原告勝訴となった。健康被害との明確な因果関係は示さなかったが、非喫煙者団体は「ようやく出た画期的な判決」と高く評価する。
 嫌煙家が旧国鉄に禁煙車両拡大と損害賠償を求めた「嫌煙権訴訟」の伊佐山芳郎(いさやま・よしお)・原告弁護団長は、今回の判決が健康増進法施行前の安全配慮義務違反を認めた点に着目。「施行後の事案なら、なおさら賠償責任が問われやすい。現在十分な分煙対策をしていない企業や飲食店などに対しては強烈なインパクトがある」とみる。
 たばこの被害では、米国やオーストラリアでがんなど健康被害との因果関係を認める判決が相次ぎ、たばこ会社が巨額の賠償金を支払ったケースも多い。だが国内で20件前後起こされた訴訟はいずれも原告が敗訴していた。
 昨年1月、京都地裁は旧郵政省職員が国に受動喫煙の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、国に安全配慮義務があることを初認定。分煙措置は十分だったとして請求は棄却したが、裁判所の判断に変化の兆しが出ていた。
 たばこ問題情報センターの渡辺文学(わたなべ・ぶんがく)代表は「今やたばこが健康被害を引き起こすのは社会の共通認識になった」と指摘。「今後は社会全体が、喫煙者にたばこを吸わせないようにさせるのが課題だ」と話している。

受動喫煙判決要旨

 職場の受動喫煙をめぐる訴訟で、東京地裁が12日言い渡した判決の要旨は次の通り。
 非喫煙者を継続的に受動喫煙下に置くことで、肺がんなどリスクが増加するのは否定できない。
 1995年当時、喫煙対策が社会的に要請され、対策を行う企業や官公署が増えつつあったことなどを考えると、被告の江戸川区は、原告が職員として採用された95年4月以降、管理する施設の状況に応じ一定の範囲で受動喫煙の危険性から原告の生命、健康を保護するよう配慮すべき義務を負っていた。
 もっとも義務の内容は、具体的状況に従い決めるべきで、当時のわが国で喫煙に寛容な社会的認識がなお残り、分煙対策も段階的実施が予定されていたとみられることも考慮すべきだ。
 最初の職場の配属期間のうち95年4月から96年1月までは、当時の官公署や企業で一般的に採用されていた分煙対策が取られており、原告の鼻やのどの症状と受動喫煙との因果関係が不明だったことを考えると、受動喫煙の危険性から保護する配慮義務違反とまではいえない。
 しかし96年1月から同年3月末までについては、頭痛など受動喫煙による急性障害が疑われ、同じ環境下では健康状態の悪化が予想されるなどとした病院の診断書を上司に示し、何とかしてほしいと申し出ている。
 障害と受動喫煙の因果関係はともかく、職場の分煙状況などから、区は原告の席の後方2―3メートルに設置されていた喫煙場所を撤去するなど速やかに必要な措置を講じるべきだったが、4月1日の異動までの間、特段の措置を講じずに放置していた。生命、健康の配慮義務に違反したと認めざるを得ない。
 4月1日以降の職場については、1階を禁煙とするなど分煙対策が実施され、急性障害が悪化したという診断書を提示した形跡もなく、座席配置の変更など原告に対応していたことなどから、区が原告への配慮義務に違反したとはいえない。
 前記の通り、96年1月から3月末まで、原告が上司に診断書を示し配慮を求めたのに特段の措置を取らずに放置し、原告の症状は継続していた義務違反の態様に加え、原告の精神的肉体的苦痛の内容、程度などの事情を考えれば慰謝料5万円を相当と認める。

今は分煙室を設置

 東京都江戸川区の秋元孝行(あきもと・たかゆき)総務課長の話 判決文をよく読んだ上で対応を検討したい。なお現在は本庁舎に分煙室を設置し、受動喫煙防止対策を取っている。