踊る小児科医のblog

青森県八戸市 くば小児科クリニック 感染症 予防接種 禁煙 核燃・原発

健康増進法は受動喫煙防止を義務づけています

2007年11月18日 | 禁煙・防煙
4年も前の2003年5月に施行された健康増進法は、あらゆる施設の管理者に対して受動喫煙の防止を義務づけています。この場合の「管理者」には、飲食店の店主(法律に明記されている)だけでなく、各種の会合や大会などの主催者が含まれることは当然のことと言えるでしょう。法律に罰則規定が盛り込まれていないだけであり、守っても守らなくてもいい法律ではありません。(私たちは実効性を伴うよう法律の改正か、全面的なタバコ規制法の制定を求めています)

■ 県内飲食業 禁煙11%止まり(2007年11月17日 東奥日報)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2007/20071117130808.asp

●健康増進法(2003年5月1日施行) 第25条 受動喫煙の防止

学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

*「その他の施設」とは、鉄軌道駅、バスターミナル、航空旅客ターミナル、旅客船ターミナル、金融機関、美術館、博物館、社会福祉施設、商店、ホテル、旅館等の宿泊施設、屋外競技場、遊技場、娯楽施設等多数の者が利用する施設を含むものであり、同条の趣旨に鑑み、鉄軌道車両、バス及びタクシー車両、航空機、旅客船などについても「その他の施設」に含むものである。(2003年4月30日厚生労働省健康局長通知)

全面禁煙で心臓発作11-17%減少

2007年11月18日 | 禁煙・防煙
スコットランド(2006)
 全面禁煙施行前 年平均 3%減少
 全面禁煙施行後 1年間 17%減少
  …喫煙者だけでなく受動喫煙を強いられてきた人の健康状態が改善
アイルランド(2004)
 全面禁煙施行後 1年間 11%減少

#たった1年間でのこの大幅な減少は、通常の保健政策(たとえばメタボリック症候群対策)などでは到底得られるものではなく、喫煙(能動喫煙+受動喫煙)が如何に大きな健康被害や死亡をもたらしているかを端的に示すデータと言えるでしょう。

●心臓発作の入院、1年間で17%減=禁煙の成果か-英スコットランド(2007/09/11)
 英スコットランドで、公共の場での全面禁煙が施行されてから最初の1年間で心臓発作のため入院する人が17%も減少したことがこのほど、スコットランド自治政府の調査によって明らかになった。
 全面禁煙は2006年3月に実施された。自治政府が10日発表したところによると、全面禁煙が導入される前の10年間は、心臓発作で入院する患者の数が年平均3%のペースで減少していたが、導入後の1年間でその比率は一気に17%に上昇したという。調査はスコットランドの9病院を対象に行われた。
 この調査結果について、スコットランド医療当局の研究者は「禁煙導入が大きな成果をもたらした。喫煙者だけでなく、受動喫煙を強いられてきた人の健康状態が改善した」と分析している。

●禁煙法で心臓発作が大幅減 アイルランドなど(2007年9月12日)
 室内の公共スペースでの喫煙を全面的に禁止する法律が施行されているアイルランドと英北部スコットランド地方で、心臓発作の発生率が大幅に減少したとの調査結果が相次いで発表された。当局者らは「禁煙法の成果」だと主張、各地に同様の法律制定を促すことにつながるとしている。
 心臓発作は、高血圧などのほか、喫煙も主な原因とされる。
 アイルランドでは2004年、自宅を除くほとんどの室内での喫煙を禁じる法律を施行。全国一律の禁煙法は当時、世界でもまれだった。
 英メディアなどによると、施行後の1年間、アイルランド南西部の公立病院に心臓発作で入院した患者数が、前年比で11%減少した。調査した同国のコーク大病院の医師は「世界各地の保健当局者に禁煙法に目を向けさせるデータ」としている。

受動喫煙で年間2万人が死亡

2007年11月18日 | 禁煙・防煙
職場や家庭で受動喫煙にさらされ続けると、20人に1人が受動喫煙のために死亡します。重金属や有機溶剤など一般の環境汚染物質の基準値が「10万人当たり1人の死亡」を許容する濃度から定められていることを考えると、受動喫煙はその5000倍の危険性を発揮することになります。(『タバコ病辞典-吸う人も吸わない人も危ない』加濃正人編より引用)

 表 10万人当たりの生涯リスク
 喫煙で早死にする  50000人
 受動喫煙で早死に   5000人
 交通事故死      1000人
 アスベスト住宅で肺がん  10人
 環境汚染物質許容基準    1人

フィンランド職業衛生研究所の試算は、全死亡の0.9%が職場での受動喫煙によるとしていますが、それをわが国にあてはめると約8700人にのぼります。職場以外での受動喫煙や肺がん以外のがん、子供の病死も入れると大変な数になりそうです。

米国における年間受動喫煙死亡者が5万3000人であり、受動喫煙は、能動喫煙とアルコール過剰摂取に次ぐ3番目に主要な、予防可能な死亡原因だと述べています。

WHOは2001年の世界禁煙デーに際して「受動喫煙によって人口100万人当たり年間147~251人の死亡者が発生する」との警告を発表しました。(中略)これを日本にあてはめると2~3万人に相当しますが、主に分煙の徹底したアメリカのデータを基にしての試算ですから、分煙が遅れていて非喫煙者のほぼすべてが受動喫煙曝露者であるような日本では、実際の犠牲者がこれより多くなっても不思議はありません。

日本で行われた推計では、国立がんセンターが「年に1万9000人が受動喫煙死、うち肺がんが1000~2000人」と発表しています。

喫煙者の方から見ても受動喫煙の問題は深刻です。何の悪意もなく、周囲にいる人を傷つけ、ときには殺してしまいますが、その相手は、もっとも高い確率で愛する家族です。

日本での受動喫煙による犠牲者を年間1万9000人とすると、喫煙者3200万人が毎年1万9000人を殺しているわけで、喫煙者の1684人に1人が1年のうちに(合法的な)殺人を犯しています。喫煙生活を50年続けたとすると、34人に1人が一生のうちに人を殺してしまうことになるのです。もちろん、人前では絶対喫煙しないような優良喫煙者を含めての計算ですから、職場や公共の場で平気で喫煙できてしまう人は、一生涯のうち何人あの世に送っているかわかりません。(同書より引用=著者の許可は得てませんので引用の原則–主従関係に従っていないことをお断りしておきます)

受動喫煙も人を殺す(世界禁煙デー標語)

2007年11月18日 | 禁煙・防煙
2001年のWHO世界禁煙デー標語は、前年(2000年)の
"Tobacco kills - Don't be duped"
 「タバコは人を殺すー騙されるな=直訳」
 「その1本、みんなの命、けずられる=厚生省訳」
を受けて、
"Second-hand smoke kills. Let's clear the air"
 「受動喫煙も人を殺す きれいな空気を=直訳」
 「他人の煙が命をけずる 受動喫煙をなくそう=厚生労働省訳」
でした。

カナダ政府も「受動喫煙はあなたの命を奪う」とTVキャンペーンを行いました。

受動喫煙はあなたの命を奪います。ヘザーさんがその証人です。
ヘザーさんはタバコを吸ったことがありませんが、タバコの煙が充満したレストランで働き続けました。そして、いま彼女は肺がんのため死の床にあります(註:その後亡くなったとのこと)。いくつかの反タバコキャンペーンは受動喫煙が人々の「迷惑」であると訴えていますが、カナダ政府は「受動喫煙は人を殺す」と断言します。被害のターゲットになることを断固として拒否しましょう。
2nd hand smoke can kill you. Just ask Heather.
Heather never smoked, but she worked in smoke-filled restaurants. Now she's dying from lung cancer. Some tobacco companies say that 2nd hand smoke bothers people. Health Canada says it kills. Refuse to be a target. (October 2003)
http://www.hc-sc.gc.ca/hl-vs/tobac-tabac/res/media/camp/index_e.html