踊る小児科医のblog

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感染症情報~2009年第47週(11/16~11/22)

2009年11月27日 | 新型インフルエンザ

 インフルエンザが全ての地域・学校で流行中です。流行しているのは「A型」で、「新型」かどうか聞かれることがありますが、それ以上の検査は施行しておりません。全国のウイルス検出状況によると11月の時点ではほとんどがA/H1N1pdm(いわゆる新型)となっています。ただし、季節性のA香港型も検出されはじめていますので、混合流行になれば区別はつかなくなります。

 10月最終週にいったんピークとなり、2週連続で減少してから再度増加しているのは、近隣の小中学校で休校や閉鎖処置がとられたことによるものと考えられます。感染者が子どもの3割~半数に達すると急速に減ってくるはずですが、この調子だと年明けまで続くかもしれません。

 例年、この時期に多発するウイルス性胃腸炎(初冬のノロウイルス、真冬のロタウイルス)は増加傾向ですが目立ちません。数字には出てこないRSウイルスなどの乳幼児で咳がひどくなるタイプもみられていますが多くありません。
(院内報より)

※グラフは定点医療機関あたりの患者数。
「八戸」は八戸保健所管内(八戸市+三戸郡+おいらせ町)。
当院(くば小児科クリニック)も定点医療機関になっております。グラフを差し替えました(11/28)。今週(第48週)は46名で、この流行中最高となっております。

八戸では第44週(10月最終週)、第47週ともに30人に達しなかったため警報ではなく注意報に留まっていますが、第44週のときに「独自判断」で警報を発令した後、先週今週も警報レベルを超える状況が続いていて、まだピークを過ぎたとは言えないようです。

新型インフルエンザワクチンの「副作用」は?

2009年11月27日 | 新型インフルエンザ
 これまでの情報によると、接種を受けた約450万人のうち、重い副作用は68人(0.002%)で、昨年度の季節性ワクチンでの0.0003%より頻度は高め。接種後の死亡例は21人で、全員が持病のある50~90代の男女で、小児の死亡例はないようです。

 この点について「接種と死亡が偶発的に重なった可能性は否定できない。因果関係が評価できないものもあるが、大部分は持病の悪化などによる死亡の可能性が高く、ワクチンに安全上の明確な問題があるとは考えにくい」と判断しているとのことです。

 輸入ワクチンについては一部のワクチンが接種中止されたという情報もあり、予定通りの量で輸入、接種されるかどうか不確定要素が大きいようです。
(院内報より)

新型インフルエンザワクチン こんな疑問?

2009年11月27日 | 新型インフルエンザ
◎ 1回? 2回? 同時接種?
 行政、報道の混乱がありましたが、1歳~小学生は2回。中高生も2回(今後1回でも可という判断がなされる可能性がありますが、入手可能なら2回で)。季節性と新型の同時接種は可能ですが、新型輸入ワクチンと季節性の同時接種はできないことになっています。 MRなど他のワクチンとの同時接種も可能ではありますが、実際には1週間あけて接種してもらっています。

◎ インフルエンザに罹った場合は?
 検査でインフルエンザA型が確定した子については接種は不要です。検査陰性で「インフルエンザの疑い」と言われた子については、大きな子ではインフルエンザがほぼ確実な場合が多いのですが、年齢が小さくなるほど不明確になります。いずれも希望の場合は接種は可能です。

◎ 来年も接種が必要?
 まだ情報はありませんが、現在の「新型」が「季節性」となって組み込まれる見込みで、今年のように4回接種ではなく例年通り2回で済むはずです。
(院内報より)

新型インフルエンザ情報 あれこれ2

2009年11月27日 | 新型インフルエンザ
◎ これまでに罹った子の症状や様子から
 当院に通院している子では、喘息発作が誘発された子はいますが入院するほどの重症例はなく、ほとんどの子は例年のインフルエンザよりも軽症で済んでいる印象です。八戸市小児科医会での情報では、市内で重症化した3例の喘息患者が報告されましたが、全例1週間以内に退院できたとのことです。3例とも軽症の喘息患者でしたが、発症初期に呼吸困難が急速に進行したようです。

◎ 全国での重症例や死亡例から
 全国的には、幼児~小学校低学年を中心に脳症が132例報告されていますが、その83%は治癒・軽快し、後遺症は12%、死亡例は5%とのことです。
 すでに感染者は全国で1千万人を大きく超えているものと推測され、市内の学校では3割以上感染したところも出ています。全国では7月下旬から11月中旬までの受診者は推計で約900万人。入院患者は約7700人、うち345人が重症化、65人が死亡。受診者の1200人に1人が入院し、14万人に1人が死亡した計算になります。死亡率は0.001%未満で、当初予想された0.5%の500分の1以下ですが、子どもの重症化については今後も注意が必要です。

◎ 治療は?
 現在、「重症化予防」の目的でほぼ全例に抗インフルエンザ薬のタミフルかリレンザを処方しています。漢方薬の麻黄湯も効果が期待できることから殆どの子に併用しています。タミフルのドライシロップが品切れのため、カプセルの中身を甘くして処方する場合がありますが、少し飲みにくくなるようです。

◎ 子どもから大人への感染は少ない
 全国的に、小児科医や医療関係者の発症は非常に少なく、家族の中でも兄弟姉妹には感染しても親や祖父母への感染は少ないようです。これまで、90歳以上でなければ免疫はないとされていましたが、昨年までの「季節性」の感染による交差免疫で、ある程度の免疫があるのではないかと推測されています。

◎ 感染者の家族・きょうだいの休校・休業は不要!
 本人の症状次第です。
(院内報より)

子宮頸がんをワクチンで予防 HPVワクチン接種開始へ

2009年11月27日 | 予防接種
 若い女性で急増している子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが欧米から大きく遅れて国内でも承認され、近日中に接種開始となります。詳しくは次号で。ヒブと共に定期接種化が望まれます。

 ◇ 接種対象:10歳以上の女性(11~14歳に強く推奨)
 ◇ 接種方法:1回0.5mlを3回(初回、1ヶ月後、初回の6ヶ月後)
 ◇ 接種料金:任意接種(全額自己負担)、料金は未定

 なお、子宮頸がんは喫煙でも2倍以上リスクが高くなり、喫煙+HPVで相乗的に高まることがわかっています。乳がんも閉経前女性の喫煙者で約4倍、受動喫煙でも2倍以上高くなることが判明しており、子宮頸がん、乳がん、いずれもタバコによって若いお母さんの命が脅かされているのです。

◎ 新しい予防接種情報まとめ …日本脳炎は定期、他は任意接種(自費)
1)ヒブ(Hib)ワクチン 2009年1月より。2ヶ月から。4回~1回。
2)日本脳炎ワクチン 2009年7月再開。3歳から。組織培養型と従来型。
3)新型インフルエンザワクチン 2009年11月より。
4)HPVワクチン 2010年1月頃より(予定)。10歳以上の女性。3回。
5)小児用肺炎球菌ワクチン(PCV7) 2010年春(予定)。 4回~1回。
(院内報より)

11~12月の診療日、急病診療所、各種教室、相談の予定

2009年11月27日 | こども・小児科
 11月も臨時休診はなく暦どおりの診療となります。年末は12月30日(水) 午前まで診療し、同日午後から1月3日(日) まで休診となります。急病診療所当番は12月6日(日) 昼、12月19日(土) 夜、1月1日(祝) 夜の予定です。次回の赤ちゃん教室は1月16日 (土) になります。育児・子どもの心相談、禁煙外来(保険診療)は随時受け付けております。メール予約システムをご利用下さい。
(院内報より)