本日朝、市長宛にメールとFAXで発送しました。遅くなってしまったので18日までに回答が返ってくる可能性は低いかと思いますが、この質問状をネット上やメディアに公開したことは本文中にも書きましたので、説明や返答に少しは影響するのではないかと期待しています。もし18日朝までに回答があった時には、午後までにブログに掲載します(同日夕から不在のため)。19日の住民説明会にご出席を予定されている方は、参考にしていただければ幸いです。
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2012年(平成24年)2月16日
八戸市 小林 眞 市長
八戸市の震災瓦礫処理受け入れに関する公開質問状
八戸市湊高台 久芳康朗
くば小児科クリニック院長 小児科医
八戸市立青潮小学校・是川小学校校医
八戸市民の一人として質問します。2月19日の住民説明会には都合により出席できませんが、ここにあげた質問項目は多くの市民が疑問に感じていることと考えられ、当日も同じような質問が出るはずです(そちらでも想定問答に入っているものと思われます)。出席される方にも、出席できない方にも、共通の認識としてあらかじめ知っておくことは説明会の議論を進める上でも有益と考えられますので、ここに公開質問状として送らせていただきます。
直前になって申し訳ありませんが、ごく簡潔にで結構ですので、できましたら18日(土) 朝までにご回答下さいますようお願い申し上げます。この質問状はインターネットのブログ、twitter、facebookなどを通じて広く市民・国民にお知らせし、同時にメディア各社にも通知させていただきます。ご回答をいただけましたら、同様にネットを通じてお知らせしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
質問
1)セシウムは何度で気化しますか。
2)瓦礫は何度で焼却しますか。その時に、瓦礫に含まれるセシウムは気化しますか。
3)フィルターはどのような種類のフィルターで、どのくらいの大きさの粒子を捕捉できますか。気化したセシウムは捕捉できますか。フィルターを通過するときの温度は何度ですか。その際に、セシウムはどのような様態をとっていますか(ガス、粒子など)。
4)環境省はフィルターで放射性セシウムを99.99%除去できると主張しているようですが、それは本当ですか。実証データはありますか。
5)瓦礫に含まれる平均の放射性セシウム濃度と焼却する瓦礫の総量から、放射性セシウムの総量をどの程度の範囲で想定していますか。
6)その場合に、セシウムの全量のうち何パーセントが灰に残り、何パーセントが気化し、何パーセントがフィルターで捕捉され、何パーセントが環境中に放出され、その量はどのくらいになるのでしょうか。環境中に放出されたセシウムは、季節や風向きによってどの方向に飛散し、どこにどれくらいの量が降下し、その下にいる子どもがどの程度吸い込むのでしょうか。モデル計算の結果をお示し下さい。
a.このシミュレーションは受け入れを検討する際には必須の要件と思われますが、実施していますか。
b.もし実施したのであれば、なぜ市民に公開しないのですか。
c.もし実施していないのであれば、それはどうしてですか。
d.そもそも、このシミュレーションの元になるような科学的なデータは存在しますか。
e.もしそのような実証データがないのであれば、受け入れを決定した根拠は何ですか。
7)八戸市は学校や公園の放射線量を測定して公開した際に「空間放射線量率は、市庁舎前モニタリングポストによる測定結果と同程度で、自然放射線量の変動範囲にあるため、異常は認められませんでした」と断定していますが、その根拠はどこにあるのでしょうか。
a.そもそも、同じ測定機により同じ地点で事故の前後で測定して比較したわけではないのに「異常は認められない」と判断することは不可能と考えられますが、どうしてそう判断できたのですか。
b.測定結果は0.02~0.07μSv/hであり、PA-1000 Radiであれば測定誤差はさほど大きくないはずですので、信頼できる値という前提で質問します。日本地質学会のホームページなどを見ると、八戸の自然放射線量は0.04μSv/h以下と想定され、当方で所持する測定機(DoseRAE2)でも0.03~0.05μSv/hという測定値が観察されています。八戸よりも大きな汚染のあった東京近辺でも(1月に茨城県に行った際に測定しましたが)、0.1μSv/h前後の値のところが多く、0.02と0.07では大きな違いがあり「自然放射線量の変動範囲」と断定的に判断することは不可能です(当方では0.07という値を八戸では観測していません)。当然、地質や岩石などの条件によって相当程度の範囲で変動するものと考えられますが、その条件の1つに福島原発事故による汚染を含めないことは恣意的な判断と言わざるを得ません(福島事故後の政府や東電の態度とどこが違うのですか)。福島原発事故による影響が「全くなかった」と言い切れる根拠をお示し下さい。
8)瓦礫の受け入れを決定した後に住民説明会を開催していますが、順序が逆ではありませんか。行政の正当な手続きに則っていますか。市民への情報公開と説明責任を果たしていると言えますか。これは小林市長の指示と責任によるものですか。
9)被災地の瓦礫焼却処理について全国で大きな問題になっています。そもそも処理方法について、焼却がベストの方法なのか、他の選択肢はないのか、現地や福島原発周辺などで国費によって大規模な処理施設を作ることはあり得ないのかなど、メディアの画一的な報道では全く判断がつきません。まして、八戸市からは何の情報も発信されておりません。八戸市では市内の瓦礫処理ですら能力を超えているものとも報道されています。瓦礫を受け入れるか否かという二者択一ではなく、根本的・基本的な情報や認識を共有した上で、市民に選択肢を示して判断を仰ぐべきと思いますが、見解を求めます。
意見と要望(回答は不要です)
1)瓦礫受け入れの決定を全て白紙に戻すこと
2)様々な立場の市民による検討委員会を組織し、一から検討し直すこと。検討委員会の委員は公募を半数とすること
当方では、9月16日に「八戸市「岩手県の震災がれき20ベクレル問題」市長へのメール 情報開示と住民説明会の要望」(
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/3893033fe260862f9a8ad37501fcff03)を送らせていただき、10月11日に八戸市より「H23.09.16ホームページからのお問い合わせ『「岩手県の震災がれき20ベクレル問題」住民説明会開催の要望』への回答について」(
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/2675cbb523eae643fb4a2d4915c1ec07)とのご回答をいただきました。上記はいずれもブログに公開しております。できればもう一度お読みいただき確認していただきたいと思いますが、野田村からの瓦礫受け入れについて反対の立場はとっておらず、八戸市民、わけても焼却場周囲の子どもたちの健康に影響がないことを前提として、可能な限り復興の手助けをしたいという意思は変わりません。実際に野田村にも足を運んで、被災の現状や積み上がった瓦礫もこの目で見てきております。
しかし、要望した「情報開示と住民説明会」を全く行わないまま、国のゴーサイン(100ベクレル基準)を錦の御旗にして決定した経緯に対しては、当初書いた「小林市長の基本姿勢を支持する」という判断を180度変えました。
八戸市も野田村も放射能で汚染されています。その程度は0.03か0.07かという程度で大差なく、0.2とか0.5(関東)、あるいは1.0(福島)と比べれば、これだけの大汚染時代の中でこの程度で免れたというだけのことです。
しかし、「放射能汚染は集めて閉じ込めて、可能であれば元に戻すことが原則で、汚染地域から非汚染地域へ移すことはあってはならない」と最初のメールに書いた原則は何ら変ることはありません。この原則を無視した国や多くの自治体の態度が現在の大きな混乱を招いているのです。八戸市の姿勢に対する不信も同じところから生じています。
八戸セメントからの煙がたとえ青潮小・湊高台方面に毎日流れたとしても、春の強風で地表の放射性物質が巻き上げられるのと比べて大差ないのかもしれません(八戸程度の汚染であれば)。少なくとも私自身は、二人の子どもが八戸を離れて(関東のホットスポットに住んでおり)、夫婦二人だけであれば大きな心配はしていませんが、風下に暮らしている小さな子を育てている夫婦は心穏やかではいられないはずです。
ただデータを測定して差がなかったから異常がないというのは、何の説得力もありません。少なくとも、質問状に書いたようなシミュレーションを実施して(これはおそらく不可能だと思われますがそれならそうと認めて)、現在の汚染状況を認め、それとの差がわからない程度の放出があるがそれを容認するのかどうかという市民への率直な態度であれば話し合う余地もあり、むしろ理解が得られたはずだと思います。
現在の政府への不信(政府の言うことが信じられないのではなく、政府が言うことだから信じられない)がどこから生じているのか、それが八戸市と重なるところはないのか、もう一度立ち止まってお考え下さい。
なお、もし要望したような検討委員会が構成されるとしても、私自身は公募委員に応募するつもりはありません。同様の意見を持つ信頼できる市民の方にお任せしたいと思います。