シンポジウム「親子が育つ医師会の地域づくり」
1)新医師確保総合対策等を通しての産科医療支援の具体的施策
木下勝之(日本医師会常任理事)
産科医療で解決すべき労務問題、医師・助産師の確保、法的整備のうち、法的問題に絞って取り組みを解説された。
看護師の内診が違法とならないよう保助看法問題について厚労省と交渉中で、近日中に解決の見込みとのことであったが、現在も混乱は続いている。
脳性麻痺に絞った無過失補償制度は、19年度中に動き出す予定である。
医療事故に対する刑事司法介入は医療現場を混乱させ、医療安全の向上や再発防止には繋がらないことから、異状死の届出先を厚労省の管轄下に置き、第三者審査機構を設置することを提言しており、厚労省でも検討委員会を発足して新制度開始を目指している。
2)産科医不足に対応した周産期医療確保のための地域の取組
石渡 勇(茨城県医師会常任理事)
産科医の不足数は3000人で、団塊の世代のリタイヤにより実働する産科医の激減が予想されている。助産師も6800人不足している。周産期医療に関して、医療・行政・マスコミ・国民が問題点を共有することが重要である。
茨城県医師会では産婦人科医会や行政と連携しながら、知事への提言、マスコミへの広報活動、県民フォーラムの開催、医師バンク・助産師バンクの設立計画、助産師養成への関与などの活動を積極的に行っている状況が報告された。
3)より良い予防接種体制をめざして~日本版ACIP設立の必要性
横田俊平(横浜市立大学発生成育小児医療学教授)
わが国の予防接種行政は担当部署が分散し、感染症の流行情報や予防接種率の把握などの一元的な管理がなく、毎年のように予防接種制度に関する混乱が生じている。更に、中長期的対策を検討する場がなく、新たなワクチンの導入に長期間を要するなど、国際的な流れに対応しきれない状況にある。
米国CDCのACIP(予防接種実施に関する諮問委員会)のシステムを紹介しながら、官と民(学会・小児科医・医師会など)の両軸からなる日本版ACIP創設の必要性が提案された。
4)乳幼児健康支援一時預かり事業の現状と発展のために
菊池辰夫(福島県医師会副会長)
病後児保育施設を10年運営して、利用者の評価は高いが、小児科医との間に意識のギャップもみられる。また、個室管理による施設内感染防止のためには職員数が不足し、予約者の当日キャンセルも多く、経営的には厳しい状況にある。郡山医師会では、働く人の子育て支援を行う新しい産業医活動を提唱している。
5)地域における育児支援の実践~小石川医師会子育て支援セミナー
内海裕美(東京都小石川医師会理事)
平成9年から毎月開催している子育て支援セミナーでは事故防止、病気、予防接種、メディアの問題など子どもに関することなら何でもとりあげ、通算100回を越えた。セミナーを通じて、母親だけでなく小児科医も成長し、親子が育つ医師会の地域づくり事業に発展してきた。
子育て支援は思春期まで見据える必要があり、チャイルドラインの意義にも触れられた。絵本『ラヴ・ユー・フォーエバー』に描かれた親子の絆が紹介され、「子育てする人を幸せにする子育て支援」への気持ちを新たにさせられた。
6)ペリネイタル・ビジット事業について-大分県の取組
藤本 保(大分県医師会常任理事)
平成13年度のモデル事業から全県一単位で生後56日までの期間を対象とするペリネイタル・ビジット事業へと発展させ、年度毎に方法を柔軟に変更しながら、6年間で実施件数は産科紹介が3611件、小児科受診は2847件(78.8%)に達した。リスクの少ない妊産婦への予防的な支援の方に、より事業の意義がある。
事業の継続は産科医の熱意によるもので、それに応えようとする小児科医の力量が問われる。小児科ガイドラインを作成して推進体制を整えている。
討議
引き続き参加者とシンポジストの間で、医師会で助産師を養成する際の施設や教員などのハードル、助産師協会との連携がとれていないこと、お産をやめた施設の助産師の活用などが討議された。地方における集約化の各論は地域差が大きく、実情に合わせて対応するしかない。産科医療の危機への対応については中医協にも出されていて協議される予定とのことであった。
予防接種に関して、三種混合8週間厳格化について子育て支援の観点から批判意見が出されたほか、Hibワクチン混合化の見込みは当面なく、三種混合との同時接種を選択せざるを得ないとのことであった。
1)新医師確保総合対策等を通しての産科医療支援の具体的施策
木下勝之(日本医師会常任理事)
産科医療で解決すべき労務問題、医師・助産師の確保、法的整備のうち、法的問題に絞って取り組みを解説された。
看護師の内診が違法とならないよう保助看法問題について厚労省と交渉中で、近日中に解決の見込みとのことであったが、現在も混乱は続いている。
脳性麻痺に絞った無過失補償制度は、19年度中に動き出す予定である。
医療事故に対する刑事司法介入は医療現場を混乱させ、医療安全の向上や再発防止には繋がらないことから、異状死の届出先を厚労省の管轄下に置き、第三者審査機構を設置することを提言しており、厚労省でも検討委員会を発足して新制度開始を目指している。
2)産科医不足に対応した周産期医療確保のための地域の取組
石渡 勇(茨城県医師会常任理事)
産科医の不足数は3000人で、団塊の世代のリタイヤにより実働する産科医の激減が予想されている。助産師も6800人不足している。周産期医療に関して、医療・行政・マスコミ・国民が問題点を共有することが重要である。
茨城県医師会では産婦人科医会や行政と連携しながら、知事への提言、マスコミへの広報活動、県民フォーラムの開催、医師バンク・助産師バンクの設立計画、助産師養成への関与などの活動を積極的に行っている状況が報告された。
3)より良い予防接種体制をめざして~日本版ACIP設立の必要性
横田俊平(横浜市立大学発生成育小児医療学教授)
わが国の予防接種行政は担当部署が分散し、感染症の流行情報や予防接種率の把握などの一元的な管理がなく、毎年のように予防接種制度に関する混乱が生じている。更に、中長期的対策を検討する場がなく、新たなワクチンの導入に長期間を要するなど、国際的な流れに対応しきれない状況にある。
米国CDCのACIP(予防接種実施に関する諮問委員会)のシステムを紹介しながら、官と民(学会・小児科医・医師会など)の両軸からなる日本版ACIP創設の必要性が提案された。
4)乳幼児健康支援一時預かり事業の現状と発展のために
菊池辰夫(福島県医師会副会長)
病後児保育施設を10年運営して、利用者の評価は高いが、小児科医との間に意識のギャップもみられる。また、個室管理による施設内感染防止のためには職員数が不足し、予約者の当日キャンセルも多く、経営的には厳しい状況にある。郡山医師会では、働く人の子育て支援を行う新しい産業医活動を提唱している。
5)地域における育児支援の実践~小石川医師会子育て支援セミナー
内海裕美(東京都小石川医師会理事)
平成9年から毎月開催している子育て支援セミナーでは事故防止、病気、予防接種、メディアの問題など子どもに関することなら何でもとりあげ、通算100回を越えた。セミナーを通じて、母親だけでなく小児科医も成長し、親子が育つ医師会の地域づくり事業に発展してきた。
子育て支援は思春期まで見据える必要があり、チャイルドラインの意義にも触れられた。絵本『ラヴ・ユー・フォーエバー』に描かれた親子の絆が紹介され、「子育てする人を幸せにする子育て支援」への気持ちを新たにさせられた。
6)ペリネイタル・ビジット事業について-大分県の取組
藤本 保(大分県医師会常任理事)
平成13年度のモデル事業から全県一単位で生後56日までの期間を対象とするペリネイタル・ビジット事業へと発展させ、年度毎に方法を柔軟に変更しながら、6年間で実施件数は産科紹介が3611件、小児科受診は2847件(78.8%)に達した。リスクの少ない妊産婦への予防的な支援の方に、より事業の意義がある。
事業の継続は産科医の熱意によるもので、それに応えようとする小児科医の力量が問われる。小児科ガイドラインを作成して推進体制を整えている。
討議
引き続き参加者とシンポジストの間で、医師会で助産師を養成する際の施設や教員などのハードル、助産師協会との連携がとれていないこと、お産をやめた施設の助産師の活用などが討議された。地方における集約化の各論は地域差が大きく、実情に合わせて対応するしかない。産科医療の危機への対応については中医協にも出されていて協議される予定とのことであった。
予防接種に関して、三種混合8週間厳格化について子育て支援の観点から批判意見が出されたほか、Hibワクチン混合化の見込みは当面なく、三種混合との同時接種を選択せざるを得ないとのことであった。
この制度に忙しくて参加してないA小児科を「かかりつけ医」にしようと考えてたところ、産婦人科の先生から「A小児科」は登録してないので「B小児科」にしておくからと勝手に「かかりつけ医」を決められました。「B小児科」は事前に予約すれば時間外に相談にのってくれるとの事ですが、実際に子供が時間外に病気になった時は診てくれないそうです。時間外でも診てくれる「A小児科」の方が「かかりつけ医」としては最適と思ってます。子供のことを考えるのでなく、先生方中心の制度みたいです。親が知りたいのは、「どこにどんな小児科があるのか」「診療時間は」「時間外でも診てくれる小児科は」「入院できる小児科は」等の情報です。