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原発が許されない6つの理由:伊方原発訴訟/『小出裕章 最後の講演』川野氏の講演より

2016年03月11日 | 東日本大震災・原発事故
東日本大震災・福島原発事故から5年の節目で、高浜原発差し止め仮処分(3/9)や東電のメルトダウン隠し、冷却装置停止の新証言、津波予測の新たな証拠、日本原燃全面広告の虚偽などが重なっていますが、43年前(1973年)の伊方原発訴訟における「6つの理由」を引用して今晩はお終いにします。

既に3.11当日になりましたが、あの日のお昼過ぎまで、私たちは今とは全く違う世界に生きていたかのように錯覚するかもしれない(あの時に戻れるものなら戻りたいと)。しかし、この文章を読み返してみると、フクシマ以前も、以後も、全く同じ論理で同じことが続けられている世界に生きているということが理解できるはず。

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『小出裕章 最後の講演』より
川野眞治「伊方原発訴訟の頃」
1973年8月 伊方原発訴訟 原告の主張
1 潜在的危険性があまりに大きく、重大(過酷)事故は人びとの健康と環境に取り返しのつかない被害をもたらす
2 被曝労働という命を削るような労働:労働そのものの中に差別的な構造を内包
3 平常時でも一定の放射能を環境中に放出し、環境汚染と健康被害の可能性
4 放射性廃棄物の処分の見通しが立っていない
5 核燃料サイクルの要、プルトニウムは毒性があまりにも強く、利用は核兵器拡散をもたらす
6 原子力推進のため、情報の統制が進み、社会そのものの表現の自由が失われる:原子力帝国(ロベルト・ユンク)
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(補足)
1は不幸にして福島で現実のものとなった。健康被害がないと言い張る人達の根拠は現時点では何もない。

2の「差別の構造」は、ウラン採掘から最終処分まで、運転中の被曝労働だけでなく、廃炉作業(通常時、大事故後)、原発や核燃施設の立地地域に対する構造的差別まで含まれている。この点について福島や青森の関係者は「ナイーブ過ぎた」のではないか。小出氏が震災後に出した『騙されたあなたにも責任がある』という著書があるが(未読)、このタイトルが全てであろう。清水氏が福島県内で「東電の責任が4割、国が3割、県や市町村が2割、住民が1割」と言うと反発を受けたようだが、当然、その差別的構造を内包した形での「金目」での立地/受け入れだったはずで、その反発には同情する余地はあっても同意する気持ちにはなれません。

3については、再処理工場では原発とは比べ物にならないほどの放射性物質を大気と海中に放出するものであり、これが本来の議論の第一であるべき。

4は今後も解決不能の問題と考えている。少なくとも日本の現政府やその延長線上の政治状況では、熟議民主主義自体が成り立たないし、国民の合意が得られる見込みは限りなくゼロに近い。解決の責任は政府・推進側にあるが、最初から答えの存在しない問題(だから原発を推進してはいけなかったというのが結論)。

5については日本のプルトニウム大量保有は世界の核問題不安定化の最大要因となっている。パグウォッシュ会議でも再処理そのものを止める方向に転換している。

6については現在の状況をそのまま指し示したものと言えるだろう。核プルトニウム社会は極端な管理社会・秘密社会となると高木先生も警告していたが、それが現実のものとなりつつある。

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