熊本熊的日常

日常生活についての雑記

創作陶芸展

2009年10月22日 | Weblog
和光並木館で開催中の創作陶芸展を観にでかけてきた。自分の陶芸の先生が出展しておられるので、是非とも観たいと思ったのである。会場には先生がおられたので、作品の技法はもとより、日頃から疑問に思っていることなどを、作品を拝見しながら解説していただいた。

先生は「創作」ということに価値を置いておられる。既成の枠にとらわれない新しいものを創造するということである。一方で、実用という枠にもこだわりがおありになるようで、実用品でありながらもこれまでにないような作品を目指されておられるようだ。私が陶芸を始めるにあたって先生を選ぶときに、ネットで何人かの作品を拝見して今の先生に決めたのだが、自分が抱いていた印象と先生の指向との間に大きな違いがないことにまずは安心した。

作品の値付けについては、決まった方法とか基準というものはないのだそうだ。例えば、展覧会であれば、そこに出品するためのコストがあり、それをまかなうことができるように作品ごとに値段を割り振るのだそうだ。但し、他の作家、特に大学時代の先生や先輩の作品価格は意識されるものらしい。そうした大枠のなかで、全体として、年々単価を上げるようには心がけておられるという。

陶芸でも木工でも茶道具は比較的高く売れる傾向があるらしい。しかし、茶道具には決まりごとが多く、そうした規制に縛られてしまうと創作活動にはならなくなってしまう。勿論、規制のなかでこそ創作の工夫が活きるということもある。ただ、本来の目的を離れて規制が独り歩きをしている面もないわけではないだろう。茶の湯の世界は、そもそもは茶の世界を通じて生活のなかの美しさとか人の心の美しさを追求するものであったはずだ。それが決まりごとばかりを作り出して、その細部にとらわれるあまり、本来の目的を見失ってしまったのでは、何のための茶道なのかわからない。

茶碗をつくるという一見すると単純な作業のなかに、思考の種となることがいくらでもある。そうした種をひとつひとつ検証して、そこから自分の血肉を得るというのが、物を作ることの醍醐味のひとつでもある。また、その種を受け渡すことで人と人とのつながりを得ることや、一期一会を体感することも愉快なことである。