万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

奇妙な野党の”採決強行論”

2015年09月18日 10時15分13秒 | アジア
安保法案、参院委で可決=与党が採決強行―きょう成立めぐり緊迫化
 昨日、参院の特別委員会において安保法案が可決された件について、かねてより法案に反対してきた野党側は、”採決強行”として与党側を糾弾しております。しかしながら、この野党側の批判、安保法案の論点設定や経緯を考慮すれば、的外れであると思うのです。

 安保関連法案は、早ければ6月中での可決・成立が予定されておりましたので、既に2か月以上の時間が国会での審議に費やされております。予定が大きく9月中旬までずれ込んだ主たる理由は、憲法学者による違憲論の提起と、これを根拠とした野党側の”違憲攻勢”にあります。いわば、主戦場が”違憲問題”に移ったのです。しかしながら、1946年の憲法制定以来、憲法の解釈論争は、およそ70年間にわたって続き、今日に至るまで、政府、憲法学者共に、様々な解釈が唱えられてきました。安保法案違憲論も、数ある解釈の内の一つを依拠にしているに過ぎず、絶対的なものではありません。70年間にも及ぶ論争を今国会の会期中で決着が付けられるはずもなく、違憲論を主戦場に選んだ時点で、この問題は、早々、平行線を辿らざるを得なかったのです。ですから、これ以上審議を延長しても何らの妥協点も見いだせないと委員長が判断した場合、採決を採ることは、決して”強行”とは言えないはずですし、民主主義の手続きから逸脱しているわけでもありません。また、野党側が対案を出していない状況では、政策論争や修正の叩き台もないのですから、議論も深めようもありません。国会がひたすらに政府案を批判する場であるならば、野党は、既に、十分に批判し尽くしたのではないでしょうか。

 
 野党側は、法案の説明不足をも批判材料としておりますが、東アジア情勢、並びに、国際情勢が劇的に変化する中、対案も出さずに反対一辺倒で暴力的な法案成立阻止を試みる野党側に対して、国民の多くは、むしろ疑念を深めているのではないでしょうか。

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コメント (6)
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