万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日中韓首脳会談の不吉な予感

2015年09月09日 15時23分02秒 | その他
 今月3日、中国では、盛大に対日戦勝70周年の式典が催されました。韓国の朴大統領が列席したことで、中国と韓国の接近は決定的なものとなりましたが、両国首脳の会談の場において、日本国としましては、聞き捨てならない合意が成立しております。

 中韓の合意とは、10月末から11月初旬に、韓国のソウルにて日中韓の三カ国による首脳会談を開催するというものです。合意があった翌朝の新聞各社では、”政府高官”の発言として、日本国政府もこの提案を受けざるを得ないとする見解を報じましたが、日本国には、三カ国首脳会談に参加する義務はないはずです。国際法においては、二国間での如何なる合意の拘束力も第三国には及ばず、日本国に対する中韓による一方的な”呼び出し”に過ぎません。三カ国の首脳が揃った席での合意ではなく、しかも、日本国政府に対して正式なルートで提案をしているわけでもなく、あくまでも、中韓の二国だけで日程や開催場所まで勝手に決めているのです。これだけでも外交上の儀礼や常識から逸脱しているのですが、ここで、日本国政府が、安易に首脳会談参加に応じますと、中韓は、パレードに誇示した軍事力に日本国が屈したと解し、首脳会談は、両国首脳による日本国首脳の”吊し上げ”の場と化すリスクがあります。あるいは、”中韓同盟”に、日本国もまた取り込まれたとする印象を国際社会に与えるかもしれません。

 今月15日にも、日中韓首脳会談のための審議官級の会合が持たれるそうですが、軍事パレード以来、中韓に対する国際的な評価は低下し、今では、両国首脳と一緒に写真の納まることさえ憚れる状況に至っております。中韓主導の首脳会談には、不吉な予感がするのです。

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コメント (4)
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