国境の壁費用、まず米国が負担しメキシコに請求=トランプ氏
”アメリカ・ファースト”を掲げるトランプ次期アメリカ大統領に対しては、政府からも、マスメディアからも、”保護主義反対”の大合唱が起きています。貿易ルールを守ろうとしない態度は、法の支配に対する脅威でもある、と…。
確かに、トランプ氏の手法は、WTOやNAFTAにおいて定められた今日の自由貿易ルールを無視しています。大統領令によって突如として35%や45%といった高率の関税がかけられたならば、メキシコといったNAFTA加盟国のみならず、影響を受ける全ての諸国の政府から訴えられる可能性もあります。NAFTAの枠組みであれば、一般の民間企業にも訴訟を起こす権利が認められていますので、アメリカ政府は、莫大な数の訴訟を抱え込むかもしれません。
それでも、なおも、トランプ政権が、関税障壁を高めることで自国民の雇用を守ろうとするならば、WTOやNAFTAからの撤退も止む無しとなるのですが、こうした事態に陥ったのも、そもそも、自由貿易ルールなるものが、”悪法”であったからではないかと思うのです。実のところ、自由貿易ルールとは、”自由放任”を約するという奇妙なルールであり、様々な権利の衝突を調和させ、相互に一定の範囲で権利を保護し合うというルールの本質からは逸脱しています。従来の自由貿易ルールとは、ダンピングや政府補助の禁止を例外として、”例外なき関税障壁の撤廃”に加え、EUが先鞭をつけたように、”もの”に留まらず、サービス、人、資本…の移動自由もルールとして定めようとしてきました。あくまでも、国境におけるあらゆる障壁の除去こそが”ルール”とされたのです。しかしながら、こうしたルール化には、自由化によって被害や損失を受ける人々の利益や権利は無視されており、自由化の果実は均霑されることなく、今日、一般の人々の不満と不安を高めることとなりました。この側面に注目すれば、自由貿易ルールの概念を再定義し、発想を転換させる必要がありそうです。つまり、ルールを本来の姿に戻し、問題設定を”どこまで自国や自国民の権利や利益の保護をお互いに許すのか”に変えるのです。
トランプ氏も、拳を振り上げて大統領権限で関税率の大幅な引き上げを以って脅すよりも、自由放任を許し、弱肉強食の世界に至る今日の貿易ルール、あるいは、自由化ルールが悪法であることを訴え、その改革を提案した方が、余程、アメリカのみならず、全世界の人々からの賛同を得られるのではないかと思うのです。
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確かに、トランプ氏の手法は、WTOやNAFTAにおいて定められた今日の自由貿易ルールを無視しています。大統領令によって突如として35%や45%といった高率の関税がかけられたならば、メキシコといったNAFTA加盟国のみならず、影響を受ける全ての諸国の政府から訴えられる可能性もあります。NAFTAの枠組みであれば、一般の民間企業にも訴訟を起こす権利が認められていますので、アメリカ政府は、莫大な数の訴訟を抱え込むかもしれません。
それでも、なおも、トランプ政権が、関税障壁を高めることで自国民の雇用を守ろうとするならば、WTOやNAFTAからの撤退も止む無しとなるのですが、こうした事態に陥ったのも、そもそも、自由貿易ルールなるものが、”悪法”であったからではないかと思うのです。実のところ、自由貿易ルールとは、”自由放任”を約するという奇妙なルールであり、様々な権利の衝突を調和させ、相互に一定の範囲で権利を保護し合うというルールの本質からは逸脱しています。従来の自由貿易ルールとは、ダンピングや政府補助の禁止を例外として、”例外なき関税障壁の撤廃”に加え、EUが先鞭をつけたように、”もの”に留まらず、サービス、人、資本…の移動自由もルールとして定めようとしてきました。あくまでも、国境におけるあらゆる障壁の除去こそが”ルール”とされたのです。しかしながら、こうしたルール化には、自由化によって被害や損失を受ける人々の利益や権利は無視されており、自由化の果実は均霑されることなく、今日、一般の人々の不満と不安を高めることとなりました。この側面に注目すれば、自由貿易ルールの概念を再定義し、発想を転換させる必要がありそうです。つまり、ルールを本来の姿に戻し、問題設定を”どこまで自国や自国民の権利や利益の保護をお互いに許すのか”に変えるのです。
トランプ氏も、拳を振り上げて大統領権限で関税率の大幅な引き上げを以って脅すよりも、自由放任を許し、弱肉強食の世界に至る今日の貿易ルール、あるいは、自由化ルールが悪法であることを訴え、その改革を提案した方が、余程、アメリカのみならず、全世界の人々からの賛同を得られるのではないかと思うのです。
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