与野党、保護主義を警戒=「米国第一」の政策注視
新たに発足したトランプ政権については、日本国を始め世界各国のメディアでは、“アメリカ・ファースト”の方針に対する批判的論調が目立ちます。大胆な転換を目指すトランプ大統領に対する警戒感の現れなのでしょうが、”アメリカ・ファースト”には、二つの方向性があるように思えます。
頭一つ抜きんでているアメリカが唱える“アメリカ・ファースト”に対して、周囲の諸国が身構えるのにも、それなりの理由があります。第二次世界大戦後、アメリカは国際秩序の擁護者として要となる役割を引き受けており、実際に、国連などの国際組織にあっても、その役割の重要性に見合った特権が認められています。安保理での”拒否権”に留まらず、NPTでも核保有国の特権を享受し、軍事技術面においても他の諸国の追随を許さない軍事大国となりました。そのアメリカが、国際法秩序よりも自国の利益を優先するとなりますと、戦後のレジームは一気に崩壊しかねません。“アメリカ・ファースト”が、国際社会において何らかの拘束からも“自由”であることを意味するならば、これは、“アメリカ超越主義”、あるいは、“アメリカ絶対主義”と表現することができます。“アメリカ・ファース”は、アメリカの国益の他の国々の国益に対する優先ではなく、国益の国際法秩序に対する超越、次元の違いを意味するのですから。
その一方で、“アメリカ・ファースト”が、“Our Country and People First”、即ち、自国・自国民優先主義を意味するならば、この方針は、主権国家の独立性を保障する国際法の原則とも一致しています。国際社会における主権平等、民族(国民)自決、内政不干渉…の原則は民主主義ともリンケージしており、これらの原則は、国連憲章をはじめ、様々な条約において具体的な条文として記されているからです。国際法は、平和や国際協調を求めても、自国や自国民を犠牲にしてまで諸外国の利益を図ることを義務付けてはおらず、自国優先主義が基本原則です。また、国内レベルを見ても、国家の政府とは、選挙を通して国民の信託を受け、国民から拠出される税を以って財源を確保し、その上で様々な公的な機能を提供しているのですから、外国人の利益を優先したのでは、国民に対する背任行為ともなります。“アメリカ・ファースト”の意味が自国・自国民優先主義であるならば、世界各国ともに、’お互い様’ですので、必ずしも、これを恐れる必要はないのです。
“アメリカ・ファースト”には二つの意味があるとしますと、今後のトランプ政権の政策運営においてどちらの面が現出してくるのかによって、日本国を含む各国の対応も違ってくることでしょう。近い将来、国際社会において“アメリカ超越主義”的な面が顕著となれば、やはり、アメリカに対して国際法の誠実な遵守、並びに、“規律ある自由”を求める場面が訪れるかもしれません。あるいは、アメリカが、仮に野蛮な弱肉強食をよしとする中ロに同調し、国際法秩序の擁護者としての役割を放棄するならば、法の支配の価値を共にする中小国が大国の横暴に抗するべく結束し、全ての諸国の権利と自由が法の下で擁護される新たな国際秩序の構築を試みる展開もある得ることでしょう。その一方で、トランプ政権の進む道が、第二の“アメリカ・ファースト”であるならば、特に経済分野においては行き過ぎたグローバリズムを是正し、相互的な自国保護を加味した新たな国際ルール造りが始まる契機となるかもしれません。果たしてトランプ政権は、人類史において、どのような軌跡を描いてゆくことになるのでしょうか。
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新たに発足したトランプ政権については、日本国を始め世界各国のメディアでは、“アメリカ・ファースト”の方針に対する批判的論調が目立ちます。大胆な転換を目指すトランプ大統領に対する警戒感の現れなのでしょうが、”アメリカ・ファースト”には、二つの方向性があるように思えます。
頭一つ抜きんでているアメリカが唱える“アメリカ・ファースト”に対して、周囲の諸国が身構えるのにも、それなりの理由があります。第二次世界大戦後、アメリカは国際秩序の擁護者として要となる役割を引き受けており、実際に、国連などの国際組織にあっても、その役割の重要性に見合った特権が認められています。安保理での”拒否権”に留まらず、NPTでも核保有国の特権を享受し、軍事技術面においても他の諸国の追随を許さない軍事大国となりました。そのアメリカが、国際法秩序よりも自国の利益を優先するとなりますと、戦後のレジームは一気に崩壊しかねません。“アメリカ・ファースト”が、国際社会において何らかの拘束からも“自由”であることを意味するならば、これは、“アメリカ超越主義”、あるいは、“アメリカ絶対主義”と表現することができます。“アメリカ・ファース”は、アメリカの国益の他の国々の国益に対する優先ではなく、国益の国際法秩序に対する超越、次元の違いを意味するのですから。
その一方で、“アメリカ・ファースト”が、“Our Country and People First”、即ち、自国・自国民優先主義を意味するならば、この方針は、主権国家の独立性を保障する国際法の原則とも一致しています。国際社会における主権平等、民族(国民)自決、内政不干渉…の原則は民主主義ともリンケージしており、これらの原則は、国連憲章をはじめ、様々な条約において具体的な条文として記されているからです。国際法は、平和や国際協調を求めても、自国や自国民を犠牲にしてまで諸外国の利益を図ることを義務付けてはおらず、自国優先主義が基本原則です。また、国内レベルを見ても、国家の政府とは、選挙を通して国民の信託を受け、国民から拠出される税を以って財源を確保し、その上で様々な公的な機能を提供しているのですから、外国人の利益を優先したのでは、国民に対する背任行為ともなります。“アメリカ・ファースト”の意味が自国・自国民優先主義であるならば、世界各国ともに、’お互い様’ですので、必ずしも、これを恐れる必要はないのです。
“アメリカ・ファースト”には二つの意味があるとしますと、今後のトランプ政権の政策運営においてどちらの面が現出してくるのかによって、日本国を含む各国の対応も違ってくることでしょう。近い将来、国際社会において“アメリカ超越主義”的な面が顕著となれば、やはり、アメリカに対して国際法の誠実な遵守、並びに、“規律ある自由”を求める場面が訪れるかもしれません。あるいは、アメリカが、仮に野蛮な弱肉強食をよしとする中ロに同調し、国際法秩序の擁護者としての役割を放棄するならば、法の支配の価値を共にする中小国が大国の横暴に抗するべく結束し、全ての諸国の権利と自由が法の下で擁護される新たな国際秩序の構築を試みる展開もある得ることでしょう。その一方で、トランプ政権の進む道が、第二の“アメリカ・ファースト”であるならば、特に経済分野においては行き過ぎたグローバリズムを是正し、相互的な自国保護を加味した新たな国際ルール造りが始まる契機となるかもしれません。果たしてトランプ政権は、人類史において、どのような軌跡を描いてゆくことになるのでしょうか。
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