万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日米二国間貿易交渉ー有力米製品は防衛装備では

2017年01月28日 13時58分27秒 | アメリカ
日米首脳会談で2国間貿易交渉へ…米要求に対応
 アメリカのトランプ大統領は、対日貿易赤字を問題視しており、”ジャパン・バッシング”の再来さえ懸念されております。TPPの発行が絶望的となった今、貿易交渉の場は、日米二国間へとシフトしましたが、アメリカ側は、日本国に対して米製品の輸入を強く働きかけるものと予想されています。

 そもそも貿易にあっては、相互に足りない部分を補い合う相互補完的な取引こそが、貿易摩擦を起こさずにウィン・ウィン関係をもたらす理想的なパターンです。この観点から日米貿易を眺めますと、両国間の貿易摩擦を解消するには、黒字国である日本国が、自らに不足している製品をアメリカから輸入する必要があります。それでは、どのような製品分野が、アメリカからの輸入品として日本国にとって望ましいのかと申しますと、ハイテク兵器において圧倒的な軍事技術を保有しているアメリカの防衛装備ではないかと思うのです。

 現在、中国の急激な軍事力の増強、並びに、覇権主義的な行動、そして、北朝鮮の核開発を前にして、日本国の自衛隊の装備は必ずしも十分とは言えない状況にあります。ミサイル防衛についても、アメリカから輸入したイージス艦や地体空ミサイル等への依存度も高く、国産化を目指して開発中とはいえ、様々な分野で不足しています。尖閣諸島や南シナ海における危機は差し迫っており、軍事費をGDPの1%以内に抑えるとする方針も、見直しを迫れております(因みにNATOでは、加盟国に対して2%の支出を求めている…)。日本企業も参加する形での共同開発等も視野に入れつつ、当面は、アメリカからの防衛装備の輸入を拡大させれば、解消とまではいかなくとも、日米間の貿易不均衡も相当に是正されることでしょう。

 アメリカから防衛装備を輸入することで自国の防衛力が格段に高まるのですから、日本国民の多くも、この方針を支持するのではないでしょうか。アメリカ側からしましても、日本向け輸出によって軍需産業部門、ならびに、その関連部門での雇用が拡大し、衰退してきた製造業復活の足掛かりとなるかもしれません。日米二国間貿易交渉では、巧みな交渉によって、ウィン・ウィン関係を目指すべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする