北朝鮮に「あらゆる手段」用意=米仏首脳電話会談でトランプ氏
北朝鮮がグアム島沖に向けて弾道ミサイルを発射する計画を表明したことから、朝鮮半島情勢は、緊迫の度合いを強めております。8月11日には、米中首脳の間で電話会談が設けられましたが、注目されるのは、本問題に関する中国側の対応です。
同日に報じられた中国の環球時報の社説では、中国側は、(1)北朝鮮が米領を脅かす弾道ミサイルを発射し、報復を招いたときには中国は中立を保つ(中朝友好協力相互条約は発動しない…)、(2)米韓が軍事攻撃による北朝鮮の政権転覆や朝鮮半島の勢力図の変化を試みた場合、中国は断固として行動を阻止する、の二点を明らかにすべきと主張しています。同社は共産党系列の“御用メディア”ですので、中国共産党内では、以上の二点が北朝鮮問題に関する基本方針として決定されているのかもしれません。
しかしながら、この基本方針は、最も可能性の高い“北朝鮮のミサイル発射を待たず、現時点においてアメリカが先制攻撃する”という展開を度外視しています。この展開の可能性の方がむしろ高い理由として、(1)北朝鮮が米国領に向けたミサイル発射の準備を開始し、アメリカがその徴候を監視衛星等で察知した場合、米軍は、迷いなく敵地ミサイル基地を事前に破壊する、(2)北朝鮮の先制を以って中国による米軍の軍事行動の容認条件となれば、結局、北朝鮮側に、米本土攻撃可能な核・ミサイル開発の時間的猶予を与えることになる(高性能なコンピュータを用いれば、必ずしも核兵器の小型化やICBMの開発には実射実験を必要とするわけではない…)、(3)アメリカが同条件に合意すれば、北朝鮮に開戦の決定権が握られ、即時空爆の可能性によって維持されてきたアメリカ側の対北圧力の効果が薄れる、(4)交渉による解決の見込みが極めて低い以上、アメリカが軍事制裁によって解決するならば、北朝鮮の核・ミサイル能力の向上を止める上でも早期開戦が望ましい、(5)イラク戦争の基準に照らしても、大量破壊兵器を保有する北朝鮮に対する軍事制裁は、今日においても国際法において合法である…などといった点を挙げることができます。
中国側は、何故、最も可能性の高い選択肢を無視したのか、この点については、フリーハンドを握っておくため、もしくは、事態の推移に対しての自らの責任の回避するための曖昧戦略かもしれませんし、あるいは、容認の条件を北側の先制という点に厳格化、限定化することで、アメリカの軍事行動を押さえようという戦略であるのかもしれません。しかしながら、その一方で、核施設やミサイル基地等に限定したピンポイント式の空爆であるならば、アメリカの武力行使を容認したとする解釈もできます。体制転覆や朝鮮半島の勢力図の変化に関して示された、並々ならぬ決意の行間を読めば、中国の最大の関心事は北朝鮮の体制維持であり、それが保たれさえすれば、第1点で示された北側の先制であれ、米軍側からの先制であれ、米軍の空爆も容認の範囲とも解されるのです。しかも、アメリカが対北軍事行動を選択したとしても、北朝鮮が国際法上の違法行為を行い、平和の脅威となっている現実を前にしては、中国も、米軍の行動を批判できない状況に最早至っております。
米中首脳会談によって、米軍の武力行使は手控えられるとの観測もありますが、上記のように考えますと、そうとばかりは言えないように思えます。少なくとも北朝鮮問題を機とした米中全面衝突を避けるために、むしろ、アメリカに対して中国側が譲歩したとも読めるのです。
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北朝鮮がグアム島沖に向けて弾道ミサイルを発射する計画を表明したことから、朝鮮半島情勢は、緊迫の度合いを強めております。8月11日には、米中首脳の間で電話会談が設けられましたが、注目されるのは、本問題に関する中国側の対応です。
同日に報じられた中国の環球時報の社説では、中国側は、(1)北朝鮮が米領を脅かす弾道ミサイルを発射し、報復を招いたときには中国は中立を保つ(中朝友好協力相互条約は発動しない…)、(2)米韓が軍事攻撃による北朝鮮の政権転覆や朝鮮半島の勢力図の変化を試みた場合、中国は断固として行動を阻止する、の二点を明らかにすべきと主張しています。同社は共産党系列の“御用メディア”ですので、中国共産党内では、以上の二点が北朝鮮問題に関する基本方針として決定されているのかもしれません。
しかしながら、この基本方針は、最も可能性の高い“北朝鮮のミサイル発射を待たず、現時点においてアメリカが先制攻撃する”という展開を度外視しています。この展開の可能性の方がむしろ高い理由として、(1)北朝鮮が米国領に向けたミサイル発射の準備を開始し、アメリカがその徴候を監視衛星等で察知した場合、米軍は、迷いなく敵地ミサイル基地を事前に破壊する、(2)北朝鮮の先制を以って中国による米軍の軍事行動の容認条件となれば、結局、北朝鮮側に、米本土攻撃可能な核・ミサイル開発の時間的猶予を与えることになる(高性能なコンピュータを用いれば、必ずしも核兵器の小型化やICBMの開発には実射実験を必要とするわけではない…)、(3)アメリカが同条件に合意すれば、北朝鮮に開戦の決定権が握られ、即時空爆の可能性によって維持されてきたアメリカ側の対北圧力の効果が薄れる、(4)交渉による解決の見込みが極めて低い以上、アメリカが軍事制裁によって解決するならば、北朝鮮の核・ミサイル能力の向上を止める上でも早期開戦が望ましい、(5)イラク戦争の基準に照らしても、大量破壊兵器を保有する北朝鮮に対する軍事制裁は、今日においても国際法において合法である…などといった点を挙げることができます。
中国側は、何故、最も可能性の高い選択肢を無視したのか、この点については、フリーハンドを握っておくため、もしくは、事態の推移に対しての自らの責任の回避するための曖昧戦略かもしれませんし、あるいは、容認の条件を北側の先制という点に厳格化、限定化することで、アメリカの軍事行動を押さえようという戦略であるのかもしれません。しかしながら、その一方で、核施設やミサイル基地等に限定したピンポイント式の空爆であるならば、アメリカの武力行使を容認したとする解釈もできます。体制転覆や朝鮮半島の勢力図の変化に関して示された、並々ならぬ決意の行間を読めば、中国の最大の関心事は北朝鮮の体制維持であり、それが保たれさえすれば、第1点で示された北側の先制であれ、米軍側からの先制であれ、米軍の空爆も容認の範囲とも解されるのです。しかも、アメリカが対北軍事行動を選択したとしても、北朝鮮が国際法上の違法行為を行い、平和の脅威となっている現実を前にしては、中国も、米軍の行動を批判できない状況に最早至っております。
米中首脳会談によって、米軍の武力行使は手控えられるとの観測もありますが、上記のように考えますと、そうとばかりは言えないように思えます。少なくとも北朝鮮問題を機とした米中全面衝突を避けるために、むしろ、アメリカに対して中国側が譲歩したとも読めるのです。
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