「過去最大の経済制裁」 安保理が北朝鮮制裁決議を全会一致で採択、石炭・海産物の全面禁輸
今月5日、国連安保理では、北朝鮮に対して主要輸出産品である石炭や海産物の全面的な禁輸を、中国やロシアも含めた全会一致で決議しました。過去最大の経済制裁と称されつつ、関心を集めてきた石油禁輸については見送られた模様です。
石油禁輸の見送りについては、“話し合い”に持ち込みたい中国の外交的勝利との評価もありますが、そうとばかりは言えないように思えます。何故ならば、石油禁輸は、必ずしも、中国に有利な形での平和的な解決を意味しないからです(実のところ、太平洋戦争は、対日石油禁輸が引き金となっている…)。
中国からの石油が禁輸となれば、国内の経済活動のみならず軍の活動能力も不可能となり、北朝鮮は息の根を止められることになります。この効果の絶大さを考えれば、中国は、北朝鮮の生殺与奪の権を握っているように見えます。また、兵糧攻めで北朝鮮を降伏させることができるのですから、アメリカをはじめ、国際社会も石油禁輸を歓迎することでしょう。それでは、何故、中国は、自らの評価を上げ、しかも、核・ミサイル放棄後の北朝鮮に対して影響力を残すことができる石油禁輸に踏み込まないのでしょうか。
もちろん、THAAD配備をめぐる対米駆け引きにおいて石油禁輸を交渉カード(THAAD撤廃の交換条件…)として残したいとする思惑もあることでしょう。その一方で、もう一つ、石油禁輸を躊躇する理由があるとすれば、それは、石油禁輸を実行に移した途端、北朝鮮の核ミサイルの照準が、アメリカの主要都市から北京に転じるリスクがあるからなのではないでしょうか。中北戦争が勃発すれば、ICBMを用いるまでもなく、北京をはじめ北部の都市は北朝鮮の中距離ミサイルの射程に入っております。最終的に勝利を収めたとして、中国も無傷ではいられません。また、中国の旧瀋陽軍は北朝鮮軍と凡そ一体化しているともされ、仮に、北朝鮮が主敵を米国から中国へと切り替えた場合、旧瀋陽軍の矛先も北京政権へと向かい、中国は、内乱状態に陥る可能性があります。
中国政府が、中北戦争、あるいは、内乱を恐れているとしますと、中国に石油禁輸を期待することは難しくなります。否、中国は、北朝鮮の主敵をアメリカに固定すべく、裏側では北朝鮮としっかりと協調しつつ、あらゆる口実を設けては石油禁輸の実行から逃げようとするかもしれないと思うのです。
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石油禁輸の見送りについては、“話し合い”に持ち込みたい中国の外交的勝利との評価もありますが、そうとばかりは言えないように思えます。何故ならば、石油禁輸は、必ずしも、中国に有利な形での平和的な解決を意味しないからです(実のところ、太平洋戦争は、対日石油禁輸が引き金となっている…)。
中国からの石油が禁輸となれば、国内の経済活動のみならず軍の活動能力も不可能となり、北朝鮮は息の根を止められることになります。この効果の絶大さを考えれば、中国は、北朝鮮の生殺与奪の権を握っているように見えます。また、兵糧攻めで北朝鮮を降伏させることができるのですから、アメリカをはじめ、国際社会も石油禁輸を歓迎することでしょう。それでは、何故、中国は、自らの評価を上げ、しかも、核・ミサイル放棄後の北朝鮮に対して影響力を残すことができる石油禁輸に踏み込まないのでしょうか。
もちろん、THAAD配備をめぐる対米駆け引きにおいて石油禁輸を交渉カード(THAAD撤廃の交換条件…)として残したいとする思惑もあることでしょう。その一方で、もう一つ、石油禁輸を躊躇する理由があるとすれば、それは、石油禁輸を実行に移した途端、北朝鮮の核ミサイルの照準が、アメリカの主要都市から北京に転じるリスクがあるからなのではないでしょうか。中北戦争が勃発すれば、ICBMを用いるまでもなく、北京をはじめ北部の都市は北朝鮮の中距離ミサイルの射程に入っております。最終的に勝利を収めたとして、中国も無傷ではいられません。また、中国の旧瀋陽軍は北朝鮮軍と凡そ一体化しているともされ、仮に、北朝鮮が主敵を米国から中国へと切り替えた場合、旧瀋陽軍の矛先も北京政権へと向かい、中国は、内乱状態に陥る可能性があります。
中国政府が、中北戦争、あるいは、内乱を恐れているとしますと、中国に石油禁輸を期待することは難しくなります。否、中国は、北朝鮮の主敵をアメリカに固定すべく、裏側では北朝鮮としっかりと協調しつつ、あらゆる口実を設けては石油禁輸の実行から逃げようとするかもしれないと思うのです。
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