新聞報道によりますと、プミポン国王逝去の後、新たな国王が即位したワチラロンコン国王の下で、タイでは、国王への権限強化が進行しているそうです。この現象、タイ国の危機の前兆のようにも思えます。
タイにおける権限強化の具体的な内容としては、(1)王室事務局や王宮警察を政府機関から切り離して国王直轄する、(2)職員の人事権を国王に移管する、(3)政府予算で運営される一方で、収入の財務相納付は免除する、といった諸点が挙げられています。そして、さらに驚くべき“法改正”は、王室財産の私物化です。タイ王室は、4.7兆円もの資産を保有しておりますが、その運用は、国王の一任されるようにもなりました。王室財産委員会委員長の任命権も国王に移っていますので、巨額の王室財産は、いわば、私物化されたに等しいのです。
プミポン前国王は、タイ国民からの人気も高く、クーデタの危機をも巧みな政治手腕で収拾させたことで知られています。一方、ワチラロンコン新国王は、皇太子時代から素行も評判も芳しくなく、タイ国民は、同国王の即位を不安視していたとされています。民主主義が根付いていれば、国民に不人気な国王に権限を集中させることはあり得ませんので、今般の権限強化の背景には、同国王を背後から支える軍部、中国、あるいは、国際組織等の意向を推測せざるを得ません。つまり、国王を傀儡化し、間接支配の道具とするには、権限が集中していた方が都合がよいのです(一般には偽書とされてはいるものの、『シオンの長老の議定書』にも、世界支配の手法として各国の国家体制の独裁化が記されている…)。世界屈指とされる王室財産は、国家の資源と国民の努力と勤勉さの結晶でもありますが、やがて新国王、否、その背後の勢力が私的に自由にできる“資金”と化すのでしょう。
そして、王室をめぐる私物化の危機は、日本国の皇室にも忍び寄っているように思えます。先般、小和田氏軟禁の情報に関連してスイス銀行に眠る皇室の秘密口座と隠し財産の存在が俄かに関心を集めましたが、宮内庁の人事権を含め、昭和天皇の時代よりも平成の時代の方が、皇室への権限の集中、あるいは、政治介入が顕著なようにも見えます。
国民からの信頼が失われ、求心力が低下しつつある中での新国王への権限集中と公的財産の私物化は、将来において動乱をも招きかねないリスクがあります。不人気な国王が、それ故に強権による独裁体制への布石を打っているとタイ国民が認識すれば、国民からの強い批判や反発も必至となりましょう。果たして、タイ王室は、今後、どのような展開を見せるのでしょうか。同様のリスクを抱える日本国も、それが民主主義の重大なる危機であるだけに、無関心ではいられないのではないかと思うのです。
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タイにおける権限強化の具体的な内容としては、(1)王室事務局や王宮警察を政府機関から切り離して国王直轄する、(2)職員の人事権を国王に移管する、(3)政府予算で運営される一方で、収入の財務相納付は免除する、といった諸点が挙げられています。そして、さらに驚くべき“法改正”は、王室財産の私物化です。タイ王室は、4.7兆円もの資産を保有しておりますが、その運用は、国王の一任されるようにもなりました。王室財産委員会委員長の任命権も国王に移っていますので、巨額の王室財産は、いわば、私物化されたに等しいのです。
プミポン前国王は、タイ国民からの人気も高く、クーデタの危機をも巧みな政治手腕で収拾させたことで知られています。一方、ワチラロンコン新国王は、皇太子時代から素行も評判も芳しくなく、タイ国民は、同国王の即位を不安視していたとされています。民主主義が根付いていれば、国民に不人気な国王に権限を集中させることはあり得ませんので、今般の権限強化の背景には、同国王を背後から支える軍部、中国、あるいは、国際組織等の意向を推測せざるを得ません。つまり、国王を傀儡化し、間接支配の道具とするには、権限が集中していた方が都合がよいのです(一般には偽書とされてはいるものの、『シオンの長老の議定書』にも、世界支配の手法として各国の国家体制の独裁化が記されている…)。世界屈指とされる王室財産は、国家の資源と国民の努力と勤勉さの結晶でもありますが、やがて新国王、否、その背後の勢力が私的に自由にできる“資金”と化すのでしょう。
そして、王室をめぐる私物化の危機は、日本国の皇室にも忍び寄っているように思えます。先般、小和田氏軟禁の情報に関連してスイス銀行に眠る皇室の秘密口座と隠し財産の存在が俄かに関心を集めましたが、宮内庁の人事権を含め、昭和天皇の時代よりも平成の時代の方が、皇室への権限の集中、あるいは、政治介入が顕著なようにも見えます。
国民からの信頼が失われ、求心力が低下しつつある中での新国王への権限集中と公的財産の私物化は、将来において動乱をも招きかねないリスクがあります。不人気な国王が、それ故に強権による独裁体制への布石を打っているとタイ国民が認識すれば、国民からの強い批判や反発も必至となりましょう。果たして、タイ王室は、今後、どのような展開を見せるのでしょうか。同様のリスクを抱える日本国も、それが民主主義の重大なる危機であるだけに、無関心ではいられないのではないかと思うのです。
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