万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国人入国禁止に踏み切れない日本国政府に防衛はできる?

2020年02月27日 13時32分43秒 | 日本政治

 日に日に新型コロナウイルス感染者数、並びに、死亡者数が増加し、国民の多くは感染の不安を抱えながら日々を過ごしています。こうした中、誰がどう見ましても理解し難い事態が起きています。それは、かくも国内に感染が広がりながら、日本国政府が、中国からの入国を全面的に禁じていないことです。

政府は、政策の重点を水際対策から感染者対応に移すと説明しており、既に中国人の入国禁止を実施する段階は過ぎていると判断しているようです。中国政府は、湖北省以外の中国全土での感染は封じ込めていると主張しておりますので(もしかしますと、中国各地の感染者が、‘湖北省送り’になっているのでは…)、日本国政府は、中国からの‘情報’を鵜呑みにしている、あるいは、中国の‘政策’に従っているのかもしれません。同ウイルスによる感染病が発生して以来、情報の隠蔽や偽情報の発信によって状況を自己に有利な方向にコントロールしてようとしてきた中国発の情報を信じて疑わないとすれば、日本国政府は、無防備を通り越して愚かでさえありましょう。

実際に、感染経路が不明な事例は訪日中国人からの感染が疑われておりますし、地方にあって北海道の感染者数が多いのも、同地と中国との強い関係が抜きにして説明はできません。また、在宅勤務の措置をとった一般企業にあっても、その多くは中国ビジネス、あるいは、中国人社員を多く抱える企業が目立っています。中国人の入国を禁じる効果はないわけではなく、日本国政府以外の諸外国の政府は、水際作戦と感染者治療の両者に同時並行的に取り組んでいます。‘どちらかを優先する’といった問題ではないのです。

入国禁止措置に二の足を踏んでいる日本国側の理由としては、(1)中国人訪日客によるインバウンド効果、(2)習近平国家主席の国賓来日、(3)東京五輪の開催の三つが挙げられています。(1)については、水際作戦の失敗により既に観光業が打撃を受けておりますし、(3)につきましても、入国制限の甘さが仇となって、諸外国が日本国への渡航に対して警戒レベルを引き上げる状況に至り、最早、風前の灯となっています。加えて、昨春からの外国人労働者の受け入れ拡大を受け、中国人労働者への依存を高めた日本企業からの要請とする説もありますが、中国からウイルスが持ち込まれるのでは、同国と同様に雇用側の企業も生産停止に追い込まれます。このように考えますと、(3)の理由も合理的な理由とは言えないように思えます。すなわち、もはや中国人入国禁止の見送る合理的な理由ではなくなっており、残る理由があるとすれば(2)の習主席の国賓来日ということになりましょう。新型コロナウイルスの蔓延に関して内外から批判を浴びている習主席は、日本国への国賓訪日を起死回生の最後のチャンスと見ているのかもしれないのです。

何れにしましても、日本国政府の不可解な行動は、中国を忖度する、あるいは、中国側の要望に沿った結果である可能性が高いのですが、こうした政府の対応は、日本国の行く先に暗い影を落としています。何故ならば、一連の出来事から、日本国民の安全よりも隣国の独裁者の都合を慮っていること、中国において独自の情報網を有しておらず、真偽を確認せずに、中国政府から提供される情報に基づいて自国の方針や政策を決定していること、国内市場を捨てても規模に優る中国市場での利益を優先していること、中国、あるいは、政府発の情報と異なる、あるいは、都合の悪い情報は国民に伝えないこと、民主主義を軽んじて国民の声に耳をふさいでいること(世論調査では、60%以上の人々が中国人入国禁止を支持…)…等々、日本国政府の真の姿が浮かび上がってきているからです。国民の目からしますと、あたかも中国の属国かのようです。

そして、懸念されるのは、米中対立が激化する中、仮に、中国が日本国を軍事的に攻撃するリスクが高まる事態が発生した場合です。果たして、日本国政府は、中国に対して十分な防衛態勢で臨むことができるのでしょうか。政府内では、二階幹事長や公明党議員といった親中派の政治家たちが、全力であらゆる対中防衛措置を阻止することでしょう。この結果、中国人の国内流入を止めることもせず、破壊工作活動を事前に阻止する機会をも逸するかもしれません。そして、不幸にも有事となり、中国側が国防動員法を発令するに及んでも、国内の在日中国人に対して即座に何らかの有効な措置を採るともせず、一般の国民は、パニック状態に陥るかもしれません。しかも、日本国政府は、国民に対して自己を護るための情報さえ十分に提供しようとはしないのです。その結末は、火を見るよりも明らかです。

本来であれば、中国には在中大使館や領事館が置かれ、凡そ14万人の日本人が居住していますので、日本国政府は、政治的意図を含んだ疑わしい中国政府発の情報に頼らずとも、自らで情報を独自に収集し、分析し得る能力を有するはずです。新型コロナウイルスの蔓延によって外出や外部関係者との接触が禁じられ、外部の状況を見聞きすることも情報の十分な収集もできない、あるいは、中国当局からスパイ容疑で処罰されるといった理由も推測されますが、そうであればなおさらのこと、かくも恐るべき情報統制体制を敷いている中国との関係強化は、今後とも日本国にとりまして危険な選択となりましょう。新型コロナウイルスは、日本国民に対して将来における亡国の危機をも警告しているようにも思えるのです。

コメント (2)
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