万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ハンター・バイデン氏の脱税疑惑公表の意味とは?

2020年12月10日 12時25分18秒 | アメリカ

 今般のアメリカ大統領選挙は、大規模な組織的不正疑惑が持ち上がり、歴史を揺るがす大事件に発展しています。バイデン前副大統領を擁立した米民主党が不正選挙を仕組んだとする見方が有力ですが、日米ともにマスメディアが同疑惑に対する情報を報じていないため、同疑惑を知らない人も少なくないかもしれません。しかしながら、ここに来て、遂にバイデン氏本人ではないにせよ、子息のハンター氏が連邦検察当局から税務調査を受けているとする情報が報じられることとなりました。

 

 この報道、ハンター氏本人の声明も公表されておりますので、税務調査を受ける身となっていることは事実なようです。しかも、その調査対象とは、CNNの報道によれば中国ビジネスでの取引というのです。ハンター氏は、父バイデン副大統領が現職であった時代に同氏に同伴して中国を訪問し、ビジネス利権を得ていたことは既にトランプ陣営側から批判されてきました。中国のエネルギー企業(CEFC)をバックに設立された投資会社(Sinohawk Holdings,)の役員に就任し、その役員報酬として巨額の利益を得ていたのです。因みに、CEFCは2020年3月に架空取引や取引実績の水増しなどが明るみとなり破産しましたが、チェコに対する積極的な投資がむしろ同国の反感を買い(CEFCは表向きは民間企業ですが、集中的なチェコ投資には中国政府の意向が働いたはず…)、同国の上院議長等による台湾訪問の一因となったのかもしれません。何れにしましても、同批判に対してバイデン陣営は事実無根として否定してきたのですが、税務調査が事実であるとすれば、少なくとも脱税を疑われる資金等の中国側からの提供があったことを、本人自らが事実として認めたことになりましょう。

 

バイデン親子のスキャンダルが事実とすれば、アメリカ国民の多くは、民主党員であれ、バイデン前大統領は大統領としての適格性を欠けると判断することでしょう。副大統領という公職にありながら、米中外交の舞台を利用して私益を貪っていたことになるからです。つまり、喩えそれが、ネポティズムが根強く残る中国では当たり前の慣行であり、かつ、中国ビジネスから生じた合法的な利益供与であったとしても、権力の私物化と批判されても致し方ない行為です。たとえ大統領に就任したとしても、中国に弱みを握られているのですから、アメリカ安全保障や国益を損なう可能性は極めて高く、しかも、同氏の私益優先の姿勢は致命的です。いざ、という時には、国家や国民を犠牲にするかもしれないのですから。

 

そして、この一件から、中国が海外の要人を篭絡する手法も見えてくるのです。日本国内では86%以上の国民が反中感情を抱いている一方で、政界の大半が親中に流れるという不可解な現象が起きています。民主主義国家にあっては、政治家は‘国民の代表’のはずですのでこうした分断は起こり得ないにも拘わらず、政界と国民との間には、中国を軸とした深刻な‘分断’が発生しているのです。これまで、中国が日本国内で親中派の政治家を‘育成’する手法として、古典的な賄賂やハニートラップ等が想定されてきました。しかしながら、今日の日本国の政界における親中派の急拡大からしますと、政治家本人のみならず、その親族に対する中国ビジネスの利権供与、即ち、合弁事業の許可や役員ポストの提供等も有力な懐柔手段なのかもしれません。ネット上ででは、アメリカ中枢部の取り込みに成功し、チャイナ・マネーの威力を自慢げに語る中国高官の動画が拡散されていますが、日本国の‘中枢部’に対しても、同様の工作が仕掛けられていることでしょう。日本国の税務当局も、日本国の政治家、並びに、親族に対しては(政治家のみではないかもしれない…)、中国ビジネスがらみの資金の流れを調査すべきかもしれません。

 

ハンター氏が自ら声明を発表した背景には、税務調査により‘有罪’が確定できなければ、自らの疑惑も晴らすことができると踏んでいるではないか、とする憶測もあります(不正選挙疑惑と同様に‘逃げ切り’作戦?)。しかしながら、バイデン親子が公権力を自らのビジネスのために利用し、中国企業とビジネス関係を結んでいたことは動かしようのない事実です。副大統領時代に発覚すれば弾劾理由となるような事件ですので、あるいは、バイデン前大統領は、不正選挙の罪で失脚するよりも、同問題を以って‘名誉ある撤退’を選ぼうとしたのかもしれません。しかしながら、中国、あるいは、同国をも内包する国際組織による‘国家乗っ取り作戦’がバイデン親子のみの問題ではなく、全世界の政界に蔓延してしまった‘腐敗構造’であるならば、不正選挙問題を含め、徹底的な真相究明が必要なのではないかと思うのです。


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