リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

これだからパトロンは楽しい

2017年01月19日 | 日々の風の吹くまま
1月19日(木曜日)。小雨。午前8時過ぎに起きて、朝ごはんを食べて、シャワーで洗髪して、
着替えをして、10時に出発。今日はArts Clubの専務理事のピーターが主催する「茶会」。
というと気取った感じだけど、早い話がLegacy Circleのメンバーの接待。このサークルは
舞台演劇の灯を消さないために長期的な財政計画を可能にするのが目的だけど、できて
から日が浅いし、Arts Clubへの遺贈を遺言書に入れた人(カップル)の集まりなので、全部
合わせてまだ30人足らず。顔ぶれは元国会議員や学者、事業家から一般人までで、遺贈
の規模も遺産の一部から全財産までいろいろ。

Arts Clubは劇団だけど、日本で言う「特定非営利活動法人」に認定されていて、公的な助
成金や企業や個人の寄付が年間十数億円に上る運営資金のけっこうな部分を賄っている
から、毎年一定額以上を寄付するArtistic Director’s Circleや遺産を残してくれるLegacy
Circleのメンバーにはレセプションや食事会、プレビューへの招待、チケット購入の便宜と
いった恩典を付けている。いうなれば、企業が大事な取引先を接待するのに似ていて、ビジ
ネス面を取り仕切る専務理事の重要な仕事のひとつ。

茶会に来ていたのは15人ほどで、おしゃれなティーカップに注いだ紅茶とおしゃれなサンド
イッチでしばし和気藹々で談笑していたら、芸術総監督のビルが現れて「稽古場を覗いてみ
たい人、手を上げて」。一階の稽古場のひとつで来週始まる『The Audience』の稽古をやっ
ているというので、みんな「はぁい」。イギリスのエリザベス女王とチャーチル以来の歴代の
首相の毎週の「謁見」を題材にしたもので、ぞろぞろと稽古場に入ったときは就任早々の労
働党のウィルソン首相との初謁見のシーン。へえ、イギリスの首相は女王様と紅茶を飲み、
お茶菓子をつまみながら国政を語るんだ・・・。

現君主と実在の首相の会話を芝居に仕立てるという日本では考えられない発想がすごい
けど、そこは首相と官僚を弄り回すコメディシリーズをヒットさせるイギリス人の面目躍如と
いうところかな。終わって拍手したら、演出家が「おもしろいシーンがあるので見て行ってく
ださい」。それを聞いたビルが「ワンシーンだけだよ。それ以上は料金をもらうからね」と言っ
て、みんな大爆笑。稽古場を使うのは今日が最後で明日から舞台稽古に入るそうで、普通
は関係者以外立入り禁止の稽古場風景を見せてもらえて、思いがけずおいしいご馳走に
与ったような気分。これだからパトロン稼業はやめられないんだよねえ。