らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

『十字架上の最後の七つの言葉』

2008年07月03日 23時43分42秒 | お気に入りのCD
 山形Qは結成時にF.J.ハイドンの全68曲の弦楽四重奏曲を全曲演奏する目標をたてました。私のハイドン好きから半ば強引に他メンバーに押しつけたのですが、今度28回目を迎えて(演奏29曲目)当初実現不可能と思っていたものも達成に向かって着々と進んでいます。

 この全68曲が終わったら演奏しようと思っていた『十字架上の最後の七つの言葉』という弦楽四重奏の編成で書かれた曲があります。この曲はスペインの南部の町カティスの司祭ホセ・サルス・デ・サンタマリアによって依頼され作曲されたものです。イエスが十字架にかけられた時に発した「七つの言葉」による儀式が行われる際の器楽曲を依頼されて、オーケストラバージョンが最初に作曲されました。ほぼ同時期に弦楽四重奏バージョンも作曲されました。

 「七つの言葉」なのですが、楽章自体は七つの言葉の前後に置かれた2つの楽章の計9楽章構成です。
・1.序奏
・2.「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのかを知らないのです」
・3.「はっきり言っておくが、あなたは今日私と一緒に楽園にいる」
・4.「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です。・・・見なさい、あなたの母です」
・5.「わが神、わが神、なぜ私をお見すてになったのですか」
・6.「渇く」
・7.「すべてはなしとげられた」
・8.「父よ、私の霊を御手にゆだねます」
・9.地震

 作曲の依頼は10分位のアダージョを7つ作曲しろということだったらしいのですが、ハイドンが前後に「序奏」「地震」という楽章を付け加えたのです。この曲の演奏方法も少し変わっています。演奏会では現在では曲のみ演奏する場合が多いと思いますが、依頼者のコンセプトは、短い祈りのあとで司教が「七つの言葉」を順に唱えて、それについての説教を行います。説教後、祭壇にひざまついた時に音楽を演奏したそうです。一つの言葉に一つの音楽ということを繰り返すという仕組みになってました。

 だからとても普通の演奏会では取りあげるのが難しいのです。ゆっくりな楽章を9つ(最後の「地震」だけ速い楽章です)約50分間演奏しなくてはならないのです。もの凄い緊張感で・・・・・・・。

 もしかしたら一生演奏出来ないかな?と思っていた所へ、米沢興譲教会さんの方から依頼されました。当日(9/21)は、本来の教会の方の説教付きで演奏します。本当に良い機会を与えてくれました。感謝します。
 
 という事で、私のこの曲の推薦盤はカール・ズスケ氏率いるゲヴァントハウス弦楽四重奏団のCDをあげておきます。ズスケ氏のヴァイオリンは本当に美しいですね。大好きなヴァイオリニストです。

 変わり種としては、カルミナQのCDもclavesから出ています。楽章間にグレゴリオ聖歌が挿入されています。こちらもお勧めです。
HMVジャパン
コメント (4)
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