らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

一番美しく

2010年01月23日 23時41分36秒 | DVD鑑賞(主に映画)
 「一番美しく」は、1944年東宝の日本映画。黒澤明監督作品。

 出演者は、
志村喬(石田五郎)、清川荘司(吉川荘一)、菅井一郎(真田健)、入江たか子(水島徳子)、矢口陽子(渡辺ツル)、谷間小百合(谷村百合子)、尾崎幸子(山崎幸子)、西垣シヅ子(西岡房枝)、鈴木あさ子(鈴村あさ子)、登山晴子(小山正子)、広町とき子(広田とき子)、人見和子(二見和子)、山田シズ子(山口久江)、河野糸子(岡部スエ)、羽島敏子(服部敏子)、河野秋武(鼓笛隊の先生)、萬代峰子(阪東峰子)、横山運平(寮の小使)、真木順(鈴村の父)

 黒澤明監督の初期の作品で、1944年という年からも分かるとおり敗戦濃厚な時期に制作された映画です。戦争高揚などのプロパガンダ的な役割が、映画の中から感じられて、この映画自体を否定したい方々も多くいる事でしょう。我々戦争体験をしていない人が無責任に戦争を語る事は、生意気な行為です。ただこの映画を否定する事は、あまりにも簡単ですので、あえて天の邪鬼的に映画の感想を書いてみたいと思います。
     

 軍需工場で働く若い女の子達が、生産力1/2アップを要求された事に(男子の半分のアップ率という事に)プライドを傷つけられて、みんなで苦しいながら2/3の生産力アップにむかって頑張る映画です。もの凄く荒いあらすじの書き方で、すみません。汗。

 自分の楽しみよりお国のためという精神で、苦しい規律正しい共同生活の中でも、毎日笑顔を絶やさず明るく生活しているのには、ホッとさせられます。鼓笛隊を組織して、通勤時に演奏しながら行進をして、休み時間に9人制バレーボールに楽しむ彼女達の笑顔は輝きを放っていました。
 
 生産力向上が上手くいかずに喧嘩になった時も相手に対して、最後は謙譲の気持ちが起こり、自らあやまる姿勢を見せます。また時には、病気になった子は、周りの頑張っている子達に対して悪いからといって無理をします。お国のため~仲間のためとはいえ、今私達が失いつつある謙譲美~相手を思いやる心が映画各所に表現されています。

 スピ~ドが命の今の映画とは違い、長々と無音で動きの少ない映像が流れたりするのは、時代を感じさせますが、私は結構楽しく鑑賞できました。女子組長の渡辺ツル役の矢口陽子さんは、後に黒澤明監督の奥さんになります。

 映画の中に映る街並や着物・布団・家のドアなど我々昭和の40年代に生まれたものにとっても懐かしい感じがします。今じゃ見ない着物に割烹着を着た女の人や、もんぺ?、窓枠、裸電球など東京の古い家にはありましたから、昔のことを思い出したりしていました。
HMVジャパン
コメント
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